***夜。
自分のベッドに横になって、スマホを眺めていた。
(寝なきゃ……)
でも、頭の中は岩本くんのことでいっぱいで、全然眠れそうになかった。
今日の楽屋でのやりとり。
昨日のスタジオでの撮影。
遠征で2人きりだった時間。
考えないようにしようとするほど、思い出してしまう。
「……はぁ」
ため息をついて、目を閉じた。
頭に浮かぶのは、岩本くんの顔。
「っ……」
思わず、布団を被って目をぎゅっと閉じる。
忘れようとするのに、脳裏に焼き付いて離れない。
——かっこよかった。
それだけのはずなのに。
どうしようもなく熱を持っていく。
(ダメだって……)
そう思うのに、止められなかった。
身体の奥に溜まった熱が、指先へと導くように疼く。
胸が苦しい。
この気持ちは、もう隠しきれないくらいに大きくなっていて——
気づいたら、手がゆっくりと下へと向かっていた。
「っはぁ、んっ」
(……岩本くん)
心の中で名前を呼ぶ。
脳裏には、岩本くんのシャワー上がりの姿がはっきりと思い出されていた。
タオルを肩にかけながら、髪から滴る水滴を拭っていた姿。
無防備な鎖骨。濡れた前髪。まだ少し湿った肌。
(あの時、やばかった……)
普段はあまり意識しないのに、あの夜だけは、妙に色っぽく見えた。
「あ……っく」
静まり返った部屋の中、自分の鼓動と浅くなる息遣いだけが耳に響く。
思い出すだけで、体が熱くなっていく。
抑えようとしても、もう止められなくて——
ただ、静かに息を殺しながら、自分を慰めた。
「……岩本くん……っん」
声にならない想いが、喉の奥から漏れる。
どれだけ手を伸ばしても届かない距離にいる人を思いながら、募る感情を持て余して、ただ熱を発散させるしかなかった。
「…イ、っく…っん」
終わった後、天井をぼんやりと見つめる。
「……何やってんだろ、俺」
虚しさと、満たされなさが残る。
好きだ。
好きで、好きで、たまらないのに。
この想いは、誰にも知られちゃいけない。
岩本くんには、絶対に——
(……知られたくない)
そう思いながら、目を閉じた。
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