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無限の夜
ある地方の小さな村には、決して近づいてはならない「無限の森」と呼ばれる場所がありました。そこに足を踏み入れた者は、二度と戻ってこないという噂が広まり、人々は恐れてその森を避けていました。
主人公のマリは、都会からこの村に引っ越してきたばかりの若い女性でした。彼女は都会の喧騒から逃れ、新しい生活を始めようとしていましたが、村の閉鎖的な雰囲気に息苦しさを感じていました。そんなある日、彼女は「無限の森」の存在を知り、その禁忌に強く惹かれるようになりました。
ある夜、マリは好奇心に駆られ、一人で「無限の森」へと向かいました。月明かりだけが頼りの中、彼女は森の中へと足を踏み入れました。最初は静寂に包まれていた森も、次第に不気味な囁き声や影が動く音で満ち始めました。しかし、マリは引き返すことなく奥へと進んでいきました。
森の中心部にたどり着いた時、彼女は古びた祭壇とその上に置かれた奇妙な石碑を見つけました。石碑には見たこともない文字が刻まれており、それを見た瞬間、マリの頭の中に強烈な痛みが走りました。彼女はその場から逃げ出そうとしましたが、身体が動かず、その場に立ち尽くしてしまいました。
突然、森全体がざわめき出し、周囲には無数の影が集まり始めました。それらの影は形を変えながらマリに近づき、その中から一体の異形の存在が姿を現しました。その存在はマリに向かって低く囁きました。「お前もまた、この森の一部となる運命だ」と。
マリは必死にもがき抵抗しましたが、その存在は彼女を取り囲む影と共に彼女を飲み込み始めました。意識が薄れていく中で、彼女はこの森が無限に続く夜そのものだと悟りました。この森に囚われた者たちは皆、この夜の一部となり、永遠に彷徨い続ける運命なのです。
翌朝、村人たちはマリの行方不明を知りましたが、「無限の森」に入ったことを知ると誰も探しに行こうとはしませんでした。ただ一つ確かなことは、その日以降も「無限の森」から聞こえる囁き声が増え続けていることでした。それは、新たな魂が加わった証拠だったのです。