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【滋賀県 琵琶湖】
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昨晩2時間しか寝ていない竜馬は、眩しさに目を細めながら、風の強い琵琶湖の湖面を眺めた
南からの風に水面が三角の鱗のように波立っている、湿った風が頬を撫でていく・・・ボートの上で体が心地良く上下に揺れている
天気は快晴、釣り日和だ
「ストロングゼロでいい?竜ちゃん!」
文也の声を聞いて、広い湖を見ていた竜馬は、振り返ったブラックバス釣り用の中型のフローボートの上で、クーラーボックスから缶チューハイを竜馬に掲げた
「いや、まだ酒はいい!コーヒーあるか?昨日あまり寝てないんだ 」
湖を見ていて、ヒリヒリした充血した、目が落ち着いてきた竜馬が言った
「ジェニさんがずっと泊りに来てるのか?いつ結婚するんだ?」
紺色のウィンドウブレーカーに、同じくナイキの紺色のキャップを被った、文也が言った
「今は僕が彼女の家に行ってることが多いな・・・もっとも派手な式はしないと思う、海外に行って二人っきりであげるのもいいとジェニが言ってたからな」
そこで竜馬がニッと笑った
「僕はどっちでもいいんだ、彼女と一緒にいれるなら、他はどうでもいいし、何でもいい」
オレンジのライフジャケットを文也に放り投げて、竜馬が言う
「ほら!これ着てろ!」
「自分は着ないくせに!」
そう言って文也がライフジャケットに袖を通し、顔をしかめる
「これ着たら暑いよ!」
「お前の方がチョロチョロして危ないんだよ!いいから着てろ」
竜馬が素っ気なく言う
・.。. .。.:・
「やっぱり平日は空いてていいな」
「僕の有給はちゃんとついているよね」
ハハッ「知らねーよ!自分で調べな」
「竜ちゃんがアメリカに行くまでは、よくこうしてバス釣り来てたよね 、久しぶりで僕も嬉しいよ 、どういう風の吹き回し?」
「どういう風って?」
竜馬は文也を見やった、そして片手になにげない風に釣り竿を持ち、少し風の強い湖面を見つめた、今までがむしゃらに働いて一代帝国を築き上げた、しかし自分は本当にこれを望んでいたのかと言われれば、何かが物足りないような気がしていた
そう思えたのは、あの大きな茶色いの瞳のソバカスさんのせいかもしれない・・・
フッと竜馬は笑った、釣り糸に視線を戻し、しばらく二人は黙って釣りを続けた、これからはこうして自分の愛する人達と人生を楽しんでもいいかもしれない・・
そう思いながら湖藻がはびこる周辺へ、二人はボートを走らせた、文也がレーダーを湖にかざしていう
「この下らへんが浸水三メートルあたりだ、 良いポイントなんじゃないか?」
竜馬はボートを走らせ、釣りポイントにフローボートを寄せた、その時ふわりと竜馬の鼻にディーゼルガソリンの匂いが漂ってきた
「??ガソリンが・・・漏れてないか? おい!文也!ボートにガソリンが漏れてないか?そっちから確認してくれ! 」
やがてボートの船尾から文也の大丈夫だの声が聞こえた
竜馬は気のせいかと考えなくなった
・.。. .。.:・
数時間後、文也の釣り針に大きなブラックバスがかかった、魚はアクロバティツクな動きで、なんとか釣り針から逃れようとしたため、釣り竿は真っ二つに折れそうになった
「うわぁ!コイツ!でけぇ!」
文也が叫ぶ
ハハッ!「なさけねぇな!それぐらい一人で引き上げろよ!」
竜馬も笑って網を用意した、リールはキーキー音をたてながら糸をほどき、そして文也が巻きながらまたほどき、 魚を泳がせて疲れるのを待った
怒りに燃えた水面に跳ね上がった美しいブラックバスを見て、二人が歓声をあげた
「1・5メートルはあるぞ!逃がすな!」
「2メートルだ!」
文也が立ち上がり、釣り竿を持って行かれないように、フローボートの上をあっちへこっちへ移動する
「ボートをもっと寄せてくれ!」
文也が叫ぶ
「いよっしゃっ!!そいつは魚拓ものだな!」
竜馬も立ち上がってフローボートのエンジンをかけた、その時またふわりとガソリンの匂いが、竜馬の鼻孔をくすぐった
そこでギクリとした
満タンだったガソリンのタコメーターがゼロを示している
周りは蜃気楼のように何かが蒸発して靄を作っている・・・明らかに漏れている、エンジンから黒い煙が巻き上がった
送風機がショートしてる音がした
そしてすぐ隣に置いてあった電圧計からパチパチッと小さな火花が散っているのを
見た時は遅かった
竜馬がガバッと立ち上がった
「文也ッッ!!」
咄嗟に竜馬が文也を突き飛ばした、文也は水しぶきを上げて、背中から湖に落下した
ドカ―――――――――――ンっっ!!
次の瞬間大きな爆発音と共に、二人を乗せたボートが爆発した
桜咲かな
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コメント
1件
うわっ、最後の展開が衝撃的すぎます……! 静かな湖上の釣りシーンから、ガソリン漏れの違和感、そしてまさかの爆発。竜馬が文也を突き飛ばす瞬間、一瞬で心臓が止まるかと思いました。伏線として何度か匂ったガソリンが、ちゃんと効いてる……。二人の何気ない掛け合いが温かかっただけに、この終わり方は心臓に悪いです。続き、めちゃくちゃ気になります!