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レンガをしっかりと握るプナールの指を、太陽が照らし出している。もう少し足に力を入れて蹴りこみ、肘を伸ばして手を高くしてからレンガを下へ降ろせば、上体が浮き上がってくるはずだ。つまりは、これまでやってきた基本動作を繰り返せば、顔が浮いてくるはずだ。
俺を舗装路から道なき雑草帯へ誘った猫の気持ちが、今はよくわかる。国境の向こうまで伸びてみせた枝先の気持ちも、よくわかる。背中を強く押してくれた風の気持ちも、今は身にしみる。彼らは、どんなにかもどかしく思ったことだろう。今は感謝の気持ちで一杯だ。
そして、彼らが助けることができたのは、俺自身に希望があったからだということも、この位置からだとよく分かる。今だって、まだ天国は見つかっていないけれども、彼らは……出来事は、人は、動物は、植物は、自然は、大宇宙は……そこに明確な区別はなにもない……希望を叶えさせてあげようと、いつでも準備している。助力している。気づくのを待っている。進んでいって掴むのを待っている。見ているはずだ。