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11月1日 AM15:15 東京市内 〇〇現場
ブー、ブー。
作業着のズボンのポケットに入れてあるスマホが振動し、楪葉孝明は着信相手を確認しなくても相手が分かっていた。
「電話に出なくて良いのか?俺の前で出て良いんだぞ」
「いえ、後で掛け直します」
「今、ここで出ろ」
カチャッ。
兵頭拓也がそう言った瞬間、組員達は楪葉孝明との距離と銃口を近付ける。
「お前の弟、今は近所のスーパーにいるんじゃないか?特売品の商品でも買いに来たと言う所か」
「薫に監視でも付けているんですか」
「お前の飯を作ってくれてるんだろ?そうかもしれないって話をしているだけだ。切れる前に電話に出ろ」
楪葉孝明は兵頭雪哉に見つめられながら、スマホを取り出し電話に出た。
「もしもし?兄貴?ごめん、仕事中だった?」
「雨が降って来たから、今日の分の仕事は終わったよ。どうした?何かあったか?」
「今日、豚肉と鶏肉が特売で安いんだけど、生姜焼きか唐揚げどっちが良い?」
「どっちも捨てがたいな」
「兄貴、昨日さ唐揚げ食べたいって言ってたじゃん?だから鶏肉にしようかな。どう思う?兄貴」
弟の楪葉薫から微笑ましい内容に、楪葉孝明は思わず微笑んでしまう。
兵頭雪哉は2本目の煙草を咥えると、組員の1人が素早く煙草に火をつけ、重苦しい事務所の中に白い煙が立ち込める。
「フッ、お前が食べたい方を買ってきて良いんだぞ?俺が食べたいものじゃなくてさ」
「だって、兄貴の好きなものを作ってあげたいじゃん。お仕事頑張ってくれてるしさ?じゃあ、今日は唐揚げにするから!じゃ!」
「仕事が早く終わったから、お前の事を迎えに行くよ。俺が着くまで、中に居てくれるか?」
「え、ほんと?しょ、しょいがないな!まだ、買い物してるから待ってる」
「すぐ用意していくから、後でな」
そう言って、楪葉孝明は楪葉薫との通話を終わらし、兵頭雪哉の方に視線を向けた。
「行方不明だった白雪が今日、俺達の前に姿を現した」
「拓也さんの奥さんの白雪さんが?」
「あぁ、お前には話していなかった2つ事がある。まず、今日は神楽ヨウの若頭就任式を執り行っていたんだ」
「ちょっと待ってください、ヨウさんは椿に殺された筈じゃ?」
「神楽ヨウは元々、死んでなんかいない。椿の懐に入り込む為に、JewelryWordswを使って椿の記憶を操作し、嘉助と偽って入り込んでいた。拓也を殺した椿を殺す為、俺に協力を求めてきたのが1つ目だ」
楪葉孝明は死んでいたと思っていた神楽ヨウが生きていた事に驚愕する中、兵頭雪哉は3本目の煙草を咥えながら話を続ける。
「2つ目は四郎は俺の血の繋がった息子だ」
「え、え?し、四郎が雪哉さんの息子?え、じゃあ四郎は拓也さんの弟と言う事ですか?」
「腹違いのな、四郎は俺の愛人のとの間に出来た子供だ。だが、四郎は癌で余命半年と診断されてる」
次々と知らされる事実に楪葉孝明は理解が追い付かなくたってきていた。
神楽ヨウが生きていた事、行方不明だった白雪が現れた事以上に、四郎が兵頭拓也が腹違いの兄弟と言う事と兵頭雪哉と血が繋がっている事に、一番驚いていた。
「四郎が癌なんですか?治療方法は見つかってない感じですか?」
「三郎が闇闘技場で手に入れた翡翠のJewelry Pupiyがある。それを使えば四郎の病気は治せるが、白雪が四郎の事を狙っている。今は白雪の事を消す方が重要だ。あの糞女、就任式に乗り込んできたと思ったら、息子さんをくださいってぬかしやがった。それ以外にも、ここ数週間の間に俺の組の傘下に入ってる組から、何人か顔の良い若い衆が何人か消息不明だんたんだが」
「だったんだがと言うのは?」
「俺達の前に、白雪が消息不明だった若い衆達を連れて現れた。どうやって男共をたぶらかしたか分からないが、俺や光臣さん等を殺そうとしてきた。拓也の嫁だろうが、俺にした行動には責任は取ってもらわないと」
「…、白雪さんがそんな事を…。信じられないですね」
自分が見て来た清楚な女性だった白雪のイメージは崩れ去り、正体不明の謎の女性へとイメージに変わって行く。
「足を洗ったお前に、白雪の名前を出して話した意味は分かるな」
「白雪さんを殺せと言う事ですね?俺に。一郎達ではなく、俺に」
「アイツ等じゃ、頼りにならん。俺に意見してくるようになったしな、断るか断らないかはお前次第だ」
再び楪葉孝明の周りに組員達が集まり、銃口を突き付けられる中、兵頭雪哉は楪葉孝明にスマホ画面を向ける。
スマホ画面に映し出されたのは、楪葉薫がスーパーで買い物をしているシーンが映し出されており、買い物かごの中には鶏肉が入っていた。
精肉コーナーから中華調味料コーナーに移動し、唐揚げ粉を買い物かごの中に入れている所を見て、楪葉孝明の額から冷汗が流れ出す。
この映像だけで、今現在の時点で兵頭会の組員が楪葉薫の事を尾行しているのは分かる。
「お前の弟の安全は兵頭会が保証する、その点は安心して良い」
「安心して…、良い…?お言葉ですが、本気で言っているんですか?」
そう言って、楪葉孝明は兵頭雪哉に視線を向けると、取引を持ち掛けている表情を浮かべていた。
「弟の事を守る為に、兵頭会から抜けたもんな?楪葉」
「…、はい」
「お前に頼むのも申し訳ないと思ってる。殺しから足を洗ったお前に頼むのは、これで最後だ。俺に頼み、聞いてくれるか」
兵頭雪哉が自分に重圧を掛けている事が分かり、楪葉孝明は初めて怖いと感じてしまった。
自分だけが殺されるのは構わない、だが楪葉薫に危害を加えられる事だけは許せない。
弟の楪葉薫の事を側で守る為に兵頭会を抜け、真面目に昼職に就いて働き始めたのだから。
その事は兵頭雪哉も知っているし、弟の事を出せば楪葉孝明は申し出を断らない事も兵頭雪哉は分かっていたのだ。
1つの映像だけで楪葉孝明を屈服させる事が、兵頭雪哉にはある。
楪葉孝明は唇を強く噛みしめる事しか出来ず、兵頭雪哉は前のめりになって目線を合わせて口を開く。
「最後の仕事を引き受けてくれるな?楪葉。依頼金はお前が満足する額の金を払う」
「雪哉さんには沢山世話になりました、今の職場も紹介してくれましたし。雪哉さんの頼みなら、いつでも聞くつもりです」
「あぁ、お前は義理堅い男だ。そう言ってくれると思っていた」
「雪哉さん、分かってるなら言いたい事が分かりますよね?薫の事を脅しの材料に使ってほしくなかった…」
膝の上に置かれた拳が小刻みに震え、楪葉孝明の悲しさは兵頭雪哉にも十分に伝わっていた。
兵頭雪哉は楪葉孝明に嫌われる覚悟で良い、恨まれても仕方がない行為をしている自覚もある。
楪葉孝明に対する罪悪感なんかよりも、白雪を殺したと言う強い殺意の方が勝ってしまっていた。
「白雪さんを殺したら、薫に危害を加えないと約束してくれますか」
「最後の頼みだ、もうお前に殺しの依頼はしない」
「…、分かりました。雪哉さんの最後の依頼を受けます」
「白雪の同行は俺の組員に探らせている。居場所が分かり次第、お前に連絡を入れる。それまでは自宅で待機してくれ。給料の倍の金をお前の通帳に既に振り込んである」
要件だけを伝えてからゆっくり腰を上げると、楪葉孝明の周りにいた組員達も離れ、楪葉孝明1人を残して事務所を出て行った。
***
11月1日 AM15:30 東京市内 ●●病院
院内では重症を負った九条組と神楽組の組員達が担架に乗せれて、次々と手術室に移動され、軽症の傷の人達は診察室の外で治療を受けていた。
その中でもかなり重症を負った九条光臣を、辰巳零士に抱き上げられながら九条美雨が涙を流して見送る。
「おじいちゃんっ…」
「お嬢、頭は大丈夫です。俺達は信じて待ちましょう」
「うん…、それしか出来ないもんね。辰巳も怪我の手当してもらお?」
「俺は大した怪我じゃありませんから」
「先生!緊急の患者さんがっ、3名救急搬送されました!」
九条美雨と辰巳零士が話す中、看護師の1人が診断室の外で傷の手当てをしていた若めの男性医師に声をかけた。
看護師の呼びかけを聞いた男性医師はすぐに、救急搬送された担架に乗せられた3名の患者の元に駈け寄る。
辰巳零士が搬送されてきた患者達に視線を向けると、五郎と六郎と七海の3人が運ばれて来たのを見て、思わず駈け寄ってしまった。
六郎の腹に少し細めの鉄骨の棒が貫いていて、頭からの出血も酷く、七海の体には大きく割れたガラスの破片が肩や腕に深く刺さっている状態。
2人共、かなり出血しているのが見て分かり、その中でも横向けの状態のまま搬送された五郎は酷い状態だ。
鉄骨の棒が左足の太ももと脇腹を貫き、背中一面にガラスの破片と火傷を負い、額にも深い切り傷から出血している。
それぞれの怪我の種類は別だが、3人の共通している怪我は全身に軽度の火傷を負っている事だけだ。
「辰巳、お兄ちゃんとお姉ちゃん達の事を知ってるの?」
「はい、俺の知り合いです。すみません、離れましょう」
九条美雨の質問に答えながら五郎達の側を離れ、入れ替わりに男性医師と看護師が五郎達に近付き、容態を確認していく。
男性医師は慌てた様子で、隣にいる看護師に指示を出す。
「3人共、かなり出血しているな。輸血パックの用意を!手術室の空きの状態はどうだ!?」
「一室しか空きがない状態のようです!先に手術室に運んだ患者さんの治療が終わらない事には…」
「あと、どれくらいで終わりそうだ。空き次第、手術室に運んでいくぞ。先に重症を負っている男性の方から…」
「ユマ!!!」
「莇!!!」
辰巳零士が入り口の方に視線を向けると、汗だくなった一郎と二郎が走って来るのが見えた。
看護師と医者達が行き交う中、軽症を負って手当を終えた天音とノアの2人は、七海が搬送されて来た所を目撃する。
天音とノアは居ても立っても居られず、すぐに七海の側に駈け寄り、今の状態を目にした。
痛々しい姿の七海を見た2人は自身の目を疑ってしまう程、七海の怪我は酷いもので彼等の中で後悔と絶望が押し寄せる。
「マ、マスター?そんな筈ない…、あれはマスターなんかじゃないっ」
天音は唇を震わせながら手で持っていたジャケットを床に落とし、ノアは七海かどうか確かめに走り出す。
担架に乗せられている七海を見て、ノアはその場で崩れ落ちてしまう。
2人が愛して愛でていた主人である七海である事は、すぐに分かっていたが信じたくない気持ちの方が強かった。
「マスター!!!何で、何でこんな事になってるんだよ!?」
「誰が…、誰がこんな事をしたんだ!!!」
「殺してやる、マスターを怪我させた奴を。見つけだして殺してやる!!!」
天音とノアは七海の手に触れながら、犯人への殺意の炎を燃え上がえらせる。
一郎と二郎も担架に乗せられている五郎と六郎に姿を見て、顔から一気に血の気が引いて行き、一郎が男性医師の肩を掴む。
「ユマはっ、ユマの治療はまだなのか!?」
「この方の御家族の方ですか?申し上げにくにのですが、先にこちらの男性の方を手術室に連れて行きます」
男性医師の言葉を聞いた一郎は、更に肩を掴む手に力を入れて声を荒げる。
「はっ!?お前、何言ってるんだよ!?」
「申し訳ありませんが、急患の数が多く手術室が一室しか空いていない状態でして…」
「お前、医者だろ!?ユマを見殺しにする気か!?」
「彼女の事も必ず助けます、ですから手を離してください」
一郎と男性医師が言い合う中、二郎が男性医師に向かって叫んだ。
「先生、莇の事を助けて下さい!血が必要なら、僕の血を使って下さいっ!」
「二郎!お前、何言って…!」
「僕だって、莇の事を死なせたくないんだよ!お前と同じだ」
「先生!手術が終わったようで、2室空きました!」
一郎と二郎が言い合いを始める中、走って来た看護師は男性医師に手術室が空いた事を伝える。
男性医師は手が空いた医師達と共に、五郎達を手術室に1人ずつ順番に連れて行くのを一郎達は呆然と眺めていた。
一郎達の間に流れる重い空気の中、1人の看護師が声をかける。
「あの、小さい男の子も一緒に運ばれて来たのですが…」
「小さな男の子…?リンの事ですか」
「ご家族の方ですか?申し上げにくいのですが、こちらに搬送途中で亡くなりました」
「は?」
看護師の言葉を聞いて、一郎は状況が全く飲み込めなくなってきてしまった。
まさか、リンも五郎達と共にバーまどろみに居て、爆発に巻き込まれて死んでしまった事実を叩きつけられる。
「そちらは先程の患者さん方のご家族の方ですか?手術待合室に案内できますが…。お子さんのご家族の方は霊安室に、ご案内」
「…、案内して下さい」
「分かりました、こちらです」
一郎の返答を聞いた看護師はエレベーターまで誘導し、彼等を2階の手術待合室に案内した。
エレベーターが2階に到着し、出て右に曲がると広めの待合室に到着し、案内を終えた看護師は一郎を霊安室に案内をする。
二郎達は離れた場所に座り、自分達の大切な人の手術が無事に終わる事を祈る事しか出来ない。
天音は顔を手で覆っている二郎に、棘のある言い方で言葉を放つ。
「何で、マスターがあんな大怪我を負ったのか知ってるんだろ?お前等」
「…」
「おい、聞こえてんだろ」
「バーまどろみに行っていたという事しか知らないよ」
二郎の返答を聞いた天音は舌打ちをしながら、視線を向けながら口を開く。
「お前等が行かせたんじゃないだろうな」
「僕達だって、今さっき聞かされたんだ。自分の所の主人の行動も把握してないのか?君達」
「あ?」
「八つ当たりしないでくれるかな、君達の気持ちも分かるよ。分かるから、静かにしてくれないか…」
天音は何も答えずに二郎から視線を外し、隣で泣いているノアの背中をさすった。
***
霊安室に通された一郎は、真ん中の台の上の白い布がかけられているリンの姿を黙って見つめていた。
顔にかけられていた白い布を外すと、穏やかな表情をして眠るリンは、この世に未練がない事を示しているように見える。
「リン、芦間に会えたか?」
「…」
「芦間と居る事がお前の幸せだったんだよな?俺達の側に居るよりもな」
「…」
「あの時、一緒に死なせてやれなくて悪い」
一郎が話しかけても当然だが、リンからの返答は返ってこない。
そんな事は分かっていても、一郎はリンに声をかけ続ける。
少しの間共に過ごしたリンに対しての、愛情の籠った言葉を一郎は自然と口から溢れ出てしまっていた。
カツカツカツ。
静かな廊下からヒールの鳴る音が聞こえ、霊安室の扉の前に誰かが立っている気配がし、一郎はすぐにデザートイーグル50AEを構える。
カチャッ。
静かに霊安室の扉が開かれ、扉の先に居たのは白雪だった。
「アンタ、何でここに居るんだ。男共と一緒に逃げ出しただろ」
「ふふ、自分の妹の所に行かなくて良いの?今にも死にそうなんでしょ?」
「アンタに言われなくても行くさ、ボスの命令を聞かないといけないんでね。ここで、俺に殺されてくれ」
「私が助けてあげようか?」
白雪の言葉を聞いて、引き金を引こうとした指が動きを止める。
一郎の反応を見た白雪はニヤッと笑い、更に距離を近付ける為に歩き出す。
白雪は簡単に一郎の前まで辿り着き、彼の逞しい肩に手を回し、囁くように言葉を吐く。
「あの傷じゃ、手術をしても目を覚まさないわ。出血の量も多いし、腹に刺さった鉄骨の棒が致命的な傷ね」
「お前はこのままだと死ぬって、そう言いたいのか。何の根拠があって言い出すんだ」
「貴方、この病院の今の状況を見ていないの?九条組の組長の手術で、輸血パックを使用しているみたいよ?看護師がさっき騒いでいたし、最初に運んだ男の所でも使っているし?」
「つまり、ユマに使う輸血パックが無いって言うのか」
彼女が本当の事を言っているのか、嘘を吐いているのか分からない時に外から騒ぎ声が聞こえる。
「先生、輸血パックの在庫が…っ」
「ある分だけ持って来てくれ!女性の方の…」
最後まで正確に聞き取れなかったが、白雪の言っている事が真実だと言う事だけは分かった。
一郎に思考はどんどん嫌な方に剥き出し、妹を失う恐怖が押し寄せて行く。
白雪は一郎の心情を意味とったのか、優しく一郎の背中を摩りながら安心させるような行動を取る。
「怖いわよね、大切な人がいなくなるかもしれないって、自分の目の前から消えてしまうのは、すごく辛いもの。あぁ、可哀そうに」
「俺に何を求めてるんだ」
「貴方自身に求めるものはないわ、ただ私の前に連れてきてほしい人がいるの。誰かは言わなくても分かるわよね?」
「…」
「私の為に動いてくれたら助けてあげる、出来る?」
そう言って、白雪は一郎の顔を見ながら唇を塞いだ。
***
11月1日 AM16:00 東京都江戸川区葛西臨海公園葛西臨海公園
CASE 三郎
四郎とモモちゃんが観覧車に乗り込んだを見届け、近くに設置されているベンチに腰を下ろす。
四郎が椿恭弥に攫われてアジトに戻った時、闇闘技場の人間がご丁寧に送って来たっけ。
まぁ、椿恭弥が運営していたから、俺達のアジトの場所も知られていて当然か。
箱に入った状態のまま部屋に置いてきたから、四郎達が降りてきたら取りに行かないと。
モモちゃんが2人の時間を欲しがっていたから背中を押してあげたけど、四郎に残された時間は少ない。
この翡翠を飲ませれば、四郎の病気は治る。
絶対に四郎の事を失いたくない、死なせたくない。
自分に近付いてくる人の気配がし、視線だけ気配がす
る方向を見ると神楽ヨウと伊織の2人が歩いて来ていたるにが見えた。
「何しに来たの?と言うか、何で2人が一緒にいるの」
「俺は兵頭会を抜けて、神楽組に席を置いている。コイツと同じ目的があるからな、頭も了承してくれている」
「あー、通りで小指がない訳だ」
「四郎達はどうした」
伊織の質問に答えるのが、面倒なので観覧車を指さすと、伊織はすぐに理解する。
神楽ヨウは僕の隣に腰を降ろし、煙草を吸い始めた。
「白雪さんが椿に計画の事を言うとは思わなかったなぁ、何を考えているのか分からない」
「どうすんの?長年の計画が無駄になったけど」
「無駄になったけど、完成した物はある」
そう言って、神楽ヨウが見せてきたのは小瓶に入った普通の錠剤。
「何これ、普通の錠剤じゃん」
「前に話したのを覚えていない?Jewelry Pupilを無くす魔法の薬の事」
「え、これが?その薬だって言うの」
「そうだよ、小杉さんの命と引き換えにね。僕の元に届いたんだ」
「小杉?爺さんの事か、命と引き換え?何、どう言う意味?」
僕の言葉を聞いた神楽ヨウは、淡々と薬を手に入れた経緯を話し出す。
「薬の試作品をリンちゃんで試してたんだけど、脳に障害が出始めちゃってさ?Jewelry Pupilは無くなる事はなかったの。今回のは成功したって連絡貰ったから、リンちゃんで試そうと思ったんだけど、六郎ちゃんが邪魔してきてね?丁度、椿に勘づかれて小杉さんが消されそうになったから、六郎ちゃん達に条件をつけて行かせたんだけど」
「失敗して、殺されたの?」
「いや、任務自体は成功したんだけど、小杉さんJewelry Pupilに魅入られちゃって頭がおかしくなっちゃんたんだ。僕の言う事も聞きそうになかったから、伊織さんに殺してもらって薬を回収してもらったの」
「伊織に殺させたって、マジで言ってる?六郎達に行かせたのは何で?最初から伊織に殺させるつもりだったの?」
そう言いながら神楽ヨウの顔を見ると、微笑んでいる表情が椿恭弥にソックリだった。
第6章 END
コメント
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読了した!第6章終わったね…いやもう情報量がえぐかったわ。 まず神楽ヨウ生きてたのマジかよ…ってなったし、四郎が雪哉さんの息子で拓也さんの腹違いの弟って衝撃の事実。それで余命半年って重すぎる。 何より、雪哉さんが孝明の弟を盾に取って♡♡♡依頼するところ、胸が痛かった。あの「選ばないと」ってタイトルが刺さるわ。 病院パートも五郎達の重症っぷりとリンの死、一郎が白雪に口説かれるシーン、全部が重なってきつかった。でも最後の三郎パートの小瓶の薬の話…これがどう転ぶのか気になりすぎる。 第六章完、お疲れ様でした!次が待ち遠しい🔥
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