テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#ハイキュー
@睡眠薬
35
#痛快
あ〜あ〜あ〜つか〜れた〜みんなが見てくれたら回復するんだけどな〜?
第六話「兄という名の罪」
――夜の森。
焚き火だけが、四人の顔を照らしていた。
蓮。
玲音。
黒影。
真紅。
誰も口を開かなかった。
先ほどまでの会話が、四人の間に重く残っている。
妹との間にある――見えない壁。
それぞれが、違う過去を抱えている。
だが、誰もそれを話そうとはしなかった。
やがて、玲音が口を開く。
玲音「……なあ」
蓮「ん?」
玲音「お前らは、妹に何て思われてる?」
黒影と真紅が黙る。
しばらくして、黒影が答えた。
黒影「……怖がられていると思う」
玲音「妹に?」
黒影「ああ」
黒影は焚き火を見る。
黒影「俺がいなくなった理由を、ルーミアは知らない」
蓮「……」
黒影「教えられなかった」
玲音「どうして?」
黒影「……俺が、あいつの目の前から消えたからだ」
黒影の拳が僅かに震える。
黒影「理由を説明することもできなかった」
黒影「ただ……消えた」
蓮は何も言わなかった。
自分も同じだった。
突然、霊夢の前から消えた。
説明する時間も与えられなかった。
そして今――。
霊夢は自分を母親殺しだと思っている。
黒影「だから、あいつにとって俺は……」
黒影は言葉を止める。
黒影「知らない男と変わらないのかもしれない」
蓮「……それは違う」
黒影「なぜ分かる?」
蓮「俺も兄だからだ」
黒影は蓮を見る。
蓮「妹っていうのは……そんな簡単に兄を忘れられるものじゃない」
黒影は答えなかった。
だが、その言葉を否定もしなかった。
真紅が静かに口を開く。
真紅「……俺の場合は、もっと酷い」
玲音「レミリアとフランドールか」
真紅「ああ」
真紅は空を見上げる。
真紅「俺が二人の前から離れたとき、二人はまだ幼かった」
真紅「俺は……守ることができなかった」
蓮「何があった?」
真紅「……言えない」
真紅の声が震えた。
真紅「俺がいたせいで、二人が傷ついた」
玲音「だから離れたのか?」
真紅「ああ」
真紅「俺がそばにいるより、いない方がいいと思った」
沈黙。
焚き火が小さく爆ぜる。
蓮はその言葉を聞いて、胸が痛くなった。
蓮「……それ、本当に妹たちのためだったのか?」
真紅「……」
蓮「それとも、自分が傷つくのが怖かっただけじゃないのか?」
真紅の目が鋭くなる。
真紅「……分かったようなことを言うな」
蓮「ああ」
蓮「分からない」
蓮は真紅を見る。
蓮「でも、俺も同じことをしてる」
蓮は拳を握る。
蓮「霊夢に真実を話せない」
蓮「母さんを殺してないって言い続けるだけで、何も説明できない」
蓮「だから……俺も霊夢との間に壁を作ってる」
玲音「蓮……」
蓮「兄だから守りたい」
蓮「でも、その『守る』っていうのが、本当に正しいのか分からない」
誰も言葉を返せなかった。
その夜。
四人は焚き火を囲んだまま、眠らなかった。
誰もが妹のことを考えていた。
ルーミア。
レミリア。
フランドール。
霊夢。
そして――。
魔理沙。
それぞれの妹には、それぞれの人生がある。
その人生から、自分たちは遠く離れてしまった。
――翌朝。
蓮は一人で森を歩いていた。
木々に手を触れる。
蓮「……自然は嘘をつかない」
しかし――。
この森の自然が、何かを恐れている。
蓮「……何だ?」
木々の記憶を辿る。
昨夜。
誰かが森を通った。
だが、人間でも妖怪でもない。
姿が記録されていない。
蓮「……おかしい」
その瞬間。
背後から玲音の声がした。
玲音「蓮」
蓮「どうした?」
玲音「これを見ろ」
玲音の手には、黒く焦げた小さな枝があった。
蓮「……何だ、それ」
玲音「魔法の痕跡だ」
蓮「お前の魔法でも分からないか?」
玲音「ああ」
玲音は枝を握る。
玲音「誰かが魔法を使った」
玲音「でも、普通の魔法じゃない」
蓮と玲音は顔を見合わせる。
少し離れた場所で、黒影と真紅もその枝を見ていた。
真紅「……可能性が一つ、消えている」
黒影「昨日より酷いな」
蓮「つまり?」
真紅「誰かが、俺たちの行動を変えている」
玲音「……」
蓮は拳を握った。
蓮「誰だ」
返事はない。
ただ、森の奥から風が吹いた。
その風に混じって――。
誰かの声が聞こえた気がした。
???「……兄は、妹を守るために罪を背負う」
蓮が振り返る。
蓮「今、何か聞こえたか?」
玲音「……いや」
黒影「俺もだ」
真紅「…………」
真紅だけが、何かを感じ取っていた。
真紅「……今の声」
蓮「知ってるのか?」
真紅「分からない」
真紅は森の奥を見る。
真紅「だが、嫌な感じがする」
誰もいない。
それでも――。
四人は、確かに感じていた。
自分たちの過去が、何者かによって利用されようとしている。
そして、その「何者か」は――。
兄と妹の間にある壁を、知っている。
第六話「兄という名の罪」――完
コメント
1件
第六話読みました……「兄という名の罪」、重い。焚き火を囲んで妹との距離を語る四人の姿が切なかったです。特に「そばにいるより、いない方がいい」という真紅の信念に蓮が「自分が傷つくのが怖かっただけじゃないのか」って返す場面、心に刺さりました。守るって正しいだけじゃないんだな……。ラストの謎の声も気になるし、続きが待ち遠しいです。つばささん、今回も素敵な物語をありがとうございます🖤