テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
〈broooock side〉
kr 「これから話すのは、現実的な話じゃないから飲み込みにくいと思う。」
きりやんは初めは躊躇っているようだったけれど詳しく、僕たちが理解しやすいように噛み砕きながら話してくれた。
つまり、きりやんの話をまとめるとこうだ
彼の生まれは怪異を駆除するためにできた霧雨という家系で、霧雨家は主に街に出る怪異たちを夜の間に退治していた。
怪異は特にヒトの呪いの感情が溜まる場所に集まりやすい。病院や大手会社のビル、学校だって例外じゃない。
しかしそういう場所に集まるのは雑魚の群ればかりで自我を持たない怪異たち。
いわば今回の学校で起きているような怪異は街に出ているのとは別次元の話ってわけ
だからこそ、きりやんはそこに警戒をしていた。なぜそんな危ない怪異が学校にいるのか、それはまだ明白な原因はないけれど、きりやんはある程度の考察を固めていたみたい
br 「ってことは怪異が強くなってるのは噂のせいってこと?」
kr 「今のところ、俺が考えられる範囲で一番濃厚な説かな」
nk 「なるほど、呪いが種で人間の認知から強化されているわけか」
kr 「さすがなかむ。理解が早くて助かるよ」
sh 「噂による認知の範囲が広がったせいで強くなってるのか?」
kr 「そうとしか考えられないんだよね」
kn 「強い怪異は自我を持つっていうけど、それって良く考えれば理性的になるってことだよな?人間に危害を与えるのは自我のない奴じゃないの?」
kr 「そこもちょっと複雑なんだけど、」
怪異が出現する仕組み。
その壱、呪いの溜まり場から形成されるもの
その弐、ヒトの認知によって強化されるもの
前者はあまり強力な能を持たず、理性もないためいわばカオス状態になっている。人間に実害を及ばないと言えば嘘になるが、こういう奴は被害が出る前に駆除されることが多い
後者がとても厄介。ヒトの認知とは波紋のように広がり終わりを知らない。ヒトの認知から形成されるものは歪んだ本来の姿ではない、人間の偏見というものに操られてしまう悲しい怪異だ。
自分たちで抗うこともできずに見えない枠組みに囚われ自分を失い、認知通りの姿へと変貌する。こうした怪異は駆除するには手間がかかる
kr 「怪異のもとは死者だ。死者を滅ぼすのは駆除をするか、皆から忘れ去られること以外にない」
kr 「でも忘れ去られるなんて、噂のある怪異が消滅することはないだろ?人間の噂は時を超えて歪んで行ってしまうから」
sh 「手こずってでも駆除の選択肢しかないのか。」
kr 「そうなんだよ。学校っていう限られた場所でもあるから仲間を呼ぶのも難しい」
kr 「それと、スマイルについてなんだけど」
彼はそう言いながらまだ眠りにつくスマイルの頭を撫でながら静かに話す
kr 「絶対に自我のある怪異に見られないようにして欲しいんだ。特に今日みたいな紅い霧や紅い水付近にいる怪異には。」
kr 「もちろんみんなも危ない目に合うから避けて欲しいんだけど、スマイルは怪異に好かれやすい体質でさ」
nk 「だからいつも心配してたのか」
kr 「、、そう」
br 「え、僕とか大丈夫かな。怪異にあーんなことやこーんなことされない?」
kn 「何言ってんだよ」
kr 「みんなはまだ大丈夫かな」
kr 「この学園には七不思議みたいな噂が飛び交ってる。つまりは、、」
sh 「今回の旧校舎だけじゃないんだな」
kr 「そういうこと」
kr 「みんなにはその噂の共有と、俺の駆除に力を貸して欲しいんだ」
おねがい。と深々と頭を下げる彼の姿を見ると、あまりにも突拍子のない話にフィクションのように感じられるこの状況でも、これがどれだけ重大なことかより気付かされる。
nk 「協力はもちろんしたいんだけど、俺らなんの力もないよ?」
br 「足手纏いにならないかな」
kr 「駆除は俺に任せて。みんなにはその後にして欲しいことがあるんだ」
…………………………………………………*
〈smile side〉
終わりのない沼にゆっくりと落ちていくような、そんな感覚が背中から感じてぞわぞわする。落ち着かない
でも頭に響く過去の記憶の声がひどく懐かしくて生温い。
「スマイルは怪異が見惚れるほど美しいからこまったのぉ」
sm 「婆ちゃん、、冗談はやめてよ」
「嘘じゃないさ。だからこそ気をつけなくちゃならないよ」
何をどう気をつけるべきかなんてところまでは覚えていなかった。
ただ、俺は怪異から近寄られちゃうから自分の身は自分で守らないとって、思い出したのはそれだけ。
暖かさに包まれながら瞼をゆっくりと開けた
そこにはみんなはいなくて、黄ばんだシミのついた保健室の天井だけが広々と視界を埋めた
そういえば、旧校舎を覗きに行ってきりやんに助けられたんだっけ。
俺はカーテンを開けて、旧校舎の方面に目を凝らした。
sm 「なんなんだ、あれ」