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翌朝、ユキが目覚めると、視界はクリアになっていた。額に手をやると、昨夜の尋常ではない熱は嘘のように引いている。

「あ……」


ユキはゆっくりと身体を起こした。隣には、椅子に座ったまま、器用にうたた寝をしているリヴァイの姿があった。 彼はいつものように完璧に整えられた制服ではなく、白いシャツ姿で、背筋を伸ばしたまま微動だにしない。潔癖なリヴァイが、菌だらけかもしれない病人のそばを離れずに一晩過ごしたことに、ユキは胸がいっぱいになった。


「リヴァイ……」


ユキが小さな声で呼ぶと、リヴァイは一瞬で目を開け、戦闘態勢に入るかのように静かに立ち上がった。


「……起きたか」


彼の声は低く、寝起きのせいか少し掠れていた。


「もう大丈夫。熱、完全に下がったみたい。ありがとう、リヴァイ。一晩中、看病してくれたんだね」


ユキが心からの感謝を伝えると、リヴァイはふいっと顔をそむけた。


「ふざけるな。たかが数時間、目を閉じていただけだ」


「嘘。だって、私が寝てる間も、ずっと手が温かいか見てくれてたんでしょう?」


ユキは昨夜のことを思い出し、くすりと笑う。熱にうなされながらも、時折、リヴァイの冷たい指先が自分の手を握り、体温を確かめているのを感じていた。


「……てめぇの妄想だ。それより、水だ。飲め」


リヴァイは、いつも通りぶっきらぼうに水差しを差し出す。その横顔は、わずかに赤い。


ユキは水を飲み干すと、ベッドから降りた。部屋は昨日よりもずっと綺麗に整頓されており、換気もしっかりされていた。リヴァイが、ユキが寝ている間に全てを清潔に保っていたのだろう。


「お粥、美味しかったよ。具材の切り方もすごく丁寧で……。リヴァイって、何でもできるんだね」


「俺にできないことなどない」


リヴァイはそう言って胸を張るが、その耳の赤みは引かない。


ユキはそっとリヴァイの前に立ち、彼の細い腰に腕を回して抱きついた。


「本当にありがとう。おかげで一晩で元気になれた。ねえ、兵長。この看病のお礼は、特別な方法で払わせて?」


ユキが少し上目遣いで言うと、リヴァイの顔の赤みが、さらに増した。 彼はすぐにユキの肩に手を置き、引き離そうとする。


「……やめろ、馬鹿。病み上がりだ、大人しくしやがれ」


「もう病み上がりじゃないよ」


ユキが身を離さず、リヴァイの首筋に顔を埋めると、リヴァイは観念したようにため息をついた。


「……貸しは、絶対に忘れるなよ」


そう呟いた彼の声は、照れくささと、隠しきれない安堵で震えていた。 彼はユキを抱きしめ返す代わりに、その頭をポン、と軽く叩いた。


「よし。とっとと顔を洗って、朝飯にしろ。……今日の昼は、てめぇの好きな紅茶を用意してやる」


ぶっきらぼうな口調の中にも、確かに含まれた優しさに、ユキは「はい!」と笑顔で応えた。

もしもリヴァイの彼女が熱を出したら…

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