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あや
太ももに押し付けられていた熱はさらに硬さを増し、その存在を主張するように密着した。逃げ場はない。逃げたくても、ナオミの熱が肌を焼くように伝わり、思考が溶けていく。
直樹との行為にはなかった求められる。という確かな熱量。それが穂乃果の奥底に眠っていたものを呼び覚ましていく。
「もっと感じていいのよ? アタシのことだけを見て、考えて――」
ナオミの言葉は、抵抗を奪う呪文のようだった。
彼の大きな掌が、はだけたガウンの隙間から、まだブラジャーに守られたままの柔らかな膨らみを、布越しにゆったりと揉みしだく。
「ん、ぁ……っ」
直樹との生活で、すっかり女としての自信を失っていた場所。そこを熱い掌で包み込まれ、指先で先端を愛撫されるだけで、穂乃果の思考は容易に霧散していく。
ナオミは手慣れた仕草でブラのカップをゆっくりとずらし、隠されていた白皙の肌を露わにした。
「……綺麗。ねぇ、穂乃果。もっと近くで見せて……?」
逃げようとする意識を低いテノールで繋ぎ止め、ナオミの熱い唇が、露わになった胸の頂へとたどり着く。
ちゅぅと吸い上げられ、舌の先で転がされれば堪えきれない鼻から抜けるような嬌声が口から零れてしまう。
「ひゃんっ……! あ……ん……っ」
脳を直接灼かれるような衝撃に、穂乃果はシーツを掴んだ指先に力を込める。
胸を吸い上げるナオミの喉の鳴りと、もう片方の手が下腹部を円を描くように愛撫する熱量。
胸への執拗な攻めに翻弄され、情けない声を漏らしていた穂乃果は、気づかなかった。
ナオミの指先が、真面目な彼女が律儀に穿いていたショーツのゴムを、音もなく滑り降りていたことに。
「……っ!? な、おみ……さん、そこ、は……あぁっ!」
不意に、一番見られたくない場所に、ナオミの熱い指が直接触れた。
ひやりとした空気に触れる暇もなく、指は密やかに、けれど確信を持って湿り気を帯びた熱源へと迷いなく侵入する。
「や……っ、だめ……っ。そんな、ところ……っ」
「いいじゃない。アンタのここ、こんなに正直にアタシを求めてるわよ?」
ナオミの指が、穂乃果自身も知らなかった性感を正確に抉り出す。
ナオミは、尖りきった胸の先端を熱い唇で甘く吸い上げ、舌の先で転がすように弄ぶ。同時に、下からは執拗な指先が、最も敏感な「花芯」をピンポイントで捉え、容赦なく弾いた。
「ひゃんっ……! あ……ぁ……っ、な、おみ……さん……っ」
上からは甘く、下からは激しく。
「ふふ、いい声……。穂乃果、アンタの身体、もうこんなにトロトロじゃない……」
二重の快感に挟み撃ちにされ、真面目な穂乃果が必死に保っていた理性は、寄せる波に洗われる砂の城のように、あえなく、脆く崩れ去っていく。
ナオミの濡れた指先が、最奥の柔らかな壁を確信犯的に抉り出す。
「あ……ああぁっ! な、おみ……さん……っ! 待ってっ、ぅぁ、なにか、くる……っ!」
逃げ場のない快楽が、火花を散らして背骨を駆け抜けた。
直樹との淡白な夜には一度も得られなかった昇り詰めるという未知の感覚。
それは暴力的なまでの衝撃となって、穂乃果の理性を粉々に砕き、全身を激しく痙攣させながら、彼女の意識を真っ白な極光の向こう側へと連れ去っていった。
「……は、ぁ……。すご……ぃ……っ」
絶頂の余韻で指先まで痺れ、荒い呼吸を繰り返しながら、穂乃果はシーツに溺れるような感覚の中でふと思い出していた。
あまりにも強烈な快楽に脳を灼かれたことで、今まで心の奥底に沈めていた「あの日の毒」が、澱(おり)のように浮かび上がってくる。
(――アイツは、マグロだからな。抱いたってつまんないんだよ。男の悦ばせ方知らないんだろ)
あの時、直樹が里奈に漏らした、冷酷な嘲笑。
正直、セックスは昔から好きではなかった。それでも、彼が求めるからと、愛されている実感が欲しくて、義務を果たすように仕方なく肌を合わせていた。
けれど、今。あんなに惨い言葉で否定されたはずの身体が、自分でも驚くほど淫らな声を上げ、ナオミの指に縋っては更なる熱を求めて甘く脈打っている。
「……う、そ……。わたし、こんな……どう、して……っ」
羞恥心を追い越して、心臓が跳ねるような甘いパニックが穂乃果を襲った。
自分は「欠陥品」なんかじゃなくて、本当はこんなにも熱くて、愛されるのを待っていた女の子だったの……?
指先一つでドロドロに蕩かされ、甘い悦びに身を震わせる自分。自分の中に眠っていた「本当のオンナノコ」をナオミさんの手で無理やり引き摺り出されたようで、胸の奥がきゅうっと熱くなる。
そんな穂乃果の、隠しきれない反応を愛おしむように、ナオミが影の中から琥珀色の瞳を優しく、けれど妖しく細めて囁いた。