テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ケンラートはレンブラントによって身動きを封じられているが、フロリーナ達は拘束されていない。
逃げ出せる状況なのに逃げないでいるということは、背後にいるラルク達がフロリーナ達に拳銃を向けているからなのだろう。
過去に銃口を向けられた経験があるベルは、それがどれだけ恐ろしいことか身をもって知っている。
「おい、だんまりはなしにしてくれよ、ケンラート君。俺は黙秘が一番嫌いなんだ。それと口を割らない奴に対して、どうも俺は手加減できない性格なんだ」
パウェルスの拘束を解いたと同時に唸るようなレンブラントの声が聞こえてきて、ベルはそこに視線を向ける。
ケンラートの眉間には、銃口がピタリと張り付いていた。
視界に拳銃が入るだけでも心臓が凍りそうだったのに、距離感ゼロではさぞ恐ろしいだろう。
でもベルは、レンブラントがケンラートを脅しているだけだということに気付いている。まるで時間を稼いでいるみたいだ。
(……誰を……何を待っているの?)
手練れは、ほとんど自分が倒した。残るは悪行を重ねるだけ重ねた挙げ句、全てを放り出し逃げ出してきたケルス領辺境伯の家族だけ。
レンブラントの部下達がいるから、この場を制圧するのに手助けを求める必要なんてないはずだ。
(なら、どうして??)
ベルは必死に思考を巡らす。
しかしその答えにたどり着く前に、バタバタと倉庫に複数の足音が響いた。
「なん……っ……!?」
地震でも起きたのかと勘違いするほどの地響きに、ベルは驚いて振り返った。すぐに目を丸くする。
無表情で拳銃を構えるラルク達の背後で、軍人とは似て異なる濃紺の制服を纏った男達が倒れている手練れ達を拘束し始めていたのだ。
彼らは公共の安全と秩序を維持し、法令の執行等の職権を持つ集団──通称自警団と呼ばれる者たちだ。
ただベルは、突然現れた自警団に驚いているわけでも、彼らの統率された無駄のない動きに息を吞んだわけでもない。
自警団のトップであろう人物に釘付けになっていたのだ。
一際飾りが多く付いた濃紺の制服に身を包んだ壮年の男は、ベルの見知った人物。女神ことフローチェの屋敷の執事──ガドバルドだったのだ。
(なんで?なんで??ガドバルドさんがそんな恰好してるの!?)
驚きを通り越して声すら出せないベルの視線に気づいたのか、自警団のトップことガドバルドがこちらを向く。自然と目が合った。
ベルから視線をそらさず、ガルバルドはゆっくりと靴音を響かせてベルに近づく。そして手を伸ばせば届く距離に来た途端、何かしらの言葉を紡ぐと思いきや……あっさりとベルを素通りした。
ガドバルドは紙より白くなったフロリーナの前に立つと、ここでようやっと口を開いた。
懐から取り出した王家の紋章が付いた書面を、フロリーナの顔面に突きつけながら。
「フロリーナ・エドゥ・クラース、ならびにその親族一同。領治法第5条4項及び、資金規正法2条3項違反の容疑の為、国王陛下の名の下にその身柄を確保する」
日暮ミミ♪
542
臣桜
48,719
鷹槻れん

1,179
#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
245
コメント
1件
うおおおおおおお!!!ガドバルドさんがまさかの自警団トップ!?しかも王家の紋章付き書面でフロリーナ達を確保って…この展開、熱すぎるだろ🔥 レンブラントが時間稼ぎしてたのも全部伏線だったんだな。ベルが銃に震える描写も相まって、倉庫の緊張感がひしひし伝わってきたわ。このタイミングで来るか…!次話マジで待ってる!