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起きて、愛しい貴方。
魔法のポーションを飲ませる。 クランベリーのほろ苦い幸福の味を貴方はまた味わう。
もう一度、貴方を目覚めさせる。
貴方に会うため。
そして、貴方を殺すため。
加速した脳が目覚めを知らせる。また、生きていたのか。
全くあの魔女はどうして僕を生かすのだろう。
魔女は生かしてはいけない。その目標を掲げ僕等騎士団は戦う。
あの魔女を倒し、勝利を勝ち取る。
僕のマイレディーは枯れやしない。
Lata Rulila Rurula Rulila Ta…
Lata Rulila Rurula Rulalila…
Lata Rulila Rurula Rulila Ta…
Lata Rulila Rurula Rulalila…
魔女の歌声が何処からか聞こえる。その歌は建物内に響いている。
コツ…コツ…。魔女が歩く音がする。どうやら近くに魔女が居るようだ。
「ご機嫌よう、ガラハッド。お茶でもいかが?」
そうして魔女は椅子に座り、微笑む。
テーブルの上にはサンドウィッチ。
「ふふっ、毒入りサンドウィッチは貴方の口に合うかしら?さあ、お食べなさい。運が良ければ腐らないわ」
挑発に乗る様に僕はサンドウィッチを食べた。体に異常は無く、どうやら僕は運が良かった様だ。
「次はお前の番だ。食べてみろ。倒れるまで食べればいい」
そうして魔女はサンドウィッチを食した。魔女も僕と同様に異常は無かった。
「お食べなさい。今度は当たるかしら?楽しみね」
「食べてみろ。お前の腹が弾けるまで食べればいい」
そうして僕達はサンドウィッチを食べ続けた。
おかしい…どうして僕達に異常が無いんだ。
「本当は毒なんて入れてないわ」
そう魔女は言った。
「何故だ。お前は僕を殺そうとしている筈だろ」
「そうよ。でも、ううん、やっぱり言わないわ」
「さようなら、ガラハッド」
そうして魔女は暗闇に消えた。
街に戻った。そうして山を越え、地下牢を這いずるマイレディーに会いに行った。
マイレディーは語る。
「ガラハッド1号、君は失敗してはいけない」
そう言いマイレディーは僕の手に何かを置いた。見るとそれは光線銃。
「ガラハッド、君はその銃であの魔女を殺すんだ」
だから、僕は光線銃を充填した。
武器を持ち、魔女の元に向かった。
「Talila Ralila…」
魔法の呪文を唱える。骨を鋼よりも強くする魔法よ。
「Twolila Talila…」
これは想いをクラウドにバックアップする魔法よ。正確に言うと自身の想いを忘れない様に。そう、貴方への想いを。
全てこの魔法は私が幼い頃から習得したもの。毎日、毎日本を開いて一生懸命練習したお陰かしら。今ではほぼ全ての魔法を操れる様になったわ。
この世は真実か嘘に分かれているわ。”分からない”、何てただの愚かな人間の戯言よ。この世の事なんて全て科学で証明できるわ。
私は本を開く。
617ページ、『科学的黒魔法』の章へ。
最後の戦いに備えて。
宮殿に着いた。ここまで長い道のりだった。だが、この戦いでこの長い長い道に終止符を打つ。
扉を開ける。そこには魔女、テルルの姿がいた。
「ご機嫌、ガラハッド。随分真剣な顔ね。」
いつもと違う、鋭い目つきをしたテルルがこちらを見る。
「今日、お前を討ち破る。そうして僕は世界を征服する」
光線銃を持ち、テルルに向けた。
「そう、撃てばいいわ。貴方はあのランスロット0号と比べて新しいグレードの筈よ」
「お礼を言おう、だが、お前から貰った愛は重すぎるんだ」
そう言った瞬間テルルの顔は変わった。
「どうして、私はこんなに貴方に尽くしたのに、まだ足りないと言うの!!」
容赦なく僕の方に攻撃が飛ぶ。だが、僕も腕が上がった。ひとつひとつ剣で弾き、テルルのすぐそばまで来た。
「その剣で私を貫けばいいわ。…結局、私の女神は一度もこっちを向かなかったみたいね」
それは僕の方もそうだ。僕達の女神は冷たい。
グサリ、剣がテルルの体を貫く。
「ああ、もう私も終わりね…」
そう言い残しテルルは倒れた。
やっと魔女を殺した。それなのにどうしてこんなに胸が苦しいのだろう。
もう戻れない。僕は魔法は使えない。二度とテルルは目覚めない。
この手で僕はテルルを殺した。街に戻ったら僕は英雄として讃えられるだろう、だが、僕は英雄と呼ばれる筋合いはない。一生この罪と共に生きるしかないんだ。
僕が唯一出来る償いはただこの先を進むだけだ。この先にある未来をあの世のテルルに伝えるだけだ。