テラーノベル
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「買い物って、どこに行くつもりなの?」
ミィは顎に指を当てて考える。
「とりあえず小物類を見たいから雑貨屋に行きたいな……。そうだ、北口の雑貨屋さんに行こ。地下にはゲームセンターもあるし。」
そう話し店を出る。確かミィの話す雑貨屋はアーケード付の商店街を途中で左に曲がった先にある、地下1階、地上5階のビルだ。1階から5階が有名なチェーン店の雑貨屋になっている。チェーン店とは思えないような、おしゃれな雑貨やコラボ雑貨なども多く、コスメや食品、衣服まで売っているのだ。
「良し、じゃあ行くか。」
そう言ってミィの手を引いて歩きだすとミィは驚いたようにこちらを見た。
「どうしたの?」
「いや、突然手を握って歩き出したから……。」
俺は慌てて手を放し、おろおろとする。自分でも突然の事に動揺を隠せず恥ずかしい……。
「ご……ごめん。人が多かったから……はぐれないようにと思って……。」
言い訳をするが、正直何も考えておらず、普通に元カノと一緒に歩いていた時の感覚で手を繋いでしまった。
吉祥寺は元カノと何度もデートに訪れたことがある。何なら元カノは今から行く雑貨屋の5階で売られているオリジナルブランドのコスメを使っていたのだ。その時の感覚のままにミィの手を握ってしまうなんて……不覚だった……。ミィはここぞとばかりに、ニヤニヤとしながら俺の顔を覗き込む。
「あれ~? もしかして、私と手を繋ぎたくて仕方がないのかな~? そっか~、私、可愛いからな~。」
俺はジャケットのポケットに手を突っ込んでムスッとしながら歩く。
「早く行こうぜ。」
すると、ミィは飛びつくように俺の腕に抱きつく。そして俺のポケットに手を突っ込んで、無理やり手を握った。
「ミィちゃんは優しいので、手を握ってあげよう。」
「いいよ、恥ずかしいから。それに誰かに見られたらどうするんだよ。」
「その時はその時だから良いの。」
そんなやり取りをしながら吉祥寺駅の北口に向かって歩いていると、ふと、ある人影が目に付いた……。あれはアイさん……? アイさんは、隣を歩くチャラそうな男性の腕に抱き着くように歩いている。男性はアイさんの事を鬱陶しそうにしながらつまらなそうな表情を浮かべていた。
ミィは俺がアイさんと、アイさんの隣を歩く男性の姿を目で追っていることに気が付いたようで、それまで煩かったのに水を打ったように静かになった。しばらくして、アイさんの姿が見えなくなってからミィは気まずそうに口を開く……。
「今の……見ちゃったよね……。」
「ああ。あれ、アイさんの彼氏?」
「……うん……。私はアイさんにはもっと良い人がいると思うんだけれど……アイさん、今はあの人しか見えないみたいだから……。」
「まあ好みは人それぞれだし、アイさんが選んでアイさんが幸せならそれで良いんじゃないか?」
「あの……他の人には……。」
「言う訳ないだろ。」
その後ミィと一緒に雑貨屋へとたどり着いた。ミィは5階から順番に見て回りたいとのことでエスカレーターで5階まで上がる。ミィは主に、文房具を中心に見て回っている――。「学生かよ!」と突っ込みたくなったが、考えてみるとお気に入りの文房具を使用した方が、メモをしっかりと取ろうという気持ちが湧いてくる。あながち社会人の方が文房具選びは大事なのかもしれない。
5階から1階まで見て回った後、地下1階のフロアへと向かう。ここは、地上とは全く異なりゲームセンターが入っている。ミィはふと、クレーンゲーム機の前で足を止めた。そのクレーンゲームの景品は大きな猫のぬいぐるみで、取るのはかなり難しそうだ。
「チャレンジする?」
ミィは首を横に振る。
「別に、欲しいわけじゃなくて『取るの難しそうだな~。』って見ていただけだから。あっちのやつをやろ。」
ミィが指を指した先には、お菓子が山のように積んであるタイプのクレーンゲームが置かれている。メダル落としをお菓子で行うような形式で、スライドをする台の先端に大量のお菓子が積まれている。
ミィは、どのお菓子を狙うか真剣に選びコインを投入した。そしてアームを操作すると、一撃でお菓子の山を崩した。ミィも驚いたようで、目を丸くしてこちらを向いてハイタッチを行う。
「凄いじゃん! でも、このお菓子どうするの?」
店員さんからビニール袋を受け取り、お菓子を詰めながら話す。
「う~ん……どうしようかな……とりあえず、メルラブに持って行ってみんなで食べようかな?」
そう言いながら、お菓子の1つをこちらに差し出した。
「あと、ユウト君にも1つあげる。忙しい中、私に付き合ってくれたお礼だよ。あと、クリスマスプレゼント。」
今日一日のお礼にしては安い気がするが……。まあ、何だかんだでミィとの買い物は楽しかったので良しとしよう。
お店の外に出て駅の方へと歩くと、駅前ではイルミネーションの飾り付けがされている。まだ、時間が早いためイルミネーションは点灯されていないが夜になれば綺麗だろう。
「ねえユウト君、今度は夜に来ない?」
「まあ、時間が合えば考えておくよ。」
#長編
結愛
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#夏休み
トド村
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コメント
1件
あらら、ユウト君が無意識に手を握っちゃう気持ち、何となく分かるなあ。元カノとの習慣がふと出ちゃうの、リアルだなって思いました。ミィの「ミィちゃんは優しいので」って抱きつき返すところはちょっとズルいですよね(笑)。そしてアイさんの件、あの何とも言えない空気の切り替わり方が上手い。ラストの夜のイルミネーションの誘いも、二人の距離が確かに変わってきてる感じがして、次が気になる終わり方でした。