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昇降口に入った瞬間、ざわざわした声が耳に届く。
「ねぇねぇ聞いた?文化祭でギター部の若井と……」
「肩組んでたやつでしょ?あれ絶対そうだよね」
「やっぱ付き合ってんじゃん?」
……。
足が止まった。
俺のこと、だよな。
慌てて靴箱を開けようとしたら、後ろから声。
「おはよ、元貴」
若井だ。
いつも通りの明るい声なのに、
廊下にいた何人かが一斉に俺たちを見る。
「……っ」
視線が刺さるみたいで、思わず顔を伏せる。
「どうした?」
「な、なんでもない……」
けど、若井は気づいてないはずがない。
むしろ周囲のざわつきを楽しんでるみたいに、
にやっと笑って俺の肩をポンと叩いた。
教室でも噂は止まらなかった。
「ギター部ってそういうの多いのかな~?」
「若井、前から仲良すぎだと思ってた」
机に突っ伏してたら、
若井が堂々と俺の席まで来て、隣に腰を下ろす。
「元貴、パン食う?半分やる」
「……お前さ、今みんな見てるから」
「別にいいだろ」
「よくない!」
声をひそめて抗議しても、若井は気にする様子ゼロ。
むしろその余裕が余計に俺を追い込んでくる。
逃げ場を求めて音楽室に行ったら、
涼ちゃんが練習を終えて出てきた。
「元貴? 顔赤いけど、大丈夫?」
「……なんか、その……」
噂の話を少しすると、涼ちゃんはふっと微笑んだ。
「そりゃそうだよ。
昨日の若井、君を抱き寄せてたじゃない。
誰だって気づくよ?」
「う……」
「でも、元貴が困ってるなら、
僕が話を逸らしてあげようか?
否定する理由があるんでしょ?」
「……」
涼ちゃんの優しい声が胸に響く。
けど俺の中では、否定しきれない何かがもう膨らんでいた。
昇降口を出ると、待っていた若井が
当然のように俺の隣に並んでくる。
「なぁ、噂のこと気にしてんの?」
「……当たり前だろ! 恥ずかしいし!」
「別に、本当なんだからいいじゃん」
「っ……!?」
軽く言われたその一言で、息が詰まる。
「……ばか……」
「ん?」
「バカ!」
俺は思わず顔を覆って、
その場にしゃがみ込んでしまった。
そんな俺を見て、若井はニヤリと
笑いながら腰をかがめてきた。
「泣きそうな顔して……可愛い」
「~~~っ!!」
通りすがりの生徒たちが振り返ってざわつくのも
気にせず、若井は俺の頭を優しく撫でてきた。
──────
全く別の話なんですが、今日バベルの一般の当落発表ですねぇぇ!!!
流石にきついかなぁ、
次はファミマですね、…