💚「で、別れちゃったんだって?」
❤️「色々ありまして」
最初の報告は電話している中だったので、直接話すのは初めてだ。
阿部はあれからまた来なくなっていて、別れたのを知ると約束を取り付けてきてやっと現れた。
💚「向こうが好き好きだったんでしょ?大丈夫だった?」
❤️「向こうも付き合ってみたらちょっと違うとかあったみたいだし、案外あっさり」
💚「そっかぁ」
今日は食事に招待した。悪酔いして話ができなくならないように、お酒は少しずつ。
阿部も何となく気をつけている。
❤️「というわけで、また普通の失恋仲間に逆戻りです」
という俺が笑いながら言った一言に、阿部は思い切ったように顔を上げた。
💚「それなんだけどさ、舘さんに話があって」
❤️「どうしたの」
💚「この間の動画撮影の時ね」
この間の動画撮影と言えば、照、佐久間、阿部、ラウールの4人だった時だ。メンバーを知って阿部が大丈夫かソワソワして後からメッセージで愚痴を聞いたのを覚えている。
❤️「うん」
💚「合間に目の前でめっちゃイチャつくって話したじゃん」
❤️「言ってたね」
💚「そんなつもりなかったけど結構見ちゃってたみたいで、 終わってからラウールに声かけられて」
❤️「そうなの?」
阿部がグラスに入ったワインをぐっと飲んだので、すかさずチェイサーを出す。
💚「ありがと。で、ラウールに失恋バレて言われた。『阿部ちゃんを一番大切にする人の枠が空いてるなら、俺が立候補する』って」
❤️「えっ」
ここに来てまさかのラウールが阿部を気にかけていたなんて。
翔太はラウールとは、目黒を含め仲が良い。きっと知っていて発破をかけたんだろう。
💚「それでね、あの、俺……」
❤️「…ラウールと付き合うの?」
阿部が押し黙り、思わず俺の方がワインを一気飲みしてしまった。
💚「ううん、違う!」
俯いて黙りながら言葉を探しているようだった阿部が慌てたように顔をあげ否定する。
このまま話を聞いていたら、ひょっとしたら俺たちのこれからを決める大切な台詞を阿部に言わせてしまうかも知れない。
そうでなかったとしても、阿部の話を聞き終えて結果を知ってから言うか言わないか決めるのはさすがにロイヤルが廃る。
再び黙ってしまった阿部の名前を呼び、そっと顔をあげた所で目を見つめた。
❤️「俺もその場にいたら、ちょっと待った!って割り込んだのに」
💚「えっ?」
❤️「ずっと自分がどうしたいか考えてて。この間、自分の中で答えが出た所なんだ」
💚「うん…」
❤️「その阿部を一番大切にする人、俺がなりたい。阿部を傍で支えるのは俺でありたいんだ」
阿部が信じられないという顔をする。
なんでもないような顔をしてそれを見ながらどっちの意味だろうと考えるその時間、胸の音がうるさかった。
💚「……俺」
やがて阿部の口から遠慮がちに言葉がこぼれる。
💚「今、次の恋に向かってるところだから…ありがとうって、ラウールに言った」
❤️「次の恋」
💚「うん。その人、恋人がいたから諦めてたんだけど、別れたって聞いて」
❤️「それって」
💚「うん…」
咄嗟に立ち上がり、向かいに座った阿部に歩み寄った。俺の方に身体を向けたところをぎゅっと抱きしめる。
❤️「阿部、好きだよ」
💚「俺も…舘さんが好きです」
離れてから恥ずかしくなって、料理もそこそこに2人で酒を飲み散らかし、気付いたらお互いベッドで、しかも全裸で朝を迎えていた。
❤️「そんなばかな」
お互いの首や胸に残った赤い薔薇が事実を告げているが、どう思い出しても記憶にないので2人でこれはノーカンという事にした。
コメント
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え?舘様が記憶がないって!😆 それでも、出来るんだ!それはそれで舘様素敵💓
終わり?😆やれやれ、やっとくっついたか😘