「あ、猫……」
「二匹いるね」
「なんだか、黒猫の方、太宰さんみたいですね」
「そうかい?では白猫は敦くんだね」
「そうですね」
「……此の猫達、」
「夫婦だったり?」
「ちょっ!さっきの話した後云わないで下さい!」
「おやぁ〜?照れているのかぁい?」
「照れてません!」
「その割には顔が紅いぞぉ〜?」
「~~~~~ッ!」
「も、もう帰りますよ!!」
「はぁーい」
「ね〜え、構ってよ敦く〜ん!」
「一寸……仕事中なんですけど……」
「えぇ〜?いいじゃっ……」
「敦に何迷惑掛けてやがる此の包帯無駄遣い装置!」
「国木田くん、其れしか云わないね〜」
「仕方が無いだろう!作者が漢字読めないんだから!」
「メタいなぁ〜」
「ね〜え!敦くん!構って!」
「お断りします!」
「む〜!敦くんのケチ!」
「仕事が終わったら構ってあげますから」
「ハァーイ…………」
「敦くん敦くん!帰りにデエトでも行かないかい?」
「いいですよ」
「じゃあ先行っとくね〜!」
スタコラと探偵社の扉を開け、出て行った。
「……いっつもやられてばっかだし……」
「仕返し、してみようかな……」
「お待たせしました」
「いいよいいよ〜!早く行こう?」
「はい」
今日は随分と早くに仕事を終われ、
まだ外は明るい。
人は少なく、歩きやすい。
「あ!あのクレープ美味しそう!」
「敦くん、一緒に食べてもいいかい?」
「いいですよ。一緒に食べましょ」
そうだ、ここで仕掛けてみよう。
「うーむ、美味!」
「美味しいですね」
「ふふふ、敦くんと食べているお陰で、」
「もっと美味しくなっているね〜!」
「…僕のバナナクレープ、美味しいですよ」
「食べてもいいのかい?」
「はい」
「その代わり、太宰さんのも下さい」
「いいよ〜!」
「じゃあまず僕のから」
「どうぞ」
「いただきま〜す」
クレープに顔を近づけパクっと1口、太宰さんは食べた。
その瞬間を狙って、
そっと、頬に接吻をした。
「!?」
「何時もやられっぱなしなので、」
やり返しです。と太宰さんに云った。
其れに返答は無く、
気になって俯いてしまった太宰さんの顔を覗いた。
すると、
「へ……?太宰、さん?」
「一寸……見ないでくれ給え……」
耳まで真っ赤になっている太宰さんが居た。
「太宰さんって……照れるんだ……」
「其れ前も云ってなかったかい……」
「あっ、すっごい珍しいので……」
「……敦くん……」
「なんです……っ」
此方も仕返しと云わんばかりに
僕の唇を塞いだ。
「んっ……」
「だざ……」
前された様な、濃厚な接吻だった。
然して、何時の間にか僕の口の中に、
いちごのクレープが入っていた。
恐らく、接吻する前に食べたのだろう。
「私も敦くんにされたのだから、」
「いいよね?」
「舌は入れてません……」
「ふふっ、やっぱり……」
「敦くんは未だ未だだね」
「何時になったら勝てるんだろう……」
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