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81 ◇元夫からの接触
工場は常時忙しく雅代は定期的に休みが取れるような状況ではなく
次の休みがいつになるかまだ分からないので『休みが決まり次第また連絡
する』と……そのように手紙に書いて出した。
すると秀雄からの返事が5日後には届き、なんと一週間後の週末にこちらまで
会いに来ると書いてあるのだ。
この頃の製糸工場では夜の10時頃まで仕事をすることもあったので雅代は
困ってしまった。
なので、その旨したためて再度手紙を秀雄に送った。
すると、またまた秀雄から返事があり、泊まり覚悟で行く。
何時まででも待つからと連絡してきたのである。
流石に3度目の手紙は出さなかった。
それにしても、泊まりで自分に会いに来るという元夫の秀雄の積極的な言動
には、正直驚くばかりであった。
この積極性と執着を義母が生きて自分を虐めていた頃に発揮してくれていた
らと思わずにはいられない。
けれど、今ももし姑が生きていたら秀雄は連絡なんてよこしはしなかっただろう。
それぐらい、義母の存在は秀雄にとって大きく高い城壁のようなもの
だった。
とにかく、はいそうですかと素直に村中の家へ戻りますとは思えない。
なので、雅代は秀雄が会いに来るという週末までずっと心中複雑な思いで
過ごしたのだった。
――――― シナリオ風 ―――――
〇製糸工場 寮 ・ 夜
雅代/手紙
『休みが決まり次第また連絡する』と……そのように手紙に書いて
出した。
秀雄/手紙
『工場まで会いに行く』と書かれた秀雄からの手紙が届く。
雅代/手紙
『仕事の都合上会いに来られるのは困る』と手紙に書いて出す。
秀雄/手紙
『泊りがけで行くから』との手紙が届く。
(N)「今ももし姑が生きていたら秀雄は帰ってきてほしいなどという連絡など
よこしはしなかっただろうと思うと、雅代は心中複雑な思いをするのだっ
た」