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マロン
196
#⛄️
おその★
380
#めめさく
水瀬菜音
20,364
ある店に二人の男が入ってきた。
二人は久しぶりに会った高校時代からの親友だ。
一人の男は親友にこんな話をした。
小学一年生の頃、登校班というものがあったが同学年はおらず心細かった。
そんな時、五年生のお兄ちゃんが話しかけてくれた。
💚「君、名前何ていうの?」
可愛らしい顔をしていて賢そうだな、と思った。
🖤「…れん」
💚「れんくんね!よろしく!」
無愛想にそう言った俺に対して優しく話してくれた。
少し舌足らずというか、所々甘噛みをしてしまっているところも何となく好きだった。
お兄ちゃんは次の日も、その次の日も俺に話しかけてくれた。
夏休みに入る頃には俺はすっかりお兄ちゃんに懐いていた。
俺が二年に上がったとき、お兄ちゃんは登校班の班長になった。
そしてお兄ちゃんは、新しい一年生と話すようになった。
その一年生もまた俺のようにお兄ちゃんに懐いていた。
俺がお兄ちゃんに話しかけようと試みても、その一年生はお兄ちゃんに強く抱きつき駄々を捏ねた。
🤍「おにーちゃん!ラウの話聞いてよ!!」
💚「分かった分かった…」
💚「ごめんね、蓮くん…また後ででいい?」
🖤「でも…」
そんな俺の声を遮るようにまた邪魔が入る。
🤍「ねえ、聞いてる〜?」
💚「聞いてる聞いてる」
🖤「ぁ…」
そんな事がずっと続いた。
お兄ちゃんは俺のことは後回しになっていった。
俺は段々お兄ちゃんに話しかけなくなった。
恥ずかしいけどちょっと拗ねてたんだと思う。
結局お兄ちゃんはそのまま卒業して俺には到底行けないような、とても頭の良い中学校に行ってしまった。
卒業するとき、お兄ちゃんは俺に話しかけてきた。
💚「蓮くん、全然一緒に話せなくなっちゃってごめんね…。」
💚「もし良ければ今後も会ったら話そうね!」
そんな優しいお兄ちゃんに、俺はこう返してしまった。
🖤「…でも、お兄ちゃんが行く中学校って朝早くに行って帰ってくるの遅いんでしょ?」
🖤「もう会うこともないんじゃない?」
🖤「それにお兄ちゃんは、俺よりもラウールとの方が話したそうだし。」
💚「え…ちが、」
お兄ちゃんは何か言おうとしたけど聞きたくなかった。
🖤「じゃあ、ばいばい。お兄ちゃん。」
それからすぐ、俺は家の都合で引っ越した。
お兄ちゃんと会うことも無くなった。
そんなつまらない話を聞いていた親友はこう言った。
🤍「めめはそのお兄ちゃんのこと好きだったの?」
🖤「ううん。これは恋じゃない。」
🖤「こんな汚い気持ちは好きとかいう綺麗な言葉で収めれない。」
🤍「どちらにせよ、惜しいことをしたんだね…。」
男はその言葉の意味が全く分からなかった。
しばらくして、男二人は店から出ていった。
親友は男と別れた後、ある店に一人で入った。
数分してから違う男が入店して親友の向かいの席に座った。
💚「ごめんね、待った!?」
🤍「ううん、全然待ってないよ。」
🤍「会えただけで幸せだよ、亮平」
コメント
1件
読了しました……。久しぶりに会った親友に「これは恋じゃない」って言い切る蓮くんのセリフ、すごく刺さりました。幼い頃の嫉妬や拗ねた気持ちって、大人になってからも形を変えて残るものなんですね。最後に亮平さんと再会する親友のシーンで、物語の仕掛けがふわっと浮かび上がってきて、続きが気になります。切なくて、でも優しい空気が好きです。