コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〜柊和那泰side〜
放課後、学年室で資料を確認していると、四人の生徒が入ってきた。
「せんせー!今来ましたー!」
「すみません、帰りの会遅くなっちゃって……。」
「今日何やるんすかー?」
「そういえば、頼まれていた資料ってこれで合ってますかね?」
それぞれ別々のことを言いながら入ってきた四人は、学年委員の子たちだ。
「今日もよろしくね。さあ、とりあえず座って。」
これまで担当した中でもトップクラスで元気な今年の一年生に、どのクラスの先生も最初は手を焼いているようだった。
そんな先生たちの右腕となり、クラスをまとめてくれたのが彼らだった。
計画性や行動力も優れていて、いつも一年生の先生全員隠れて感謝している。
「それじゃあ、はじめようか。」
職員室に資料を取りに行って戻ると、教室から元気な話し声が聞こえてきた。
(今の子達ってどんな話題で盛り上がってるのかな。)
少しだけ、と耳をそばだてる。
「やっぱりさ、柊先生が一番なんだよ!」
自分の話題だったらしく、より興味が湧いてしまう。
「翠ちゃん、柊先生大好きだよね。さすが初恋キラーの異名を持つだけあるよ。」
「ファンクラブもあるらしいね。」
「あたしは皆とは熱量違うもん!ほら見てよこの写真!」
(写真?)
体育祭や宿泊学習で販売した写真でも持ってきているのだろうかと、教室の中を覗き込む。
「この!この仕草見てよ!多分家でメガネしてるからさ、つい指でクッてやっちゃうんだよ!メロすぎない!?」
「これ今日の授業の写真?確かに盛れてるね。学校配布のタブレットだから咎められないだろうし。」
(何やってんの?!)
つい驚いて固まる中、教室ではまだまだ会話が続く。
「でも暁には敵わないよ〜。」
「まあな。飛鷹先生の住所と電話番号、メールアドレス、あとFacebookのアカウントも知ってるよ。」
「合鍵も持ってるんでしょ?一個くらい分けてよ。」
「はあ?やるわけねえだろ。つーか如月も東雲も早く箱推しやめて最推し作れば?」
「作んないよ。私は教師っていう職業が好きなんだから。」
「だから風香は地球上の先生全員覚えてるんでしょ?」
「うん。最近はマダガスカルのラコトマララ先生が気になってるかも。」
「へえ。僕はここの先生しか興味ないからな。」
「東雲くん、ChatGPTに先生の考え方とか喋り方とかを教育させて、放課後によくお喋りしてるって言ってたよね。」
「うん。今のところ、一年生の先生は完璧にコピーできた。先生同士を喋らせるのも楽しいよ。」
(……。)
どうやら彼らは、俺が思っていたよりもヤバい”先生推し”だったらしい。