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──────────あんな事があった次の日。
本当に夢のような話しだが現実だ。
昨日家に帰った時酷く父母に心配された。
それと共に酷く叱られた。貴族の娘ともあろうものが遊び歩き更には捕まるなど…と貴族の娘でも遊び歩くやつは遊び歩く。逆に上級の者ほど自由な印象が多い。
…
今日も今日とて学校だ。
父には助けて貰った子に礼をしてこいと、手土産と封筒を渡された。きっと、封筒の中は金だろう。父はいつもこうだ。何かある度に金を包み渡す。渡すもの渡したんだから黙ってろとも言わんばかりの態度だ。
こういう父が家にいるからあまり家に帰りたくはない。
学校に着くと早々にフィアーを探した……が、どこにもいない。ていうか、何組なのか聞き忘れてしまった。
気づくと放課後になってしまっていた。 この方が早い。
私は、急いだ様子で生徒会室へと向かった。
勢いよく扉を開けるとフィアーとカルドと……ガレット…?
フィアーとカルドはまだ分かる。だが、何故ガレット?そして何故フィアーの膝に跨っているんだろう。
何とも言えない気持ち。だがまあ、私は渡すものを渡すだけ。
そう思いながら私はフィアーの方へと近づいた。
「あ?なんだ?」
「昨日…助けてくれたからお礼」
「要らねえよ、持って帰れ」
「良いから!捨てるなら捨ててもいいし」
「…はあ、ゴミ増やしやがって」
「ていうか、ガレットはなんでここにいるの?生徒会の人じゃないよね」
「ん〜?フィアーくんとカルドくんに要件❤︎」
「要件…?」
「1回でいいから私とシてみないかな〜…って」
「絶対しねえよ。カルドとしてろ」
「俺もしなーい。」
「ええ、そんなこと言わずにさ〜❤︎」
私はその様子をどんな目で見ていたのだろう。
分からない。
「私は帰る。助けてくれてありがとう。」
ただそれだけを告げて生徒会室を後にした。
気まづい空間に長くいる気はないし、自分の幼なじみが襲われる様を見たくは無い。
フィアーについても興味は無い。
父と母にああ言われてすぐに男遊びをする気にはならずに屋上で1人のんびりと空を眺めていた。
少し眠くなると目をつぶった。
…
違和感を感じた。目をつぶっていても少し暗くなったのが分かった。天気が悪くなったのか、と目を開けた先にいたのは
「よお、誘拐女」
…フィアーだった。
「な、何?てか、その言い方だと私が誘拐した側みたいになるからやめてよ」
「別にいいだろ。で?ここで何してんだ?」
「別になんでもないでーす。」
「へえ、あっそ。」
「…」
「…なんで私の隣に寝転がるの」
「そもそもここは俺の席だ。」
「屋上に席もなんもないでしょ?」
「いーや、俺の席だ。」
「…私はじゃあ帰るね。」
そう言って起き上がろうとした瞬間に服の後ろを引っ張られまた寝転がされた。
「ぎゃッ…何すんの!?」
「良いだろ…」
「よッ…くないです!!」
「暴れんなよビッチ…」
「ビッチに言われたくない!」
「俺はビッチなんかじゃない。」
「さっきガレットといい感じだったくせに」
「何だ?嫉妬か?」
「そんなんじゃないですー誰があって2日の男なんかのために嫉妬なんてするもんですか」
「あっそ。あと、あいつに無理やりああされただけだ。」
「へえ…でも、抵抗してないって事はそういうことでしょ」
「馬鹿かお前。抵抗してなかったらここに来てねえだろ。」
「…確かに。」
フィアーは地面にゴロンとしたまま動くことはなかった。
「てか、君 何組なの?」
「2組」
「なんだ、一緒なの。でも、1回も来てないよね。」
「めんどくて行ってない。」
「いいのそれって」
「良いんだよ。この前作った校則で授業は自由にしろって書いただろ。」
「流石…生徒会長様ー」
「ふっ…心にも思ってなさそうな言い方だな。」
「そんなことないですよー」
「なら、ちゃんと俺の目を見て話せ。」
頬を掴まれた。フィアーの目を見るように無理やり彼の方を向かされた。
「ッ~…そういう無理やりやる男はモテないですよ」
私はぐい、とフィアーを引き離しては荷物を持ち帰ろうとした。
「明日、生徒会室に来い。絶対。」
扉を閉める直前、そう言った。
絶対断る事は許さない。そんな言い方だった。
何をされるのか、不安でしかない。
少しばかりそれ以外の思いもあったのはここだけの話。