コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
電車の音が鳴り響く、光ヶ丘高等学校。
尊「おーい!和希ー!」
光の中で手を振る男子。
俺、和希は、同級生の男子に恋をした。
爽やかな声、明るい笑顔、そしてキラキラした性格。尊はまさに「理想」を形にしたような人柄だった。でもここは男子校。そんな話をすることもできないし第一、尊は俺のことをただの友達と思っている。。いつか思いを伝えるべきか否か、、、
尊「和希?どーした?」
ふとした途端に、尊が俺の顔を覗き込んできた。
和希「ふぇっ!?あー、うん。大丈夫。」
急に目の前に現れた整った顔に、少し頬を赤らめながら、それを尊に見られないように、俺はそっぽを向いて答えた。
尊「ほんとか?最近お前元気ないぞ?」
和希「んなことはねーよ。ゲームして、スマホ見て、寝不足なだけだ。」
尊は人の顔をよく見ている。人の悩みを確実に言い当てることができるので、相談相手として感謝している生徒少なくない。
和希「尊こそ、今日なんか元気がなくないか?」
尊「あ、わかっちゃう?だって今日持久走だろー、、、俺体力ねーし、毎年めんどいだよな、、、」
そんな尊の声に、生徒数人がハッと振り向いた。
生徒A「そうだ、、、!」
生徒B「今日、、、!」
生徒C「持久そ___!」
キーンコーンカーンコーン
生徒たちの嘆きをみなまで言わさず、大きな音で教室にチャイムが鳴り響いた。 生徒が席に着き始めると同時に、 ガラガラッと音を立ててドアが開き、大柄な体育教師が教室に入ってきた。
教師「えー、みなさん知っていると思いますが、今日は持久走のテストがあります。10分後に始めるのでグラウンドに出て、各自準備運動を始めてください」
体育教師の無慈悲な声に、生徒はみな魂が抜けたような表情をしていた。あっという間に静まり返った教室に尊の声が響いた。
尊「よし!和希、いくぞ!」
和希「えっ?あぁ、うん、、、」
がっつり名指しされた俺は、戸惑いながらもジャージを手にして立ち上がった。
俺はいつも本ばかり読んでいる。 休み時間も1人でいることが多いし、別に自分から友達を作ろうともしない。でも尊は、幼馴染だからと言って、しょっちゅう付きまとってきた。おかげで今は仲良しだけれど。
でも今だけだ。
本当の俺を知った奴から離れていく。 前もそうだった。だから俺は、もう2度と誰にも自分のことを話さないと決めた。
ギュッ、、、
ふと握られた自分の右手に、俺は心臓が飛び出るかと思った。
尊「和希?」
和希「ん?いや、何でもないよ。」
尊「そう?ならいいんだけど」
鼻歌を歌いながら隣を歩く、俺の恋人。
全く、ずるい奴だ。