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本気になってはいけない恋

61 - 第61話   初めて知る彼の気持ち①

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2024年03月12日

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翌日。

少し前の仕事が押して、樹と約束していた14時より少し過ぎて会議室へ到着。


「すいません。お待たせしました」


会議室へ行くと、すでに樹とその新しいブランドの関係者らしき人が待っていた。


「あぁ。ごめん。忙しいのに」

「こっちこそごめん。遅れちゃって」


遅れて来た私に樹が声をかけてくれて、遅れて来たことを謝る。

背中越しにその人を確認して、樹にそう言われてその反対側に回る。

そして、その関係者らしき人の前に促されて、向かい合わせに座った。


「こちら今度のプロジェクトで一緒になる新しいブランドのアクセサリーのデザイナーさん」


樹がその人を紹介してくれる。


「はじめまして。今回からお世話になりますREIジュエリーのデザイナーの今里 しおりです」

「はじめまして。このプロジェクトで早瀬さんと一緒にリーダーを務めます望月透子です」


そう挨拶してその紹介された相手を見ると。

どこかで見覚えある女性。


「実は私、早瀬さんといとこで」

「この前見たっていう女性この人じゃない?」


樹にそう言われて記憶を辿ると・・・そうだ、この人だ。

樹が残業って言ってた日に二人で会ってた女性だ・・・。


「なんか誤解させちゃったみたいで、すいません」


丁寧にその女性が謝ってくれた。


「いえいえ!私が勝手に勘違いしちゃったみたいなので。・・・って、え?」


直接そのことに謝られると思ってなくて思わず驚く。


「あっ、すいません。お二人の関係、樹くんから聞いてて気になっちゃって」


すると私の言葉を察して説明してくれた。


「あっ、そうなんですね。ホントに仲いいんだ・・」


樹くんって呼び方、相当の仲の良さだよね・・。


「母親側のいとこで。私が樹くんのお母様に昔からお世話になってて」

「昔から母親の関係で顔合わすこと多くてさ。それで今回もちょっとした関係で次のプロジェクトでのブランドのデザイナーやってもらうことなって」


なるほど・・。

あの時話してた関係はホントだったってことか。


「あっ・・ごめん。ちょっと電話入った」


携帯に電話がかかって来たらしく、そう言って樹は部屋を一旦後にして外に出る。


「それ・・・」

「え?」

「そのネックレス」


昨日樹からもらったネックレスを今日の服に合わせて普段使いしてもオシャレだったので嬉しくて付けて来てしまった。

なんて単純。

そしてそれに気づかれてちょっと自分一人なぜか照れくさい。


「あっ、これ・・」

「それ。私が作らせてもらったんです」

「えっ!?」


そういえば樹オリジナルで作ったって言ってたっけ。


「樹くんからどうしてもってお願いされて。透子さんの誕生日にどうしても間に合わせたいって。絶対自分の想いちゃんと伝えたいからって」

「えっ・・そうだったんですか」


樹に直接聞けない樹の想いを聞けて、意外すぎて驚いたけど素直に嬉しい。

そっか、ホントにあの日のことは誤解だったんだ・・・。

よかった・・・。


「あっ、すいません。ずっと樹くんから話聞いてて、私まで同じように透子さんって」

「あっ、いえ。それは全然。そのままで大丈夫です」

「じゃあ、透子さんのままで呼ばせてもらいますね。私のことも栞でいいです」


そう言って笑顔で伝える。

すごい気さくな感じのいい女性だな。


「あっ、はい。じゃあ栞さんで」

「樹くんあんな感じなのでモテるし器用そうに見えると思うんですけど、実はあぁ見えて透子さんに関してはホント必死なんですよ」

「えっ?まさか」

「ですよね。透子さんの立場だとそう思っちゃいますよね。私、樹くんから透子さんにずっと想い寄せてるの聞いてたんですよ。結構それ長くて、ホントこっちが早くどうにかしてほしいと思ってたくらい」

「え・・そんなに長く?」

「えぇ。樹くんここ入社してしばらくしてからずっとだと思いますよ。それからずっと憧れて好きだったって」


初めて聞く話と初めて聞く樹の姿。

嬉しい話だけれど、予測していない話で自分の過去の時間にそんなに前から樹の中では存在していたなんて不思議な感覚で。

その時の私はどんな私だったんだろう。

なんで私をそんな時から好きでいてくれたんだろう。

まだまだ樹に聞きたいことがたくさんありすぎる。


「だから、なんとか透子さんと付き合えて喜んでたんですけど、透子さんとすれ違って距離置くことになったって、ホント今まで見たことないくらいヘコんでました」


他の人から聞く樹は、私が知らない思いもしなかった樹で。

そんなに自分を想ってくれていたと知って胸がキュンとする。


「それが私といたことが原因って知って、ホント申し訳ないなって思ってて、いつかお会いした時、ちゃんと謝らなきゃなって思ってました。ホントにすいません。誤解させちゃって」

「いえ、そんな!とんでもない!私が勝手に誤解して信じられなかっただけなんで、私が悪いんです!」


あ~こんな関係ない人にまで私の器の小ささで謝らせてしまうなんて情けない。


「この誕生日にあげたいってネックレスも、随分前から透子さんを想って樹くんがデザインして、細かいところまですべて樹くんがこだわって考えたんです。それを私がイメージ通りに実現させてもらいました。なので、ホントにそのネックレスは樹くんの想いがたくさん詰まったネックレスなんです」


すべての話に胸がいっぱいになって、嬉しさと幸せが込み上げる。


「ありがとうございます。すごく嬉しいです。樹がそんなに想ってくれてたなんて知らなかったんで」

「ですよね。樹くん、最初のアプローチの仕方がマズかったのか、なかなか透子さんが、自分が本気で好きなことわかってくれないって嘆いてましたから(笑)」


なんか意外な可愛い樹の姿を知れてつい笑みが零れる。


「でも透子さんが私の存在気にしてるって聞いて、私も透子さんと同じ女性として、それだけ透子さんも樹くんのこと好きなんだなってわかりました」

「樹、なかなかホントのこと言ってくれなくて。私も大人になれればいいんですけどね。彼のことになると、私もなんか自分が自分でなくなってどうしていいかわからなくなるんですよね」

「樹くんがちゃんと説明しないのが悪いですよね(笑)でも、樹くん信じてあげてください。樹くん透子さんに、なかなかホントのことや気持ち全部言わないかもしれないですけど、透子さんのことホントに好きなんで」


私にはまだ踏み込めない樹のホントの心の中や樹の環境。

なんとなく。

栞さんはいとこだからなのか、多分私の知らない部分まで樹のことを知っている。

だけどきっとどれもに理由があるはずで。


「はい。大丈夫です。もう彼のこと信じてるんで」


こうやって栞さんからホントの樹の話を聞いて、樹の気持ちをちゃんと知れたから。

私は今は笑顔でこんな風に答えられるくらい、自信持って樹を好きでいれるし、これからのことも何かあったとしてもちゃんと受け止めたい。


「なら安心しました」


栞さんもそんな私の反応を見て、安心したかのように笑顔で応える。




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