テラーノベル
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隠岐目線放課後、ナマエちゃんと一緒に帰る道。
昔みたいに、自然とあの公園に足が向いた。
住宅街の端っこにある、小さな公園。
錆びた鉄棒と、色あせたすべり台。それから──二つだけ並んだブランコ。
『こういうのなつかしいな』
ナマエちゃんがチェーンを握って、かすかに揺らす。
キィ、キィと音が鳴って、夕方の空に溶けていった。
『覚えてる? 小1のとき、雨の日でも毎日行ってたあの公園で遊ぼうって言ったの』
「あ〜……あの日、靴ぐっしょぐしょやったやん」
『ふふ、そうだったね』
俺も隣のブランコに座る。ただ揺れて、ただ話して。何も変わってへん気がして、安心する。
……けど、ふと気づく。
通りがかった親子連れが、こっちを見ていった……ような気がしたのに、すぐ視線を逸らした。ナマエちゃんはそれに全く気づいてないみたいに、笑ってる。
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