コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あれって魔導士だよな?」
「うわ、ほんとよ」
「あの子高等部生よね?ってことは対象?かわいそー」
いつも通る通学路なのにこんな憂鬱なのは何故だろうか。冬で、ぱらぱらと雪が降っていることも相まって余計に孤独を感じる。もしこれであまやねむさんの態度が変わったら…。僕はどうなってしまうのだろう。
まだ2人には会っていないから分からないけれど、2人も放送は聞いているだろうし、対応が変わらないとも言いきれない。それに、元々冷たかった兄も、さらに冷たくなったように感じた。
「なに見てんの?」
怖い口調だけど、その声は深く安心する声だった。
「あま…、?」
「気にしなくて良いから。早く行こう」
「えっ、ちょっと…っ」
無理やりあまに腕を引っ張られ、連れて行かれる。どうやらあまは変わっていないらしい。
だが、学校でもそれが続くかは分からない。警戒はしておいた方がいい…のかな。
………。今日の前で足が止まる。下駄箱や廊下でも散々言われて来たが、教室に入ればさらに酷くなるかもしれない。
「あめ、大丈夫、僕が付いてる」
「あま…」
「僕が先に入るから、着いてきて」
「分かった。」と静かに頷き、扉を開ける。
するとぽふっと痛くは無いが妙な音がした。ふとあまを見ると、綺麗な白髪にはチョークの黄色や赤などの色がハッキリ見える。
「あ、え?ご、ごめんね」
「す、すぐ片付けるわー、あはは…」
あまは「チッ…」と舌打ちをして、また僕の腕を引っ張り、席に座らせた。
もし、僕が先に入っていれば、あまが汚れることは無かったのだろうか。そう考えると…。とても申し訳なくて、胸が苦しかった。