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まあ、どちらにせよ今さらの話だし、気にする必要もないだろう。
それにしても、相変わらず君は変わらないね。
ああ、もちろんわかっているよ。君が僕を信じていないということぐらい。
だからこそ僕は君のことが好きなんだ。
もしも君に少しでも僕のことを信頼してくれている部分があるならば、きっと今の僕の言葉を疑うはずだ。
だけど、君は僕の言葉を受け入れてくれる。
そうだろ? だって、君は優しい子なんだもん。
さて、今日は何をして遊ぼうかな。…………
私は、私のことが好きでした。
私を愛してくれた人がいましたが、それでも、私が自分を愛する気持ちの方が強かったと思います。
けれど、ある時、その人は突然消えてしまいました。
私はその人のことを忘れようと努力しました。
忘れなければ、生きていけないと思ったからです。
けれど、どれだけ時間が経ってもその記憶は消えることはなく、むしろ日増しに強くなっていきました。
そうして、ある日のこと、とうとう耐え切れなくなった私は、その人との記憶を全て失ってしまいました。もう二度と思い出さないよう、心の奥底に封印したのです。
その代償として、私は今まで持っていたものを失いました。
大切な友人との絆、大好きだったあの人への想い、全てを失ってしまいました。
その日から、私は一人ぼっちになってしまいました。
寂しくて悲しかったけど、それでも仕方がないことだと思いました。
なぜなら、失ったものはもう取り戻せないから。
たとえ取り返しのつかない過ちを犯しても、人はまたやり直すことができるのだと信じたい。
人生とは長い旅のようなものであり、時には立ち止まり休息を取ることもある。それでも再び歩き出す力がある限りは前に進むべきなのだと思う。そう信じなければきっと前に進めなくなってしまうから。
大切な人が亡くなってしまった時、その人の分まで生きることが出来ますか? 私は、無理です。私の全てはあなたのために存在していました。私に残されたもの彼女がいない世界で生きる意味だけでした。だから私は彼女の後を追うことにしました。
だけど、彼女の後を追いかけようとした途端、神様が現れてこう言いました。
「お前さんはまだこっちに来るには早いよ」ってね。
そこで私は思い直したんです。そうだよね、私がいなくなったら誰が彼女の世話をするんだろうって。それで、彼女の面倒は誰か他の人に見て貰うことにして、今はとりあえず生きていこうと思いました。
彼女の分もしっかり生きて、幸せになってやるぞ! って意気込んでみたけれど、やっぱりダメでした。
彼女の居なくなった世界なんて、色あせて見えて仕方がないんです。
もう、終わりにしましょう。
君が望むなら、僕は君の前から消えることにする。
僕が消えれば、君は自由に生きられるようになるだろう。
僕のことは忘れてくれ。そして、どうか新しい恋を見つけて欲しい。……
君が望まないのであれば、僕が消える理由なんてどこにもない。…………
君はいつもそうだね。自分を犠牲にすることでしか、物事を考えようとしない。他人の心配をする余裕があるのならば、もっと自分を大事にしたほうがいいよ。
君のことだから、きっと僕のことも助けてくれるとは思うけれど、あまり無理はしないようにしてほしいかな。それにしても、君って本当に優しいよね。僕は君のそういうところが好きだよ。
ああ、ごめんなさい。別に変な意味じゃないわ。あなたのことは嫌いではないけど、異性として好きとかそういう話じゃなくて、人として好ましいという意味なの。あなたは僕にとってとても大切な友人だし、これからも仲良くしていきたいと願っているわ。えっと、つまり、僕はあなたに感謝をしているということ。ありがとう。それだけを伝えたかったの。
僕の方こそ、あなたの力になれなくて申し訳ないと思っているわ。僕が無茶なことをしたせいで、あなたにも迷惑をかけてしまったみたい。本当は、こんなこと誰にも知られたくはなかったのだけれども……あなたは特別な人だから、隠し事はしたくなかったの。ごめんなさい。
ねえ、聞いてくれるかしら? 今までずっと黙っていたことがあるんだけど、やっぱり今のうちに言っておこうと思うの。
実はね、あの時、僕……あなたを助けようと思って、わざと崖から落ちたフリをしていたの。