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#転生
コシ
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耀聖(ようせい)
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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
世界を滅ぼそうとした魔王ディルク、そしてその背後で糸を引いていた真の黒幕『深淵の魔女』を完膚なきまでに消滅させた私たちは、最北の永久凍土の古城を後にし、懐かしいガルディニア帝国の帝都へと帰還していた。
「ローゼマリー皇女殿下! アルベルト公爵閣下! 万歳ーーッ!」
「世界を絶望から救った、帝国の高貴なる毒薔薇に栄光あれーーッ!」
帝都の正門から皇宮へと続く大通りは、私たちの凱旋を祝う何十万もの市民たちの、地鳴りのような大歓声と五色の紙吹雪で埋め尽くされていた。
私はいつもの気高き深紅のドレスに身を包み、豪華なオープン馬車のシートに腰掛けて、集まった人々に優雅に微笑みながら手を振り返す。
「ふふ、ずいぶんと賑やかですわね、お兄様」
「当然だよ、ローゼマリー。君がその神聖な力で世界を救ったんだ。本当なら、帝都の全路地を君の好きな薔薇の花びらで埋め尽くしたいくらいさ。……ああ、それにしても今日の君は、歓声を浴びていつも以上に一段と美しく輝いているね。今すぐ僕の結界で隠して、皇宮の奥で二人きりになりたいよ」
隣に座るアルベルトお兄様は、完璧な公爵としての微笑みを市民に向けながらも、私への過保護全開なシスコン発言を相変わらずのトーンで耳元に囁いてくる。
「お兄様、式典の最中ですわよ。……リン、皇宮での準備はよろしくて?」
馬車の影、いつでも動ける完璧な配置で控えている侍女のリンへと視線を送ると、彼女はいつものおっとりとした笑顔で上品に一礼した。
「ええ、ローゼマリー様。皇帝陛下へのご報告の準備、そしてその後のお祝いのお茶会の手配も、すべて完璧に調えられておりますわ。不審なネズミ一匹、皇宮には入れさせません」
リンの言う「不審なネズミ」。
それは、私たちが魔王を討伐したという噂を聞きつけ、私たちの前に今さら這いつくばるためにやってきた、あの『前世の遺物』たちのことだった。
◇
皇宮の大謁見の間。
皇帝陛下への謁見を終えた私たちの前に、青白い顔をしてガタガタと震えながら、床に額を擦り付けている一団がいた。
それは、バロア王国の現国王、そしてかつて前世の私(シャルロット)を裏切り、偽聖女エレンの嘘に騙されて私を暗闇の底へと突き落とした、元婚約者のカイルだった。
魔王軍の襲撃によって国力が完全に破綻し、滅亡寸前となったバロア王国。彼らは、世界を救ったのがかつて自分たちが無能と罵って追放したシャルロットの転生体(ローゼマリー)だと知り、なりふり構わず帝国へと泣きつきにやってきたのだ。
「シャ、シャルロット……! いや、ローゼマリー皇女殿下……っ! どうか、どうか我がバロア王国をお救いください……っ! カイルも、あのエレンという女に騙されていただけで、本当に愛していたのはお前だけだったと言っているのだ……っ!」
国王が涙と鼻水を流しながら、醜く這いつくばる。
その隣で、かつての傲慢さを完全に失ったカイルが、縋るような哀れな視線を私へと向けて声を震わせた。
「そうだ、シャルロット……! 僕が悪かった! お前が本当の聖女だったなんて、僕は知らなかったんだ! 今すぐバロア王国に戻ってきて、僕の正妻になってくれ! お前を国母として、世界一幸せにしてあげるから……っ!」
あまりにも身勝手で、反吐が出るほどに卑しい命乞いと求婚。
大謁見の間に集まった帝国の貴族たちが、その醜態に冷ややかな軽蔑の視線を送る中、私は立ち止まり、扇で口元を隠しながら、心底哀れなゴミを見るかのような冷酷な笑みを浮かべた。
「……ふふ。前世の敗北者たちが、一体どこの口でそんな寝言をのたまうのかしら?」
「え……?」
カイルが呆然と顔を上げる。
「勘違いしないでちょうだい、無能な元婚約者さん。私が今、この手で握り締めている幸福はね、あなたたちのような薄汚い人間が触れていいものじゃないのよ。バロア王国が滅びようと、あなたたちが泥水をすすろうと、今の第一皇女ローゼマリーにはこれっぽっちも関係のないことですわ」
私がそう言って、指先にほんの少しだけ、かつて世界を浄化した紫と黄金の魔力の威圧を灯した。
それだけで、大謁見の間全体の空気が一瞬で凍りつき、カイルたちはあまりの恐怖に息を吸うことすらできずに床へと押し潰される。
「ローゼマリーの言う通りだ。我が妹を無能と罵り、傷つけたバロア王国の罪……、本来なら僕の魔法で今すぐ国ごと跡形もなく消滅させてあげるところだよ? 妹が汚いゴミを見るのが嫌だと言うから、今すぐ追放するだけで済ませてあげるんだ。ありがたく思いながら、一生地下の牢獄で己の愚かさを悔いるといい」
アルベルトお兄様が、氷のように冷たい、底知れない殺意を孕んだ眼光で彼らを見下ろす。
「警備兵の皆さん、主(あるじ)たちの視界にこれ以上ゴミを放置しないでください。お掃除(間引き)の時間ですわ」
リンがスッと手を挙げると、帝国の屈強な近衛兵たちが一斉に進み出、カイルたちを文字通りネズミのように引きずりながら、大謁見の間から容赦なく叩き出していった。
「シャルロットーーっ! 助けてくれーーっ!」
という哀れな悲鳴が遠ざかり、やがて完全に消え去る。
前世の未練も、悪役令嬢としてのすべての因縁も、これで本当に、正真正銘の完全決着。
彼らは私の足元にすら及ばない場所で、永遠に落ちぶれていくのだ。
「ふふ、お茶の前の、良い退屈しのぎになりましたわね、お兄様、リン」
私は扇をパチンと閉じ、最高のハッピーエンドを前に、いつもの高貴で美しい微笑みを浮かべた。
「さあ、お兄様、リン。私たちの、世界で一番甘くて幸せなお祝いのお茶会を始めましょうか」
私たちはしっかりと手を繋ぎ、
光に満ちた皇宮の庭園へと、満面の笑みで歩み進めるのだった。
コメント
1件
読み終えました…っ!このエピソード、最高に溜飲が下がる回でしたね🥀✨ 前世で自分を裏切ったカイルたちが這いつくばって許しを乞う姿、そしてローゼマリーの「薄汚い人間が触れていいものじゃない」って冷たい一言、本当に痛快でした…!お兄様のシスコン全開な過保護も、リンの「お掃除(間引き)」も、完全に味方で固めてるのが胸熱です。ただ、これで本当の完全決着なのかな?続きが気になります…!お疲れさまです、りるらさん🌙