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少女戦姫

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少女戦姫

42 - 弐章 決勝カナVSハナカ

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2025年04月13日

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決勝戦開始五分前、僕とカナは準備を整えて舞台裏に待機する。その間ミカゲさんの話した天使創造計画プロジェクトエンジェルについて考えていた。

僕がこれを知りたい理由、その一つに父さんの手掛かりになるかもしれないと思ったからだ。父さんは今のこの社会を作り出した人と言っても過言じゃないほどの人物で、今生活の一部に組み込まれている戦姫を作り出した一人。父さんが考えたこの戦姫というのは瞬く間に流行り生活の一部に組み込まれるまでになった、その結果我が家は確かに巨万の富を得たが母さんも父さんもお金自体にそれほど興味がないのか生活費に充てるほか自身のちょっとした趣味に使う程度で、残りは貯金なり投資なりしているようだった。僕がこの年で楽に一人暮らしができるのも父さんが当てたおかげではある。けど、そのせいか父さんはそれ以降忙しくなり家に帰らない日が続いてそれが日常になり、遂には連絡も取れなくなっていた。母さんも心配こそしているが通帳には確かに定期的にお金が入ってるのを見て、生きてはいることを確認できているからかそれほど焦りや寂しいという感想は出ないとのことだ。僕もそういえばそうだが、生きているならなんで連絡をくれないのか?なんで会ってくれないのか?それが不思議だった。その生まれた疑問の解消方法がこの戦姫大戦であると僕は結論付けている。カナには悪いけど君を利用して僕は父さんを探そうとしている。その為にこの天使創造計画プロジェクトエンジェルを知らないといけないんだ。僕の勘が言っている、この計画に父さんは関与しているし、これを辿れば父さんに会えると思う。だからこそカナにはこの後の戦いを勝ってほしい。父さんに近づくために……。


時間が経ち決勝戦が始まる。毎度のごとく司会が会場を煽って盛り上げる。その間ちらりとスズカさんの方を見るとあちらもかなり緊張しているのか肩が少し上がって強張っているのが分かる。そんなスズカさんとは対照的に彼女の戦姫のハナカという子はえらくリラックスしており、強張る彼女をなだめて落ち着かせているように見えた。対する僕たちだが、どちらもそれほど緊張はしていなかった。強いて言えばこの後の意気込みパートが怖いなと思ってたりするくらいだろう。少なくとも僕はその意気込みパートに恐怖している。まぁ、それは杞憂に終わったのだが……。

ある程度話し終えた司会が戦姫をフィールドにセットしてくれとの指示がとんできた。僕は何も言わずただカナに目配せしてその意図を察したのかカナもこくんとうなずきフィールドに立つ。相手も同じようなやり取りをした後戦姫をフィールドに放つ。その後僕はスズカさんを見て少し会話を試みる。

「初めましてスズカさん。僕がリナです。ミカゲさんの知り合い、もしくはその部下とかに当たる人ですよね?」

「……。は、はい。」

「単刀直入に聞くけど目的は優勝より僕の力を見たいって感じだよね?」

「……そう、ですね。」

「おぉ!素直に答えてくれるとは思わなかったわ」

「え……あっ!」

「まぁ、そんなに素直に答えてくれるなら裏はなさそうだな。」

「えっと……。もしかして私試されました?」

「しっかり試されてるわねスズカ?」

「緊張をほぐしたってことで許してくんね?」

「軽口叩くわね貴方の戦姫?」

「僕の意に反して勝手に言うから制御できないんですよ。」

対戦数十秒前にてそんな会話を交わして互いの緊張をほぐして決勝戦が始まる


「さて、一応こっちの予想をあんたに話そうと思うんだけどさ?」

「ほぉ?何を確認するのかな?」

「あんたの主であるスズカちゃんだけど、先読みの力とか持ってたりするよね?」

「仮に持っていたとしてそれが何か?」

「それ実はかなりリスキーな技なんでしょ?」

「まぁ、ノーリスクで使えるものじゃないわね」

「その特殊技能もしかしてバリバリに使う気だったりする?」

「どーだろうね?使うかもしれないし使わないかもしれない。」

「特に勝ちに固執してないなら使わないでくれるかな?」

「それは難しい相談かな?仮にもこれは大戦なんだから出せるものは全て出し切らないと。」

「てことはやっぱり先読み使うか…」

「頑張ってね?それと苦労かけるねスズカ。 」

「うぅん大丈夫!私も少しでもミカゲさんの力になりたい!」

「リナ私も最悪覚醒使ってもいいか?」

「本当に最後の手段だそれは。この大会色んな企業がこっそり見に来てるし、なんならプロとかもいる場だから優勝以上の目立つことはしたくない。それに、ミカゲさんに覚醒の情報を渡すのも癪だし使わないで勝てるならそれで頼む。」

「だいぶ難しいこと言うけど…まぁ、やるだけやってみるわ。その代わり番外戦術頼むわ。」

「了解。こっちもやるだけやるわ。」

先制攻撃を仕掛けたのはハナカ。彼女の基本戦術であるビットによる包囲からの一斉射撃を試みるがその前にカナはブースターを使い包囲網が敷かれる前にハナカに接近しあいさつ代わりの蹴りを一撃入れる。

「ぐっ!?」

「こっちはピーキーな調整してるんだわ。囲まれる前に近寄ってしまえば怖くないわけよ。」

蹴りによってビル群を壊しながら後方に吹き飛ばされるハナカに向けてそう吐き捨てる。

「……。なるほどね。試合見てたけどこうして相対してみたら余計あなたのその速さに圧倒されるわ。でも、私は知ってるよ?その分燃費が悪く長期戦には向かないってこと。ね?スズカ?」

「え?あっ、はい!彼女の使っている装備はすべて速さに特化してますが代わりに防御面や燃費は圧倒的によくないです。このランク帯でも使う人はいますが、一部分だけつけて他は安定択を選ぶ方が多いですが……。」

「あれおバカちゃんだからそんな欠陥品を全積みしてとにかく速さを求めて、短期決戦しようっていう魂胆だったみたいだけど、距離を置いて攻撃できる私とか防御に特化してる戦姫相手じゃ正直ジリ貧って感じよね。」

「……それはまだ分からないよハナカちゃん。」

「なに?」

「今の攻撃はただの蹴りだったのにここまで大きく飛ばされる。」

「けど、火力はそんなに……」

「加速することでその威力が向上する。これが剣だった場合かなりのダメージを負うかもしれないよ?あの戦姫は他の戦姫と比べてかなり異質な戦い方をする。とくにこのランク帯では見ない戦い方だから……。」

「油断はしないでくれってことね。」

瓦礫の山から腰を上げて軽くはたき再度カナを睨むハナカ。

「スズカ?先読みってこの速さでも使えるの?」

「使えるけど、どうしてもビットはいくつか犠牲になる可能性が高いよ?」

「それでも装甲が薄いならビットの一撃だって喰らいたくないはず。多少の犠牲は仕方ないから早速使っていくぞ。」

「……うん!」

(どうやらあっちも話がまとまったみたいだな。正直ただのビット攻撃ならアキトの戦姫であるミナで対策できている。そう簡単には当たらないが、そこに先読みっていう力が乗ってくると話は別だ。こっちが避けれる前提で策を組んでるだろうし、なんならビットの一つ二つは犠牲にしてくるだろう。ならその先読みをうまく利用して化かしてやらないといけないな。そのためにはカナには苦労してもらうが……)

「リナ?」

「ん?どうかしたか?」

「私あのビット全部避けていい?」

「避けれる自身があるならな?」

「まぁミナのファンネルと比べれば怖くないよ?発射口は一つしかないなら見て避ければいいし。」

「そんな高度な技ができるなら任せたわ。」

「まぁ見てろって」

機動力確保のためにサブマシンガンを異空間にしまい太ももに付けたガンホルダーからハンドガンを二丁取り出し構える。

「ビット対策は動きやすさが命だからね。」

「……それじゃあ私の指示通りお願いねハナカちゃん?」

「当たり前でしょ?」

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