「俺は、葵とこれからも一緒にいたい。どんな形でもいい。仕事はすぐには辞められないけど、自分でも我儘だってわかってるけど、葵のそばにいたい。初めて会った時から忘れられなかった。俺は、葵のことが好きだ」
ストレートすぎる瑞希くんの言葉、なんて返事をすればいいのだろう。
「葵は……。俺のこと嫌い?」
嫌いじゃないから、こんなに悩んでいるの。
仕事中の瑞希くんではない、子どものように不安そうな顔。
「嫌いじゃない。だけど、離れなきゃいけないって思っている」
一番になれない恋を続けても、辛くなるとわかってるから。誰かをまた本気で好きになって、自分が傷つくのが怖い。
「じゃあ、葵の身体が俺を求めるようにする」
「えっ。どういう意味……?」
隣にいた瑞希くんなのに、気づけば私の上にいた。
「葵の心が俺に向かないのなら、身体が俺じゃなきゃダメだと思うように」
そう言って、彼は強引なキスをしてきた。
「っ、んん!!ダメっ」
瑞希くんから逃れようとしたけれど、力では敵わない。
瑞希くんは私を抑えつけ、隣に掛けてあったスーツのネクタイを取り、私の手首を縛る。
「嫌っ!」
両手を塞がれ、さらに抵抗ができない。
「ごめん」
彼は私の耳を甘噛みし、首筋に舌を這わせる。
「あっ……」
縛られているものの、彼に対して恐怖はない。
それにこんな優しい縛り方、手首も痛くないし力を入れたら解けそうだ。
それより、気持ち良さでだんだん力が入らなくなるのが困る。
彼は私の下着を脱がし、チュッと胸の突起を吸った。
「ああっ!!」
昨日とは違い、最初から激しい。
胸を優しく揉まれたかと思うと、突起を抓られる。
「んんん!」
唇を塞がれたままだったので、思わず彼の唇を噛んでしまった。
「あっ、ごめんなさい!痛かったよね」
「なんで俺のこと心配してんの。自分、何されてるかわかってる?」
彼は、私のショーツを脱がした。
「ちょっと待って!」
下腹部の湿っている部分に瑞希くんの指が触れる。
「あぁ!」
「もうこんなに濡れている」
瑞希くんが急に電気をつけ、濡れている指先を私に見せた。
「恥ずかしいよ。電気消して?お願い……」
恥ずかしさから涙が出てくる。
「俺は見たい。葵の顔。俺の言うこと、一つ聞いてくれたら少し暗くしてあげる」
彼の顔は真剣だ。
「わかった。聞くから。電気……」
「約束な?」
瑞希くんは電気を尾灯にしてくれた。
彼はキスをしながら、私の下腹部に触れ
「葵。ここ、気持ち良いでしょ?」
彼が必要以上に責めてきたところは、昨日私が絶頂してしまったところ。
彼の行為は、痛くない。
乱暴に見える動作も、襲われているという実感はない。
「んんっ!イキそうっ」
「イっていいよ」
首筋にキスされながら、囁かれる。
「あぁ!!」
私は昨夜に続き、絶頂を迎えた。
何もしてないのに、息が切れる。力が入らない。
「葵、めっちゃ可愛かった」
彼からチュッと頬にキスをされた。
しかし
「今日はまだダメだから」
そう言うと、再び私の下腹部に手が伸びた。
「もっだめっ。やっ……。力が入らないっ……」
「さっきより、濡れてる。これなら……」
瑞希くんが私にキスをした。
その瞬間
「んん!!」
彼の指が私の身体の中に入ってきた。
そしてゆっくり上下に動かされる。
突起部分を触れられるのとは、違う感覚。
「身体が……。ヘンだよっ、あっ」
「痛くない?」
「痛くない」
段々と深くまで指が入ってくる感覚を覚えた。
「葵の気持ち良いところ探すね」
彼の指が角度を変えて、突いてくる。
「んんっ!」
頭が真っ白になりそう。
「あっ…!」
ビクっと身体が痙攣した。
「ここ?」
私の身体が反応したところを指で再度突かれる。
「そこ。気持ち……」
私は何を言っているんだろう。拒否すればいいのに。
「可愛い。ねぇ。葵、俺に溺れて」
指の動きが速くなり、淫らな水音が部屋に響いた。
「瑞希くん……!もう抵抗しないから。手首、外して?瑞希くんを抱きしめたい」
瑞希くんに掴まりたい。
「わかった」
彼は私の手首のネクタイを取ってくれた。
私は自分から瑞希くんの背中に手を回し
「キスして。キスしながらイキたい……」
自分から強請る。快楽に抗えない。
「俺のこと好きだって言って。じゃないとイカせてあげない」
瑞希くんを意地悪だと思った。
こんなこと、間違っているはずなのに。
身体の疼きが止まらない。
「お願い……。瑞希くん、好き」
私は彼の背中にギュッと掴まり、彼の愛撫を受け容れる。
「あっ!あぁっ!」
再び絶頂してしまった。
「葵。イっちゃったね。指入れてたからわかった」
ぐったりしている私の頭を優しく撫で
「ちょっと待ってて。水持ってくる」
彼は立ち上がり、キッチンへ向かった。
自分が恥ずかしい。思考がまともになってくると、後悔の念が強い。
「お水、ありがとう」
瑞希くんが持ってきてくれた水を飲んでいると、彼は
「はぁ」
ため息をついた。
「どうしたの?」
瑞希くんがため息なんて珍しい。
「俺、葵に嫌われることばかりしてる。嫌われたくないのに。仕事だと上手く女の子と接することができるのに、プライベートだと全然ダメだな。余裕なくて」
そうだ。ホストとしての瑞希くんって、人気があるんだよね。
お店にいた時は、全然違う人に見えた。
「嫌いになんかならないよ。私、考えてみたら瑞希くんのこと、全然知らない。だからゆっくり知っていきたい。瑞希くんの苗字も年齢も住んでいるところも知らない。もし教えてくれるなら知りたい」
彼は私の言葉を聞いて、ギュッと抱きしめてくれた。
「マジで嬉しい」
「だからゆっくり仲良くなっていこう」
瑞希くんが本当に私のことを想ってくれているのであれば、私も彼の気持ちに応えたい。一歩進んでもいいのかな。
「ん……。そうだな」
その後はゆっくりと眠りについた。
次の日の朝を迎える。
私の隣には、瑞希くんが綺麗な横顔で寝ていた。
なんか、不思議。
こんなカッコ良い人が隣にいるなんて。
そもそも私のどこがいいんだろう?
頬に触れてみるが、反応がない。
熟睡している。
彼が起きる前にシャワーを浴びて、ご飯作っておこう。
冷蔵庫を見る。
やばい、買い物に行ってないから何もない。
・・・・・・・・・・
「うーん」
隣を見ると、葵はいなかった。
もう起きたのか?
時計を見ると、お昼近くだった。
「葵?」
声をかけるが反応がない。
シャワーでも浴びている?にしては、音が何も聞こえない。
ベッドから起きて、彼女を探す。
どこにもいない。
もしかして昨日のことを思い出して、出て行った?
無理やりだったし、嫌われてもおかしくはない。
昨夜は許してくれたみたいだったけど。
電話したけど、繋がらない。
葵の家はここだから、帰ってくるとは思うけど。
俺がいるうちは帰らないとか?
そんなことを考えていた時、ガチャっとドアが開く音がした。
「葵?」
慌てて玄関に向かうと
「あれ。起きちゃったの?ごめんね。買い物行ってなくて、お昼ご飯作れそうになかったから行ってきたの……」
思わず彼女に抱きつく。
「どうしたの!?」
「どこか行っちゃったかと思った」
余裕ないな、俺。
「ごめんごめん。一応、テーブルの上に手紙を書いて置いといたんだけど、気付かなかった?」
「見なかった」
そっか、ごめんねと葵に頭を撫でられる。
女の子に頭を撫でられるとか、嫌だと思ってたけど、相手が葵だったらなんか安心する。
「ご飯の準備するから、シャワー浴びておいで」
「うん」
彼女が買ってきた荷物をキッチンまで運び、シャワーを浴びる。
今日の昼飯なんだろ?
楽しみだな、そんなことを思った。
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2人ともお似合いすぎる🫶