ここ最近、ずっと胸が苦しい。
抑えようとしても、気持ちは大きくなるばかりで、どうにもならない。
1人で抱えるのは、もう限界だった。
そんな時、目黒はふと視線を向けた。
楽屋の隅でスマホをいじっていたふっかさん。
(……ふっかさんなら、聞いてくれるだろうか)
飲み会で、酔った勢いで相談してしまったあの夜。
「……好きな人がいるんですけど、うまくいかないっていうか……」
「いや、まじでどうすればいいのか……」
あの時、メンバーは冗談半分に受け止めていたけど、ふっかさんはどこか気にしているようだった。
今なら、話せる気がする。
意を決して、俺はふっかさんの隣に座った。
「ふっかさん、ちょっといいですか?」
「ん? どした?」
「あの……この前の飲み会で言ってたことなんだけど……」
その言葉に、ふっかさんの表情が少し変わる。
「……あぁ、好きな人がいるって話?」
「……はい」
ふっかさんはスマホの画面を閉じて、真剣な顔で俺を見た。
「……目黒、結構悩んでるよな?」
「……正直、めちゃくちゃしんどいくて」
思わず、本音が零れる。
ふっかさんは少し考えてから、ぽんと俺の肩を叩いた。
「じゃあさ、今日飯行かね?」
「え?」
「ここじゃ話しづらいだろ? どっかで飯食いながら話そうぜ」
「……いいんですか?」
「当たり前だろ。後輩が悩んでんのに、放っとけるわけないじゃん」
その言葉に、胸がじんと熱くなる。
「……ありがとう、ふっかさん」
「よし、じゃあ仕事終わったら行くぞ。焼肉でいいか?」
「うん……!」
ほんの少しだけ、心が軽くなった気がした。
コメント
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ふっかさんはやっぱり頼れるお兄ちゃんだね