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夜明け前。
霧が森の地面を這うように広がり、湿った土の匂いがあたりを包んでいた。
ラブツインは仲間達の傷の確認と手当てを終え、息を整えた。青い髪を結び直しながら、視線の先ーー帽子を深く被った剣士、アイルの背中を見つめる。
その背中は、いつも前にある。
誰よりも早く敵に斬りかかり、誰よりも多くの傷を負って、それでも笑う背中。
💙「アイルくん………今度は、無理しないでね。 」
ラブツインの声に、彼は短くうなずいた。
❤️「大丈夫だ。俺は無理しないし、お前達は俺が守る。」
その一言が、彼らしい。
強いけど、危ういーー。
だからこそ、ラブツインの胸の奧はいつも締めうけられる。
その瞬間、森の奧から唸り声が響いた。
霧を裂いて現れたのは、黒い甲殻に覆われた生物であった。その生物の鋭い爪が地面を裂く。
❤️「全員、下がれ!」
アイルの声が響いた。
ラブツインは息を呑む。
アイルの剣筋は迷いがない。だが、その生物の動きは速い。爪と剣がぶつかり合い、金属音が夜の静寂を裂いた。
💙「アイルくんっ!」
ラブツインの叫びと同時に、アイルの体が吹き飛ばされる。血が宙に舞った。
仲間が息を呑む中、ラブツインは迷わず駆け寄る。
💙「アイルくん、ダメ…動かないで……!」
震える手で彼の傷口を押さえ、ポーチから包帯と薬を取り出す。
彼の体温が手に伝わる。暖かいーーそれは生きている証。
❤️「………ラブちゃん、俺…またやっちまったな。」
💙「もうっ…いつも無茶ばっかりして……」
ラブツインの声が震える。
涙が頬を伝い、アイルの鎖骨のあたりに落ちた。
💙「アイルくんが……いなくなったら…わたし、もう…… 」
言葉が喉で止まる。
その続きを言ってはいけない気がして、唇を噛む。
アイルは目を細め、微かに笑った。
❤️「泣くなよ、ラブちゃん。俺は……」
その言葉を最後まで言い終える前に、あの生物が再び吠えた。
アイルは立ち上がろうとするが、ラブツインが両手で彼の肩を押さえた。
💙「動かないで!今度は…わたしが守る番だから!」
彼女は震える手で、携帯していた信号弾を構えた。
それを放てば、チェインとエリックがすぐに援護に来るはず。
けれどーーその一瞬の間に、アイルは再び剣を握りしめていた。
❤️「……ありがとう、ラブちゃん。でも、俺は剣士だからさ。」
そう言って彼は笑う。血塗れの顔で、まるで子供のように。
そしてもう一度、あの生物に向かって駆け出した。
ラブツインはその背中を見つめる。
(ねぇ、アイルくん。わたし、ほんとはね……あなたのこと、守りたいだけじゃないの。
あなたと、生きたいの。)
その想いは声にならず、朝焼けに滲む。
戦いの終わり、燃え尽きた焚き火の前で、ラブツインは静かに彼の傷をもう一度包帯で覆った。
その手つきは優しく、まるで愛を紡ぐようだった。