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【感情の爆発】
それは、特務調査局に新規加入組が来てから半年ほど経った頃のこと。暴れている異能力者を無力化するだけの簡単な依頼のはずだった。
警察から、手に負えない異能力者がいるって連絡が入った。行ってみたら確かに暴れてて、建物が次々に破壊され、瓦礫になってる。無機物に触れると破砕されるっていう異能らしい。だから通常の装備では近づけないし、逮捕もできない。
近くの森に誘き寄せたらいいよっていう阿部ちゃんからの指示で、佐久間くんが粒子転移で撹乱して、康二の岩をわざと出して壊させ、俺の蔓で道を塞ぎながら森に追い立てた。
作戦は順調だった。
森に入ると途端に無機物がなくなり、破砕できない有機物へと姿を変える。だから、焦った男はどんどん森の奥に入っていく。
🩷「やば、ごめん、見失った」
佐久間くんが粒子転移で近くまで戻って来た。
🧡「俺の重力場の範囲も越えてもうて」
🖤「大丈夫。俺の蔓で捉える」
地面に手をついて、一気に蔓を張り巡らせる。この森は広い。ただがむしゃらに走ったところで出られるものではない。
だから範囲を広げて捜索する。どこだ、どこにいる。
🖤「見つけた。佐久間くん、ここから735メートル先のところに建物がある。その近くに逃げ込んでる。康二も一緒に行って。建物、また壊されるかも」
🧡「任しとき!」
🩷「蓮はちょっと休んでろ。今ので使いすぎただろ」
🖤「すみません、お願いします」
佐久間くんは康二を連れて粒子転移でいなくなって、俺も蔓を出すのを止めた。地面にしゃがみこんでたから、そのままお尻をつけて座った。
正直、疲れた。でもあのまま、森を抜けられたら被害が出る。だからどうしても、今、ここで捕まえるしかない。康二の重力で抑えつけられれば、異能封じをつけることができる。それでようやく終わる。
そう、思ってた。
急に感じた殺気に、慌ててそこから飛びのいた。直後、地面に打ち付けられた拳に目を見開く。そこにいたのは、先ほどから追っていた男だったから。
🖤「なんっ」
「てめえが一番、厄介なんだよ!」
拳と蹴りを次々に繰り出してくる男に、避けるしかない。でも、蔓をいつも以上に遠くまで出して葉植を使いすぎたせいで、疲労が足にきて、よろけた。後ろの木に背中がぶつかった直後、お腹に衝撃がくる。
男の足で、木に押さえつけられる。
🖤「っ」
すぐに男の足を避けようと掴んだけど、思ったように力が入らない。
🖤「くっそ」
「散々、追いかけ回してくれて、ありがとよ!」
ぐっと足に更に力を込められて、眉を顰める。
「あ、いいこと考えた。オマエの大事なヤツってどんな? いるんだろ? 彼女? 仲間?」
急に、なんなんだ。でも、質問されたせいで大切な人の顔が浮かんでしまった。
「余計なことばっかしてくれたからさー、ソイツ、オマエの目の前でぶっ壊してやるよ」
狂気的な目。下卑た笑み。
瞬間、俺の体の中を、説明できない黒いものが流れたのがわかった。そして、足元から這うように黒く染まった蔓が俺の体に巻き付いた。足にも、腕にも。それと同時に、俺の周りにも黒くて、鋭い棘がたくさんついた蔓が何本も生える。それは、10や20どころじゃない。ここ一体を覆い尽くしてて、それを見た男が腰を抜かしてる。
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#めめなべ
#ご本人様には関係ありません
コンソメパン
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でももう、俺の感情は抑えられない。目の前の男を許さない、こいつを壊さないと気が済まない。
💛「何やってんだ、目黒!」
岩本くんの声が聞こえた。多分、応援で来たんだと思う。でも俺の視線は男から外れない。手を前に出すと、俺の腕に巻き付いてる蔓が男に伸びていく。それは蔓というよりも、獲物を見つけた蛇に近い動きをしてた。
その蔓の先端が、蛇の口のように開く。ギザギザとした棘が、まるで歯のようだ。
🩷「蓮、やりすぎだ!」
🧡「めめ、やめぇ!」
佐久間くんと康二も止めてくる。
そんなんで止まるくらいなら、最初からやってないと、どこか冷静に見てる自分もいる。でも意識は男に向いてるから止まらない。
そこへ。
💚「めぇめ」
聞こえてきた優しい声に、思わずそっちを見た。反射だったと思う。意識なんて全くしてなかったし、今も男に向いてる筈なのに。
目に映ったのは、良く知る阿部ちゃんの顔。その阿部ちゃんが、ふわって笑った。
あ。
なんか、今、黒いものが引いてったのが分かった。瞬間、あの黒い蔓が全部、粉になったように消えていった。
ホントに一瞬だった。
佐久間くんも、康二も、岩本くんも、驚いたように俺を見てる。でも、阿部ちゃんだけは笑顔のまま近づいて来てて。
💚「疲れちゃったね。帰って休もう」
🖤「……はい」
ただそう返事をしただけで、阿部ちゃんは満足そうに頷いた。
🩷「……え、今のって、オーバーロードしてたよな?」
🧡「むっちゃしてた。あんなめめ、初めてやし」
🩷「でも、治ったよな?」
🧡「一瞬やったね」
🩷「阿部ちゃん見ただけで?」
🧡「阿部ちゃん見ただけやね」
🩷🧡「……どゆこと?」
佐久間くんも康二も、不思議そうに声を揃えて首を傾げてた。
俺だってよく分かんないよ。でも、気持ちが落ち着いたから。いっつも、俺の感情を抑えたらオーバーロードは止まる。それが、阿部ちゃん見たらすぐだっただけ。
隣の阿部ちゃんを見下ろすと、またニコって笑ってる。
ああ、阿部ちゃんだなー。
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