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隠岐目線公園のベンチに座りながら、ナマエちゃんと昔のことを話す。
『覚えてる?夏祭りで金魚すくいやったやつ』
「うん!でもおれ、金魚すくい下手で全然取れんかったんや」
『ふふ、そうそう!でも最後には一匹だけ取れたんだよね』
「それで、ナマエちゃんがめっちゃ喜んどって……あれは楽しかったなあ」
二人で笑いながら、いろんな思い出を語り合う。公園の風が、懐かしい匂いと一緒に思い出を運んでくる。
……けど、ふと気づいた。小4の頃のことが、はっきりとは思い出せん。急に入院したけどほぼ毎日お見舞い行って⸺
他に何かしたっけ。
そういやあの夏以降、ナマエちゃんとは合わなくなったんやでも、今日、突然目の前に現れたのは間違いない。目の前のナマエちゃんは変わらず、笑って、話して、ここにおる。
「……でも、相変わらず元気そうやな」
『うん、隠岐くんも』
笑顔を交わすだけで、なぜか胸の奥が少しざわつく。まだ理由はわからん。今はただ、一緒におる時間を大事にしたい。
「なあ、また明日も来る?」
『うん』
その返事が、やけに静かに響いた