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……ああ……「あのとき」以来、「僕」は……ずっとここに閉じ込められたままなのだ……。
ここは、どこなんだ……? どうしてこんな場所にいるんだろう……? 確かぼくたちは、さっきまで学校にいたはずだけど……
それにしては辺りが暗いなぁ……。まだ夕方ってわけじゃないよね? それにしても寒いね。早く家に帰ろうよ。あー、こんなことならちゃんとお弁当作ってくるんだったなぁ。
「おい」
「わっ!」
突然肩を叩かれて振り向くと、そこには顔色の悪そうな男の子がいた。どう見てもお友達になれそうな雰囲気ではない。むしろいじめっ子オーラ全開である。
「ぼ、僕ですか?」
「お前以外に誰がいるんだよ。ほら、さっさと行くぞ」
腕を引っ張られて思わずよろけてしまう。「ちょっと待ってよ」
慌てて声をかけると、彼は振り返りもせずに歩き出した。
「君ならきっとできるさ!」
「えーっと……」
まだ名前も聞いていなかったけれど、彼が言うと妙な説得力があった。
「……うん、分かった。やってみるよ」
なんだかよく分からないけど、とりあえず一緒に行ってみることにする。すると、彼の表情がパッと明るくなった。
「ありがとう! じゃあ早速行こうぜ」
再び手を引かれるがままに歩き出す。どこに行くつもりなんだろうと思っていると、突然目の前に大きな建物が現れた。
それは巨大な門だった。門の前には甲冑を着た騎士風の男が立っていて、近づいてくる私たちを見つけると厳しい顔つきになった。
「おい貴様ら、どこから来た?」
「どこからもなにも、歩いてきたんだけど……」
私は困惑しながら答えた。すると男は目を細めて私を睨んできた。
「嘘をつくんじゃない。ここは聖都だぞ。徒歩だけで来られるわけないだろう」
「本当だってば。ほらこれ見てよ」
私が首から下げていた身分証を見せると、男の顔色が急に変わった。
「こっ、これは失礼いたしました!」
男は深々と頭を下げてきた。
「まさか勇者様とはつゆ知らず……申し訳ございません」
「いえ、気にしないでください。それよりあの人って……」
「あぁ、彼はね。ちょっと変わった人でさ」
どうやらあの人は有名な人のようで、僕の質問に対して丁寧に答えてくれた。なんでも、あの人はこの街で有名な錬金術師らしく、街の人たちはみんな彼のことを尊敬してるとかなんとか。僕はその話をただ聞いていただけなのだけれど、僕なんかよりもずっと知識のある人なのでとてもためになった。そして話が終わると、最後に握手をして別れた。また会えるといいんだけど。
それからしばらくして、僕は宿屋を見つけた。かなり安い値段だったので不安だったけど、とりあえずそこに泊まることにした。中に入ると、カウンターにいたおばさんが話しかけてきた。
「お客さんかい?」
「はい。えっと、部屋空いてますかね?」
「もちろんだよ。1日200Zでいいよ。朝食付きなら300Zだね。夕食は自分で用意してくれ」
「わかりました。じゃあその条件でお願いします」
僕はお金が大好きなんだ。
君も一緒にどうだい? さあ行こうよ