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『貴方想い、散りゆく恋』〜身分違いの恋だとしても〜
※6話の後の主様とそれぞれの担当執事で
番外編を作ってます。
番外編 〜テディ side〜
落ち込んでいる主様の為に、俺ができること…。一体それは何なんだろう。
コンコンっ。
『誰……?』
『テ、テディです。』
『……どうぞ。』
ガチャッ
『失礼します、主様。』
『どうしたの……?』
(目が腫れている…腫れるほど泣いたんだな…。)
『え、と…。』
『…用がないなら1人にして欲しい。 』
『!』
いつもの主様と違うのは明白だ。
だけど、いつもと違う口調に胸が痛む。
(ダメだ。俺が落ち込んでたら。)
『用ならあります!』
『え…?』
俺は主様を抱き締める。
『!』
『…俺の前で我慢しないで下さい。』
『テディ…?』
『泣きたいなら、泣いていいですから。1人で泣くのは悲しいです。それは俺がよくわかっています。』
『っ……。』
『俺が守りたいのは主様です。それ以外にありません。』
『っ、ふ、く…っ。』
我慢していたものが一気に流れる。
『う、ぅ、うわぁぁぁ…っ!』
『よしよし…。』
主様の頭を撫でる。
俺が貴方を守ります。例え貴方が…
俺を選んでくれなくとも。
雪華様。大好きですよ――。
番外編 〜ラムリ side〜
『っ、フィンレイ、様、なんで……っ。』
『主様…っ。』
主様の部屋から泣き声がする。
『主様を笑顔にしたい…。僕にできること、なにかないかなぁ。』
(僕は笑っている主様が好き。だから、主様笑顔になるならなんだってする。)
僕は3階執事部屋に行き、荷物を抱え、主様の部屋に向かう。
コンコンっ
『主様、僕です、ラムリです。』
『ぐす、ラムリ…?』
『主様に見せたいものがあるんです!』
『見せたい、物?』
ガチャッ…。
ゆっくりと扉が開く。
『見ててくださいね!ほっ!』
僕はジャグリングをする。
『ジャグリングだ…。』
『まだまだ行きますっ!』
僕はあれやこれやと主様を笑わせようとサーカス時代にやっていた技を見せる。
『はぁ、はぁ…っ。』
『ふ、ふふっ…。』
『笑った!やったぁー!』
ラムリはジャンプをして喜んだ。
『もしかして、私のために……?』
『はい!僕は主様の笑顔が大好きですから!だから、笑って欲しくて……。』
『ラムリ…。うん。笑顔になったよ。ありがとう。』
私はラムリの頭を撫でる。
『えへへ、良かったです!それでは僕はこれで失礼します。本当は傍にいたかったですけど、サボってるとナックがうるさいんで。』
『ふふ、またね。』
ラムリはニコニコしながら私の部屋から出ていく。
『主様……。』
主様の部屋のドアに手を添える。
『僕じゃ、ダメなんですよね――。』
『雪華様……。』
ボソッと名前を呟く。
主様が笑顔になるなら、それでいい。
でも、その理由が僕じゃないのは――。
番外編 〜ラト side〜
『ぐす、ぐす……っ。』
『泣いていますね。主様。』
地下執事部屋
(担当執事として主様に何か出来ないでしょうか。)
『うーん…あ。そうです。』
私はほんを何冊か抱えて主様の部屋へ向かう。
コンコン
『主様。私です。ラトです。今よろしいですか?』
『……。』
『おや。…寝息が聞こえます。』
ガチャ
『すぅ。すぅ。』
『泣き疲れてしまったのでしょうか…。』
私は主様の髪を撫でる。
『辛い時は私を頼ってくださいと言ったのに…主様。私では力不足ですか?』
『ん…フィンレイ…様…。』
つぅ…。
雫が頬を伝う。
『…主様を泣かせる人なんてどうして好きなんですか?私なら…泣かせません。ずっと愛してずっと幸せにして差し上げるのに…。』
(胸が苦しいですね。フィンレイ様のせいで主様が泣いてるんです。それならいっそ…。)
『壊してしまった方が――。……。そんなことをしたら余計に主様が悲しみます。私は貴方には笑顔でいて欲しいです。だからそんなことしたくありません。』
私は主様の手を握る。
『今は私がそばに居ます。ですから……安心して眠ってください。』
この想いが届かなくても。私は貴方を愛しています。雪華さん。ずっと傍にいますから。
次回予告
『全部俺に身を委ねて下さい…。』
『俺の胸で泣いてもいいからな。』
『私が傍にいるから…いくらでも泣いていい。全部受け止めるからね。』