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鷹槻れん

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#極道
鷹槻れん

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瑠璃香はしばらくスマートフォンを見つめた。
悦子の勘の良さにドキドキしてしまう。
そう。以前瑠璃香は、悦子の恋が上手くいったら自分も晴永とのことを告げようと思っていた。今回の社長室呼び出しの件も、それを抜いて説明することは困難だ。
(でも、……今はあの時とは状況が違う)
そう思うと、やはり自分一人では決められないという結論に行きつくのだ。
(晴永さん……)
瑠璃香は、メッセージアプリを開いた。
いつもなら彼の方からの定期連絡を待つところだが、今日は自分の方に晴永へ相談したいことが出来た。
(けど電話じゃ、晴永さんのお仕事の邪魔になりかねないもんね)
だから、彼が都合のいい時に見られるメッセージを残すことにした。
『晴永さんに相談したいことがあります。
お仕事が落ち着いたら、お電話をいただけますか?』
送信。
ほどなくして既読が付き、
『分かった』
とだけ返信がくる。
その短い返事に、瑠璃香はほっと胸を撫で下ろした。
***
夜。
夕食も入浴も終え、一息ついていた頃、スマートフォンが鳴った。
大体いつも通りの時間。画面には案の定、『新沼晴永』の文字が表示されていた。
「もしもし」
ドキドキする胸を押さえながら、通話に応じる。
『悪い、待たせたな』
「ううん」
『今日はわざわざ社長室まで来てもらって悪かったな』
「いえ、私こそ……社長にお時間を作っていただいて」
『当然だろ。じいさんは瑠璃香にそれだけのことをしたんだ』
「そんな言い方……」
瑠璃香を気遣ってくれる物言いに、自然と表情が和らいだ。
『それで? 相談って、もしかして今日のことで何かあったか?』
問われて、一瞬、藤代秘書から口止めされている〝あの話〟が頭をよぎった。けれど、今話すべきはそれじゃない。
「実は……」
瑠璃香は今日あった出来事をかいつまんで話し始めた。
藤代と一緒に社長室へ向かう途中、エレベーターで日下仁人と鉢合わせしたこと。
夜になって同期の木嶋悦子から電話が掛かってきたこと。
『なるほどな』
晴永が小さく息を吐く。
「二人とも、どうして私が社長に呼ばれたのか気になってるみたいで……」
呼ばれただけならまだしも、社長の筆頭秘書の藤代が一緒だったことも、良くなかった。
「今、一応理由を話すのは保留にしてあるんです……」
そう付け加えてから、瑠璃香は恐る恐る続けた。
「だから……」
『うん』
「日下と悦子にだけは、私たちのことを話してもいいですか?」
受話器の向こうが静かになる。
その沈黙が、瑠璃香にはものすごく長く感じられてしまった。
『まぁ……俺たちのことを抜きにして説明するのは無理だよな』
「はい」
しばらく考えていた晴永だったが、やがて穏やかな声で問うてきた。
『瑠璃香にとって、二人は大事な同期だよな?』
何故そんなことをいきなり? と思いつつも、瑠璃香は「はい」と答える。
『なら、いい』
「え?」
『お前が信頼してる相手なんだ。俺も信用する。それに――』
「……?」
『あの二人がお前を裏切るとは思えねぇ。だから、言ってくれて構わない』
その一言に、瑠璃香は安堵する。
なにより、瑠璃香が大事に思っている人を、晴永もそう思ってくれると宣言してくれたことが嬉しかった。
『もちろん、他言しないって約束はしてもらえよ?』
「はい」
『なら問題ない』
「ありがとうございます」
瑠璃香は心からそう答えた。
通話を終えたあと、すぐに悦子へメッセージを送る。
『近いうちに悦子と日下と私の三人でご飯に行かない?』
数分もしないうちに返信が届いた。
『いいね!』
その短い一言に、瑠璃香は思わず笑みをこぼす。
近いうちに、お互いの秘密を打ち明けよう。
そう心に決めながら、スマートフォンをそっと胸へ抱き寄せた。
リビングでは、なまこが元気よく回し車を回している。
コメント
2件
同期会が楽しみ!
ああ、このエピソードめっちゃ良かった……!瑠璃香が勇気出して晴永に相談して、晴永が「お前が信頼してる相手なら俺も信用する」って言ったところ、ガチでグッときたわ。二人の信頼関係がちゃんと積み重なってる感じがして、ほんと尊い。悦子と日下に打ち明ける段取りも整ったし、次が楽しみすぎる🔥