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2話目。はるてぃーが出てきます。
♡ありがとうございます。
―――
「お前らってさあ⋯⋯仲良しだよな〜」
「そうですか?」
はるてぃーの言葉がよくわからないとでも言うように、じおるは不思議そうな顔をした。対して『もちろん!』と答えようとしていたそろもんは驚いた顔をして、隣にいるじおるの顔を見て言う。
今や日課となった距離感は、ほぼゼロに近かいというのにどういうことだ。それで仲良しでないと感じているなら、アンドロイドよりも人間らしくないだろう。
「俺たち仲良くないのかよ〜! ひっで〜!」
「いえ、そういうわけでは」
「え〜、じゃあそろもんの片思いってこと?」
悪戯に言ったはるてぃーの言葉に、そろもんは心底悲しそうにした。両者とも、じおるはこういう奴だった───と、考え終わる前だった。
「違います」
それは違いますよ。
じおるがハッキリと二度答えた。当然のことを聞かれた子供に似ている。純粋で疑うことができない返答に、はるてぃーはいわゆるツンデレとは違った何かを感じ取った。リーダーとしての感がピキーンと働いて、にまにまと笑いながら続きの言葉を待つ。
しかし、ラッパーから甘い言葉が出てくるわけがなかった。
「もちろんそろもんくんとの仲はいいと思います。ですが、はるてぃーさんに言われるほどでしょうか」
「えーっ! 俺ってさほど仲良くないと思われてたんだ! ちょーショックなんだけど!」
うわー! 叫びながら悲しむそろもんを哀れんだ目で見たはるてぃーは、納得していない様子のじおるに視線を移した。
「僕はこんなんですし、あまり友人と呼べる人は少なかったです。はるてぃーさんは動画を一番に考えていて、うたくんやあすたくんはそれをリスペクトしています。そして、そろもんくんもみなさんの力になっています」
例え遅刻癖があろうと、リーダーと一緒で面白いことが好きなそろもんは立派な制作メンバーだった。直接的に動画に関わる仕事をして、メメントリの役に立っている。
じおるとは違って、人間らしくて、人を喜ばせる生粋の力を持っている。すぐにメンバーに馴染んで活動を始めた彼は、人との関わり方を熟知していた。
「新メンバーである僕とは違う絆を築いている⋯⋯───僕とは、どちらかと言えばビジネスライクでしょう」
「は?」
「待ってじおる〜それはるてぃーに怒られるから絶対に言っちゃいけないやつ!」
今にも雷を落としそうなはるてぃーと、慌てるそろもん。失言だったかと反省してももう遅い。じおるは苦笑いをして、誰か助けてくれないかと願った。
無意識に、ふとそろもんに視線を落としてしまったのはなぜだろうか。
意図を汲み取ってくれたかはわからない。ただ自然と目が合って、そろもんは明るく怒った。
「も〜⋯⋯。でもさ、俺らはじおるのそういうところも含めて、じおるが大好きだッピよ!」
「そろもんくん⋯⋯」
「部員のみんなもじおるのこと大好きだし、はるてぃーもサブメンもみんな大好きに決まってるッピ!」
はるてぃーはそろもんを見直した。彼をレギュラーメンバーにしてよかったと自身を褒め称える。多少機嫌が直ったようだ。
いつも通りなら大好きだと触れてくるそろもんが手を引いたままで、触れ合う箇所が少ない。じおるは『僕の片思いみたいだ』と思ってしまった。一方的な信頼で、彼の言葉を信じていいのか決められない。
そんなことを言えば今より空気が悪くなることがわかる。数々のビジネスを踏んできた経験によって培った感覚だけが頼りだった。
はるてぃーに目を合わせたじおるは、困ったように笑う。彼を困らせないように、素直に答える。はるてぃーは裏表がない発言を大層好むのを知っているからだ。
「はるてぃーさんにそろもんくんと仲がいいと言われる理由が、僕が他のメンバーと仲が良くないからかと勘違いしてしまいました」
「あ〜⋯⋯そうじゃなくて、みんなと仲良い上で、特にそろもんと仲がいいよなって意味で言ったって言うか」
はるてぃーは気まずそうに頭を掻きむしる。脳内を飛び回る悪魔が『リーダーとしての器小さいんじゃね〜』なんて悪口を放つのだ。自信がなくなってきたはるてぃーは再び気分をどん底に落とした。
リーダーが自責の念に駆られているというのに、じおるはぼんやりと考えていた。自分から触れに行くのではなく、触れてくれる彼。
「⋯⋯そろもんくんと、特に仲がいい⋯⋯」
確かに、そうかもしれないと自覚した。他のメンバーとも仲良くなりたいが、もし彼ともっと仲良くなったら───きっと、楽しいに違いない。
想像するだけで、ふと笑いが零れた。
「ふふっ、はるてぃーさんの言う通りかもしれませんね」
「だろー?! よかったあ、俺の片思いじゃなくって!」
笑顔のじおるとそろもん。さあて、めでたしめでたし。
と終われたら、なんと楽だろうか。なんと、怒りの収まらぬリーダーに般若の角が立派に生えていた。そろもんはいち早く感じ取って、じおるにひっついた。
「ごめんじおる、いい方向に持ってけなかったみたい!」
「じおる、説教の時間だ」
「ひ、ひえ〜⋯⋯」
一から百まで俺らの愛をわからせてやる!
そう叫んだのを合図に、長い長いお説教が始まったそうな。
―――
余談
🥽「てかそろもんがピッピ言うのまだ続いてたんだ?」
☕「僕とふたりの時はよく言いますよ?」
⚾️「⋯⋯(気まずそうに目を逸らす)」
🥽「あー、なるほど。そーゆーことね〜⋯⋯」
区切り。次回短めになります。