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※実際の団体、個人とは無関係です。
※成人向けに準ずる表現があります。ご注意ください。
※その他、捏造した設定が多く含まれます。
※中華絵巻を元にしてます。
※モブ多めです。
※※※ 閲覧には十分注意してください。
早朝4時、四季凪は自室の隠し戸から何本もの巻物を机へと広げる。
端から端までところ狭しと文字が詰められているこれは きっと後で使うことになる。
続いて、20cm辺ほどの箱を取り出す。
ずっしりと重く、中に入っている物の存在をしっかり現している。
『さて、ここからは打ち合わせ無しだ。上手くいけばいいんだが……』
傍らでずっと見守っていた寝ぼけ眼の黒猫を撫でて、四季凪はまだ朝が来たばかりの街へと出ていった。
ーーー
仕事終わり、セラフは家へ帰る前になんとなくあの茶屋へ寄った。 今日は調査のためではなく完全な私用だ。
受付を済ませ、部屋へ通されるとそこは少し手狭なところだった。
ベッドを一つ置いてしまえばあとは小さな机一つで部屋に家具は置けないような部屋。
「……あれ、今日は遅かったんだね。」
ベッドの上には既に人がいた。
いらっしゃいませも無ければ最初のような順を通した礼もない、すっかり慣れた様子の奏斗。
長い金色の髪をベッドへ垂らし、乱れた服を整えている。
『奏斗、 今日は忙しいの?』
名を呼ばれると顔を上げて、まぁねと短く返された。
「寝具は交換してあるから大丈夫。ちょっとシャワーだけ浴びてくる。」
『うん、いってらっしゃい。』
床に落ちた衣類も拾いながら奏斗は狭そうなシャワー室へと入っていった。
その間、セラフは待つことにはなるのだが、もちろんこれも奏斗を買った時間に入る。
損だとは思うが、 セラフの客としての態度も原因となっていたため何も言えない。
というのも、セラフは店の子へ手を出したことはなくただ話をして帰っていく、そんな不思議な客と化していたのだ。
そのせいか、店側も娘の準備中でも構わず部屋へ通し、準備中が終わるまでセラフが一人待つだけという奇妙な接客を受けていた。
店としても娘たちの休み時間ができるし、こちらとしても 気を許してくれた方が情報は得やすいから、役得ではある。
「え、てか、聞いてよ。昨日のさぁ〜」
シャワーを浴び終えた奏斗が 長い髪をタオルで叩いて水分を落としながら、昨日あったことを話している。
「話すのはいいんだけど、……奏斗、服着ようよ 」
「いいじゃん、別に。セラフなんだし。」
ほぼ裸のような、丈の短い肌着のみを着用している奏斗。 そうは言われてもセラフは目のやり場に困ってしまう。
部屋の隅に置かれた飾りの壺を睨みつけて、その場をやり過ごす。
「セラフって、本当に僕に興味ないよね〜」
そっぽを向いた事が気に食わなかったのか、奏斗はセラフの身体へ勢いを殺さないまま倒れ込んだ。
こつんと小さい頭が肩にぶつかり、体重を任せられた華奢な体から甘い匂いが漂う。
「重いよ。」
「なんだと〜?これでも体重管理徹底してるんだからな?」
それでも無理の退かさず、セラフは奏斗のさせたいようにする。
調査対象に情を抱くなんて、とセラフは思ったがそれも今日までだ。
「ねぇ、奏斗」
「なぁに?」
セラフは、今にも眠りそうな奏斗の前髪を指で軽く梳いて、流れに沿って後ろ髪を撫でつけてやる。
表情はよく見えないが払いのけないのは少なからず心地良く思っているからだろう。
「俺ね、今日でここ来るの最後なんだ。」
「……え」
「だから、今日だけは〜って、奏斗のこと指名したんだよね。…今までありがとね。」
「そっか、…うぅん。こちらこそありがとう。いっつも来てくれてさ!」
一瞬、奏斗の大きな青い目が揺れたがすぐに取り直していつもの笑顔を見せた。
人相手に仕事をしてきている人間の仕草だ、自分の感情にとらわれずにすぐに繕える。
悲しんでほしい訳ではなかったからセラフとしてはこのままお別れでもよかった。
むしろこれ以上いると余計な情が湧いてしまいそうで早く退店したかった。
しかし、腰掛けていたベッドから立ち上がるとすると奏斗が袖を引いて止めた。
「ま、まだ時間あるでしょ?帰っちゃうの?」
「うん。今日はお別れ言いに来ただけだから。」
「でも最後じゃん。」
「うん。」
「……最後だよ?」
「うん。」
ぎゅっと掴まれた袖口を軽く自分の方へ引くと奏斗はさらに強く袖口を掴んでくる。
セラフはその場に留まることしかできなくなってしまい、ため息をついた。
「奏斗、お客様の服そんな強く引っ張ったらダメでしょ?」
「だって…」
視線だけを後ろへ向けると捨てられる子犬みたいな顔をした奏斗と目が合った。
奏斗の立場上はっきりと、行かないで、とは言えないのだろう。
だからこうして袖を引いて、同情を誘って、長くいさせようとする。
分かってはいてもこれが客寄せのための演技だとはセラフには思えなかった。
「………じゃあね、奏斗」
意を決して袖口を奏斗の手から無理やり引いて離させる。
後ろを振り返らずに来たばかりの扉まで行った。振り返ったら思いとどまってしまいそうだ。
取っ手を捻って、扉の向こうへ行こうとすると後ろで布擦れの音がした。
「……またの、お越しをお待ちしています。」
見た訳ではないので分からないが、音を聞いた限りでは言葉と一緒に奏斗がお辞儀をしていたような気がする。
セラフは振り返ることなく、会計を済ませ、店を後にした。