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いやあつづいてあれが来るなんてお兄ちゃん連盟の方がいいのかもしれませんねえ
第五話「闇夜と紅月」
登場人物
博麗 蓮(はくれい れん)
能力:自然を操る程度の能力
霊夢の兄。かつて幻想郷を追放された。母・優奈を殺したという疑いをかけられている。
霧雨 玲音(きりさめ れおん)
能力:魔法を組み替える程度の能力
魔理沙の兄。蓮と同じく幻想郷を追放された過去を持つ。追放されていた蓮を匿っていた盟友。
――夜。
蓮と玲音は、深い森の中を歩いていた。
森の様子は、昼間とはまるで違っていた。
虫の声もない。
風もない。
ただ、不気味な静けさだけが広がっている。
玲音「……妙だな」
蓮「ああ」
蓮が地面に手を触れる。
木々の根。
草。
土。
森に存在するすべての自然が、蓮へと情報を伝えてくる。
蓮「この先に誰かいる」
玲音「妖怪か?」
蓮「分からない」
玲音「なら、行ってみるか」
二人は森の奥へ進んでいく。
しばらくすると――。
前方から黒い霧が流れてきた。
蓮「……止まれ」
玲音「分かってる」
黒い霧が二人を包み込む。
月明かりが消えた。
完全な闇。
玲音「……光が消えた?」
蓮「違う」
蓮は目を閉じる。
蓮「何かが、光そのものを喰ってる」
その瞬間。
???「よく分かったな」
二人の前に、一人の青年が現れた。
黒い髪。
暗い瞳。
夜そのものを身に纏ったような姿。
???「俺の名は――」
???「夜城(やしろ)黒影(くろかげ)」
玲音「夜城黒影……」
黒影「ああ」
蓮「この闇は、お前が?」
黒影「そうだ」
黒影が手を開く。
周囲の闇がさらに濃くなる。
黒影「俺は闇を操るわけじゃない」
蓮「……じゃあ何をしている?」
黒影「闇を喰らっている」
黒影の手の中に、黒い球体が生まれる。
黒影「俺の能力は――」
黒影「『闇を喰らう程度の能力』だ」
玲音「闇を……喰らう?」
黒影「ああ」
光を奪う。
魔力を飲み込む。
そして、取り込んだものを自分の力へ変える。
それが黒影の能力だった。
蓮「ルーミアとは違うな」
黒影「当然だ」
黒影の表情が少しだけ変わる。
黒影「……ルーミアは俺の妹だ」
蓮「……」
玲音「妹と一緒に暮らしてるのか?」
黒影「今は違う」
玲音「何かあったのか?」
黒影「…………」
黒影はしばらく黙った。
黒影「昔、色々あった」
それだけだった。
蓮はそれ以上聞かなかった。
すると――。
遠くから紅い光が近づいてくる。
玲音「……今度は何だ?」
黒影「知っている奴だ」
闇の中から、一人の青年が姿を現した。
銀色の髪。
紅い瞳。
黒い服に深紅の外套。
青年「黒影」
黒影「真紅か」
青年は蓮と玲音を見る。
青年「……人間?」
蓮「そうだ」
青年「珍しいな」
青年は静かに名乗る。
???「紅月(こうげつ)真紅(しんく)」
真紅「俺の名だ」
玲音「吸血鬼か」
真紅「ああ」
真紅の周囲に、紅い光が集まる。
蓮「……何の能力だ?」
真紅「運命を操る力とは少し違う」
真紅が指を鳴らす。
すると、落ちてきた一枚の葉が――。
地面に落ちる直前で動きを変えた。
別の方向へ飛んでいく。
真紅「俺の能力は――」
真紅「『可能性を選ぶ程度の能力』だ」
蓮「可能性を……選ぶ?」
真紅「ああ」
例えば、何かが起こる前には複数の可能性が存在する。
真紅は、その中から一つを選び取る。
ただし、存在しない未来を作ることはできない。
玲音「つまり、運命を操るんじゃなくて……」
真紅「可能性の中から、望む結果に近いものを選ぶ」
蓮「……レミリアとは違う能力なんだな」
真紅「ああ」
真紅は静かに答える。
真紅「レミリアは運命を操る」
真紅「俺は、その運命が分岐する前の可能性を見る」
蓮は少し考える。
蓮「……お前にも妹がいるのか?」
真紅「二人いる」
蓮「誰だ?」
真紅「レミリアとフランドール」
蓮は黙る。
しかし、真紅の表情は暗い。
蓮「仲は……」
真紅「良くない」
玲音「……」
真紅「嫌いというわけじゃない」
真紅「ただ……俺たちの間には、簡単には越えられない壁がある」
黒影も口を開く。
黒影「俺も同じだ」
蓮は二人を見る。
そして、小さく笑った。
蓮「……俺もだよ」
真紅「博麗の巫女か」
蓮「ああ」
蓮「霊夢とは、まだ何も解決してない」
玲音「俺たちには、みんな何かあるってことだな」
三人の間に、奇妙な共通点が生まれた。
それぞれ妹がいる。
それぞれ妹を大切に思っている。
それでも――。
過去の出来事によって、その間には大きな壁がある。
そのとき。
真紅の表情が変わった。
真紅「……待て」
蓮「どうした?」
真紅「今、可能性が一つ消えた」
玲音「消えた?」
真紅「ああ」
真紅は森の奥を見る。
真紅「誰かが、可能性そのものに干渉している」
蓮「……因果律か?」
真紅が蓮を見る。
真紅「お前……その言葉を知っているのか」
蓮「ああ」
黒影「……偶然じゃないな」
玲音「何が起きてるんだ?」
誰も答えられない。
ただ――。
この森に来てから、何かがおかしい。
まるで誰かが、見えない場所から幻想郷の出来事を動かしている。
その頃。
森のさらに奥。
???「……可能性を選ぶ者」
???「闇を喰らう者」
誰かが静かに笑う。
???「そして……因果を知る者」
その声は、闇の中へ消えていった。
蓮たちはまだ知らない。
この出会いが、やがて全員を一つの戦いへ導くことを。
そして――。
兄たちと妹たちの間にある「壁」こそが、黒幕に利用されることになる。
第五話「闇夜と紅月」――完
#ハイキュー
@睡眠薬
35
#痛快
コメント
1件
つばささん、第5話読みました!闇を喰らう黒影、可能性を選ぶ真紅——二人の能力設定がすごく緻密で引き込まれました。特に「ルーミアの兄」「レミリアの兄」という関係に、それぞれの妹との距離感が滲んでいて切ない。蓮の「俺もだよ」に思わずグッときました。ラストの「壁を利用される」伏線も気になる…続きが待ち遠しいです!