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101.幸福と引き換えに I
11月1日 PM16:30 東京都江戸川区葛西臨海公園葛西臨海公園
三郎の言葉を聞いた神楽ヨウは、含みのある笑みを浮かべながら答える。
「邪魔をされては困るからね、椿を殺す事は絶対に譲れない。リンちゃんのJewelryWordswは大した物ではないだろ?物に宿った記憶なんて、見た所で何もないし。薬の実験台がいなくなって、困ってるんだ」
「アンタ、悪魔に魂でも売った?そんなタイプだったっけ?」
「ハハッ、そうかも。もう引き戻れない所まで来てるし、戻ろうとも思ってない。君達、アジトには戻らない方が良いかも」
「白雪が四郎の事を探してるから?」
「うん、僕も白雪さんの事を信頼して、椿から逃げれた場合の避難場所として教えてしまったから。鉢合わせる可能性があるだろ?」
確かに、あの白雪なら自分達よりも先にアジトに戻り、四郎を連れ戻す為に待ち伏せをするのも考えられた。
観覧車が一周し終えたようで、四郎とモモの2人は手を繋いで機体から降りてくるのが見え、三郎は煙草の火を消して迎えに行く。
「おかえり、2人共。観覧車は楽しめた?」
「うんっ、もう1回乗りたかったけど…、四郎が降りようって」
モモは三郎の問い掛けに答えながら、隣に居立っている四郎に視線を向けている。
四郎の視線の先には神楽ヨウと岡崎伊織の姿があり、四郎の視線に気付いた神楽ヨウが手招きをした。
「観覧車の窓から、お前等が話してる姿が見えた。何を話してた」
「アジトに戻るのはやめといた方が良いって。白雪達がアジトの場所を知ってるから、先回りされてる可能性がってさ」
「アイツに話がある、モモの事を見ててくれ」
「え?」
三郎と話した後、四郎はモモと繋いでいた手を離し、三郎に預けて神楽ヨウの元に向かう。
「やぁ、四郎君。就任式の時は話せなかったけど、痩せたね」
「お前に話がる、伊織にもだ」
「モモちゃんが居ない方が話しやすい内容?」
「俺自身がモモの耳には入れたくないだけだ」
「狙われてるのは君だけだし、モモちゃんに危害が加わる可能性は低いけど…。念の為に、連絡を入れておいて良かったな」
神楽ヨウの言葉を聞いて四郎が尋ねようとした時、見慣れた顔の人物が気怠そうに歩いてくるのが見えた。
第7章 MOMO「待ってたよ、晶」
「…」
「その目、どうしたんだ。誰にやられたんだ」
「そんな事はどうだって良い、お前に聞きたい事がある」
晶の姿が現れると、神楽ヨウの声のトーンと眼差しが優しいものに変わる。
誰の目から見ても、彼の態度は特別な相手にしかしない態度だって分かり、晶がこれから何をするのかも神楽ヨウは分かっていた。
神楽ヨウの目の前に立った晶は、手を振り上げて神楽ヨウの頬を平手打ちする。
パシンッ!!!
晶から平手打ちを喰らった神楽ヨウの唇が切れ、睨み付けている晶に向かって苦笑し、ばつの悪そうな顔をした。
「こうなる事は分かってたけど、痛いな…」
「お前、どの面下げて連絡してきた」
「ごめん、晶」
グイッ!!
神楽ヨウからの謝罪を聞いた晶は唇を強く噛み、神楽ヨウの胸元にあるネクタイを引っ張り、晶は顔を近付ける。
岡崎伊織が間に入ろうしたが、神楽ヨウが手を上げると岡崎伊織は前に進もうとしていた足を戻す。
「ヨウ、俺がお前が死んでない事に気付いてたんだろ」
「死ぬ前に、ネネが言っていた可能性もあるなって思ってたよ。けど、雪哉さんの部屋に仕掛けた監視カメラを見付けた時に、確信を持てたかな。竹に和樹の動きを見張ってもらってたけど、まさか2人が一緒に行動してたとは思ってもなかった」
「俺にJewelryWordsw使った理由も大体は想像出来る。俺に連絡してきた理由は」
「四郎君達を君の家で、匿ってほしい」
「白雪さんに狙われてるからか」
晶の言葉を聞いた神楽ヨウは静かに頷く。
「アジトの場所は白雪さんに知られてる、戻ったとしても鉢合わせる可能性が高い。四郎君は今、体が弱っているからね」
「雪哉さんから白雪さんを見つけ次第、殺せって命令を貰ってる。お前の事だ、椿に監禁されていた白雪の事を助けようと思ってたんだろ」
「僕は何も言ってないのに、よく分かったね」
「昔から変わらない部分と変わっちまった部分があるけど。俺の場所が安全とも言えねーと思うけど、白雪さんは俺の事を嫌ってるみたいだし」
そう言って、晶は神楽ヨウの後ろにいる四郎の元まで歩き、彼の頬に軽く触れながら口を開く。
「体は平気か?四郎」
「今は薬が効いてる、心配しなくても平気だ。晶、俺が戻るまで、モモ達の事を頼んで良いか」
「おいおい、俺がガキの世話なんか出来ると思ってんのか?ガキ扱いはしねーぞ」
「側に居てくれるだけで良い」
「四郎、変わったな。ま、お前の頼みを聞いてやるさ」
四郎の肩を軽く叩いた後、神楽ヨウにバレないように晶は四郎のズボンの中に何かを入れる。
表情を何一つ変えずに晶から物を受け取り、神楽ヨウの元に向かう。
「俺とモモちゃんは晶の所に行く感じ?この流れって」
「ヨウと四郎に頼まれたからな、暫く匿ってやる」
「そうなの?あ、行く前にアジトに寄ってほしいんだよね。取りに行きたい物はあってさ」
「先回りされてても知らねーぞ」
晶と三郎が会話をしている中、モモは神楽ヨウ達と駐車場に歩き出している四郎の背中を目で追っていた。
小さくなっていく四郎の背中に手を伸ばすが、モモの
手は四郎に届く事はない。
「モモちゃん達の事は大丈夫そうだったかな?」
「晶に任せてある。三郎も一緒だし、最悪の状況はないだろ」
「僕の晶の事を高く買ってくれてるんだね。他の男から晶の事を褒められるのは、あまり良い気はしないね」
「…めんどくせぇな」
四郎の言葉を聞いた神楽ヨウは、何も答えずに苦笑する。
駐車場に到着した3人は、神楽ヨウと岡崎伊織が乗って来た車に乗り込み、岡崎伊織は行き先を決めてないまま車を走らせた。
静かな車内の中で、先に神楽ヨウが口を開き、四郎にある物を渡す。
「四郎君に渡そうと思ってたんだ、これを」
そう言って、神楽ヨウが渡したのは茶色の紙袋、持ってみると少しだけ重みを感じる。
四郎は渡された茶色の紙袋の中身を確認して見ると、ハンドガンに変えの弾丸が数セットに、麻薬の痛み止めであるモルヒネが大量に入っていた。
*モルヒネとは、強力な鎮痛・鎮静作用があり、現在でもがん疼痛治療において第一選択薬として広く使用されています*
「うちの組との繋がりがある病院の薬剤師から、十分な量を買ってきた。貰った薬はもう残りが少ないだろうと思ってね」
神楽ヨウに言われ、闇医者の言う事を聞かずに薬の飲む量を増やし、四郎は動ける状態を作っていた。
その事を神楽ヨウは見抜き、現在飲んでいる痛み止めよりも強力な麻薬の鎮静剤を貰ってきていたのだ。
「白雪に裏切られた今、椿を殺す事に変わりはないのか」
「変わらないよ、君には手を貸してほしいけど。病気の君に頼むのは、申し訳ないけど」
「お前さ、椿が兵頭拓也を殺したと思ってるのか?今でも」
「…、どういう意味?」
「そのままの意味だ、白雪の性格を見ただろ」
若頭就任式での白雪の行動は正気のものではなかったし、異常恋愛者のような言動も見られた。
その事は神楽ヨウ自身も分かっていたのだが、さすがに自分が愛した男を殺す筈がないと思い込んでいる。
「白雪さんが拓也さんの事を殺すとは思えない。だって、あんなに愛していた人を殺せるのか?」
「あの女なら、殺る」
「椿に何か言われた?だから、僕にこんな話をしてきたの?」
神楽ヨウの返答を聞いた四郎は、何も言い返せなくなってしまう。
四郎が何を言っても、神楽ヨウは考えを変えないし、白雪の事を疑いもしないと思ったからだ。
椿恭弥に対する強い執着のようなものを感じ取り、四郎は自身の中で答えを出す。
「お前の前から、しばらく姿を消す」
「どう言う事だ」
「調べたい事が出来た」
カチャッ。
四郎の言葉を聞いた岡崎伊織は、車を止めて銃口を四郎に向けた。
CASE 四郎
突然、車を停めたかと思うと、伊織が俺に銃口を向けて来るとは思ってもいなかった。
兵頭会に所属していた時はボス中心の考えで、俺達が口答えしようものなら手を出して来ようとしてきた時もある。
それは伊織は俺達よりもボス付き合いが長いから、ボスの命令は絶対って考えを持ってるには分かるが…。
コイツに対してもするのか?
「何のつもりだ、伊織」
「それはこっちに台詞だ、ヨウとの食事会の時に話はついてだんだろ?なら、最後まで付き合うのが筋だろ四郎」
「は?」
伊織の口から出てきた言葉を聞いて、力のない言葉をはいてしまった。
神楽ヨウの元に行ってから考えが変わったのか?
いや、伊織に限ってそんな事あるのか?
「お前、椿に靡いた訳じゃないだろうな?監禁されて
いた間に毒されたか」
「それ、本気で言ってんのか?伊織」
パシュッ!!!
右頬にチクッと痒い痛みが走り、リアシートに視線を向けて見ると弾丸が捻じり込んでいるのが見え、伊織が構えている銃の銃口から白い煙が上がっている。
この行動だけで、伊織の方が神楽ヨウに絆されてる事が分かった。
「何を調べたいのか知らないが、椿を殺す事の方が優先だろ。その後にでも、調べれば良い話なんじゃないのか」
「伊織、お前が何度引き金を引いたとしても、俺の考えは変わらねぇ。椿の味方をしてるつもりもない。今のお前も考えを変えるつもりはないんだろ?ヨウ」
伊織との会話を終わらせてから、隣に座っている神楽ヨウに視線を向ける。
「今日、僕の組と繋がりがある病院に、重傷を負った五郎君と六郎ちゃん、七海君が運ばれて来たよ」
「重傷?」
「リンちゃんは死んでしまったけど、4人は拓也さんが経営していたバーにいたそうだ。椿が仕掛けた爆弾に巻き込まれたっと言った所か。竹に連絡を貰ったけ
ど、まだ手術中らしいね」
椿が爆弾を仕掛けたとは考えにくい。
バーまどろみを今頃、爆破させる必要があったのか?
何かが引っ掛かる、何だ?
この気持ち悪い感じがするのは何なんだ?
「この前、雪哉さんと一緒に食事をしたと思うけど。雪哉さんの考えは、今回の就任式に現れた白雪さんの発言で変わったよ。標的を椿から白雪さんに切り替わったよ、何でか分かる?」
コイツが俺に何を言わせたいのが分かってる、ボスが俺の事を白雪から守ろうと動き出すだろうって事くらい。
この重い感じは何なんだ、頭に浮かんだ考えを言えば良いだけだろ。
唇は開くが言葉が何も出てこない、言いたくないのか俺は。
「四郎君、雪哉さんは悪い意味で君の父親になろうとしてる。いや、もうなってるのか。伊織さんを引き抜いたのも、拓也さんの事を雪哉さんよりも思っているから。本当の父親よりも、父親代わりの伊織さんの方がいよっぽど父親だね」
「ボスが思い通りに動かなくなったら、伊織を使おうって考えか」
「利害が一致してる相手と居る方が動きやすい。雪哉さんも使えるものを全て使って、君の事を守りに入るだろう。四郎君、君が何を調べたいのか知らないけど、答えが出たとしても変わらないさ」
神楽ヨウの表情を見ると、何かを迷っているような諦めているような、何とも言えない表情だった。
「君にやる事には口を出さない、君も僕のやる事に口を出さないでくれ」
「薬と銃までくれたんだ、余計な事はしない」
そう言ってから車のドアに手を伸ばし、神楽ヨウと伊織を残して車の外に出る。
俺が降りた事を確認した伊織は車を発進させ、車の姿が見えなくなった事を確認してから、晶に渡された物を取り出した。
手のひらサイズのスフェーンの原石が光り輝き、晶が神楽ヨウに見られないように渡して来たのは…。
リンのJewelryWordswは確か、物に宿った記憶を見る事が出来るだったか。
タイミングが良いのか、偶然なのか分からないが、晶が俺に渡してきたのには何か意味がある筈だ。
バーまどろみに行って調べたい事があったのだが、爆破がどのくらいの規模で起きたかによって状況が変わってくる。
建物自体が無くなる程の大規模な爆破なのか、店だけが無くなる程の小規模な爆破なのか。
こればっかりは、直接この目で見てみないと分からない。
なんせ、今の俺は銃と貰った痛み止めしか持ってなく、スマホが手元にない為、いつもみたいに簡単に調べる事が出来ない。
「建物が残っていれば…、使えるのか?ここから、どれくらいの距離なんだ?」
ブップーッとクラクションが慣らされ、音のした方に視線を向けると見慣れない車が停車し、助手出来の窓が開く。
「四郎君?君、戻って来れたんだね」
「その声は…、晶と一緒にいた刑事か」
「刑事かって…、確かに刑事なんだけどね。俺には八代和樹って名前が…」
「丁度良かったわ、車に乗せろ」
「えっ?あっ、ちょっとっ!」
八代和樹の呼び掛けを無視して、助手席のドアに手を掛けて勝手に乗り込んだ。
***
11月1日 PM17:00 東京市内 Hero Of Justice アジトの地下駐車場
四郎達と別れた三郎達は、闇闘技場の賞品である翡翠のJewelry Pupilを取りに、アジトに戻って来たのだ
が見慣れない車が数台停車している事に気付く。
メンバー以外にも車を停める事は滅多になく、地下の駐車場に行くにも何重ものセキュリティーを解除して行かないとならない。
地下駐車場のセキュリティーは七海が作っている為、メンバーにはカードキーを渡しており、端末に翳せば解除される仕組みになっている。
メンバー以外にカードキーを持っているのは兵頭雪哉、岡崎伊織、晶の3人だけなのは三郎も把握してた。
何者かがアジトに潜入してると三郎はすぐに察しがつき、持ち出した銃を構え、替えの弾丸をスーツの胸ポケットに押し込む。
「何人かアジトに潜り込んでるな、セキュリティーを解除してきたって所か。三郎、ネクタイ貸せ」
「はいはい」
三郎は言われた通りにネクタイを解いて手渡しすると、晶はナイフを握っている手にネクタイを巻き付ける。
「お前が賞品を受け取った事知ってるのは誰だ」
「メンバーとボス、椿だよ。椿はご丁寧に、アジトに賞品を送ってきたし」
「椿が取り返しに来たって考えもあるが…、一郎か二郎が取りに来たって事もありえるぞ」
「2人が何で、Jewelry Pupilを取りに来る必要があるわけ?必要ないでしょ」
「必要になってんだよ、一郎と二郎はよ」
晶はため息交じりに数時間前に起きた事を話すと、三郎は頭を抱えながら口を開く。
「五郎達が爆破に巻き込まれた?しかも、爆破が起きた場所が兵頭拓也が経営していたバーって…」
「しかも重症だ。三郎がアジトに置いてあるのが分かってたら、黙って取りに来ている可能性があるだろ。一郎と二郎2人仲良く来てるか、バラバラで来てるって可能性もある」
三郎と晶の会話を聞いていたモモは、下を向きながら呟いた。
「でも、三郎が闘って貰った物でしょ?横取りするの?確かに、五郎と六郎の事も助けたいよ。助けたいけど…」
「アイツ等も、お前と同じ気持ちなんだよ今。現実、翡翠のJewelry Pupilを手にした奴が助けられる。一郎か二郎と鉢合わせたら、お前はどうすんだ?三郎」
「一郎と二郎とも付き合いは長いし、一応は仲間だって思ってたけど。アジトの中にいるのが一郎か二郎だったら、俺の邪魔をするなら殺す」
そう言葉を吐いた三郎の顔付きが切り替わり、上の瞼が座り優しい雰囲気が消える。
「モモちゃん、君は四郎の事を愛してるんだよね」
「うん、四郎の事を愛してるよ。愛してるけど…っ、こんな、メンバー同士で殺し合う事になるの?」
「見たくないなら、車の中で隠れてて。最悪、手に入らなかったら、モモちゃんの血を求めに行くかも。大切な人を守る為なら、仲間なんか関係ないよ」
「…うん」
モモとの会話が終わった事を察した晶は、運転席のドアに手を掛けた。
「ガキは置いて行くって事で良いのか?まぁ、ガキが居たら邪魔だしな」
「この黒い大き目のタオルを、頭から被って蹲ってて。ここは薄暗いから、モモちゃんの白い髪は目立つ」
「やっぱり、私が居た方が良いんじゃ…」
「モモちゃん。今からキツイ事を言うけど、心に迷いがある奴が居ても邪魔なんだよ」
三郎の言葉はモモの動きを簡単に止め、モモの体を持ち上げて座席の足の部分に身を隠させた。
晶と三郎は静かにドアを開けて車の外に出て、各々の武器を構えHero Of Justiceのアジトに向かって行く。
モモは2人の足音を聞きながら胸を押さえ、重苦しい気持ちを押し殺した。
車内にモモを隠した後、三郎と晶は変わらない様子でセキュリティーを解き、長いコンクリートで作られた廊下を歩き始める。
「アジトの玄関モニターに、俺達の姿が移ってる筈だよ。七海が万が一、セキュリティーが突破された場合に相手の顔を分かるようにね」
「玄関で待ち構えられてんじゃね」
「うん、見覚えのない男達が中で待ち構えてんね。20?いや30人ぐらいか。満員電車みたいに、家の中でギュウギュウになってる」
「お前の能力で、一郎か二郎の姿は見えたか」
「一郎がリビングのソファーに座ってるのが見えたよ」
晶の問いに答えている間も三郎の脳裏には、一郎が小さな箱を手にし、男達に何か指示をしているのが見えていた。
この光景だけで、一郎が自分達の事を裏切っているのが分かる。
「晶の言う通りになっちゃったみたいだね。一郎が中にいる男達に指示してる」
「今回だけは、お前の指示に従ってやる。四郎の事を死なせたい訳じゃないからな」
「一郎は、既に翡翠を俺の部屋から持ち出してる。大人しく渡してくれたら良いけど、渡してくれないよねぇ」
「おい、こう言う時は真面目に答えろ。お前の中で、答えはもう決まってんだろ」
「俺って冷たい人間だと思うんだよねぇ。渡してくれないなら、殺すよ」
カチャッ。
三郎は玄関の前で足を止め、銃を右手と左手で構えた。
「男共は俺が相手してやる、お前は一郎から奪い返して来い」
晶は躊躇なくと出された玄関のと扉を開けると、目が血走ってる1人の男と目が合い、男が持っていた銃の引き金を引こうと指をかけた瞬間。
グサッ!!!
「ゴフッ!?」
ナイフを男の喉元に突き立て、力強く奥に押し込む度に、口やナイフを刺した部分から血が噴き出す。
素早く男の手から銃を奪い取り、男の腹に銃口を向けたまま引き金を引く。
カチャッ、バンッズシャッ、ブシャアアアッ!!!
「女1人だ!取り囲めば殺せ…っ、グアアアアアアッ!!!」
小太りの男の両目をナイフで切り、そのまま男との距離を詰めてから首元の動脈を容赦なく斬り付ける。
ズシャッ、ブシャアアアッ!!!
「お、おい、聞いてる話と違うじゃねーかよ!乗り込んでくるのは、男だけじゃなかったのかよ!?」
「そんな事は今はどうでも良いだろ!!!やらねーと、俺等が殺されんぞ!!!」
廊下からぞろぞろと増える男達の前に、晶はどの男から殺そうかと思考を巡らせていた。
バンッ、バンッ!!!
晶の後ろに立っていた三郎は、晶の左右に立っている男の額に弾丸を撃ち込み、額から血を噴き出して倒れ込む。
バンッ、バンッ、バンッ!!!
そのままの勢いで銃を構えたまま、三郎は男達に向かって引き金を引き続け、男達の押し退けて行く。
「このっ、調子に乗りのりやがっ…、グアアアアアアッ!!!」
ズシャッ、ブシャアアアッ!!!
三郎に向かって痩せ型の男がナイフを振り翳すが、晶が素早く男の喉元にナイフを突き刺す。
ブンッ、キィィンッ!!!
晶は視界の死角からナイフを振り翳され、瞬時にナイフを振り上げて動きを止め、フードの中から覗く男の顔を見て口元が緩んだ。
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ああ、今夜も重かった…。晶がヨウを平手打ちしたシーン、一瞬で空気が変わったの分かった。それでもヨウの晶に向ける目が優しくなるの、ズルいよね。四郎が体ボロボロなのに、ああやって誰かをかばって動くの、見てて胸が苦しくなった。三郎の「仲間なんて関係ない」ってところ、冷たいけどその覚悟が愛おしい。この世界の闇をちゃんと見せてくれるから、読み終わったあと涙が出そうになる…。次話も待ってる🌙