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付き合うまでのお話。

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付き合うまでのお話。

11 - 冗談じゃない。

♥

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2023年05月16日

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「あろま」

「………」

「ねぇ、あろま」

「…るさい」


俺がこいつを傷付けたことは確かだ。でも、なんでなのかはわからない。おちょくった?いや、そんなつもりはなかったけど…

俺はエスパーじゃないんだ。聞かないと…

今じゃないと…話をしてくれなくなる気がしたんだ。

悔しそうな顔をしながらひたすらに泣いているあろまの涙を拭いてやる。俺の顔を睨んで、触んな、と手を振り払われてしまった。


「あろま、俺がなにかしたなら謝るから。だから、なんで怒ってるのか教えて」










しばらくするとあろまは泣き止んだ。胸ぐらを掴んでいた手がゆっくりと離れ、胸の上にそっと置かれる。


「冗談って、無かったことにされてムカついた」

「うん」

「酒のせいにして誤魔化そうとしてるのも」

「うん、ごめん」

「ほんと、何なのお前…」


ここまで感情をあらわにするこいつを見るのは今までになかった。観念した俺は、さっき口走ってしまったことの真意を告げる覚悟をした。


「じゃあ、言うよ。引かれるかもしれないけど」

「今更だろ」

「俺は―」









「あろまのこと好きなんだよね」










「…それで、俺にどうしてほしいの」

「えっ?」

「付き合ってほしい?」


そんなことまで考えていなかったけど、やっぱりこいつを独り占めしたいって気持ちが強くなる。


「あ…はい」


誘導尋問みたいにされたけれど、やっと言えた。あの時雰囲気に飲まれて思わず口走ってしまった言葉を。今回はちゃんと濁さずに言えた。引かれると思って長年秘めていたこの想いは、旅行先というなんともいいタイミングで開放されたようだ。

でも、肝心のこいつの答えは…


「…引いた?」

「…引いたよ」

「だよな…すまん」

「じゃなくて」

「え?」

「それ言われて…嫌な気持ちにならない自分に引いた」


その台詞を聞いて、俺の心臓は高鳴る。期待してもいいのか。まだ酒が抜け切らないで勢いで言ってるだけじゃないのか。色んな考えが頭の中を巡る。


「それって―」










眼の前が暗くなる。それと同時にシャンプーのいい匂いがした。自分の唇に触れる柔らかく湿った感触。


「あ…ろま…」

「これが俺の答えだよ」


一瞬何が起こったか分からなくて、放心状態だった。そんな俺を、さっきまでの怒った顔とは違う、優しくも哀しい目で見ている。


「……」

「なんとか言えよ」

「えっ…ほんとに…?」

「うん、まぁ」

「あろまも…ってこと?」

「何回も聞くな恥ずかしい…」


信じられなくて、でもこいつの雰囲気からして酒のせいではないも思う。じゃあ本当に…

俺は体を起こしてあろまの腰に手を回す。やっぱり細いなぁ。ちゃんと食べてるんだろうか。


「ね、ちゃんとその口から聞きたい」

「…何を」

「返事だよ」

「さっきしたろ」

「ちゃんとあろまの言葉で聞きたい」


俺が食い下がると、こいつはチッと舌打ちをしてまた嫌な顔をする。でも、多分恥ずかしいだけで満更ではないんだと、そう思った。










「俺も好きだよ、お前のこと」




To Be Continued…

付き合うまでのお話。

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