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蝙蝠(こうもり)達の冥福を祈った後、コユキは迷いも見せずに一つの行動を取ったのであった。
ツナギのポッケから取り出したスマホで善悪に連絡を取っていたのである。
「うん、うん、そうなのよぉ、そんな感じで罪も無い野生動物達がねぇ、そうそう、そうなのよぉ! え、うん、あー、大丈夫? 本当? 聖魔力切れたら善悪だって辛いでしょう? そう? いいの? うんうんありがとね、でもくれぐれも無理しないでね! うんっ、分かったよぉ、ハイね、はーいはいはい、じゃあね~」
うん、また分からないよね。
んでも今回は、成り行きを見守る事としよう、それで分かる筈だから。
体育座りが出来れば楽だったのだろうが、残念ながら不可能だったので寝転がって過ごしていたコユキはウトウトしてしまうのであった。
「ポロッポーキョロロ、ポルポっ! キョロロン」
「はっ! 来たわね、ってま、眩しいっ!」
振り返ったコユキは思いもしなかった目の眩み(くらみ)を感じて強く目を瞑(つむ)ってしまうのであった。
輝きの正体は、気安い感じでコユキに話し掛けたのである。
「ん、んん~? コユキ様? イカガいたしましたかぁ~? ポロ、キョロロン」
そこに立っていた者の姿を眩しそうにしながら見咎(みとが)めたコユキは大きな声を上げて半身を起こすのであった、お昼寝は残念ながら終わりを告げるのであった。
「あ、あんた? ってカイムちゃんなの? キンキラキンね、あんた……」
そこに立っていたのは……
1998年限定のやつ、金色ピカピカのチョコレートの玉、ボールを一個づつ頭を押し込むたびにクェっとか言いながら送り出してくれるマンマゴールド、全身金ぴかキンに輝いた、あの国民的キャラクターキ○ロちゃんのアップグレードし過ぎなバージョン、ゴールデ○キョロちゃんの姿が森の中の歩き難い道をテクテク歩いて向かって来たのであった。
「キョロ、坊ちゃんに言いつかって応援に来ましたよポロッ、キョロロン」
ずっとポロポロ言い続けたせいか、まだ新しいキャラ設定に慣れていない様である。
コユキはキラキラ輝くせいで直視できないカイムから目を反らしながら言うのであった。
「応援か、あんがとね、カイムちゃん、んにしても、アンタよりにもよってそんな派手な依り代を選んだのね! そっちがビックリだわん!」
「ああ、ははは、これ目立つでしょ? ほら私ってこないだまで髭面(ひげづら)で鳥のキグルミ着ていただけのオッサンだったでしょ? キョロ、んだからこの姿になれたことが本当に嬉しいんですよね! あははは、坊ちゃんが許してくれて良かったですよぉ! コユキ様? 若しかして眩しいですか? あ! キョロロン!」
「す、少しね…… でも大丈夫よ! 綺麗で良いわね!」
「アリです! ポっ、キョロロン!」
カイムの喜んだ所でコユキは呼び寄せた理由、やって貰いたい事を告げたのであった。
「んでね、カイムちゃん! ここらの悪魔ってさっきから罪も無い野生動物を利用している感じでねぇ? アンタ生き物と話出来るんでしょ? 何とかなんないかな? もう悪魔とかと関係ない野生動物とか昆虫とか殺しちゃったりしたくないんだよねぇ~、どう? 何とかなるかなぁ?」
「ああ、そういうぅ~! オケイですよ! ではここら辺りの生きとし生ける物全ての声を聞きますね! キョロロン! んで、敵対しそうな動物や昆虫を事前にお教えすれば宜しいんですよね? お任せあれぇポロッポ、いいえ、キョロロンです!」
「頼むわね! んじゃ宜しく!」
「オッケイでつ! カイムサーチ………… んあ! こ、コユキ様っ! ちっと、いいえ! かなりヤバイかもっ! ですねっ!! キョロ」
キンピカの儘(まま)、顔を顰(しか)めてコユキに告げたカイムは、真剣な表情を浮かべてコユキに警戒するように伝えたのであった。
コユキは慌てて聞くのである。
「なに? 何が来るの? カイムちゃん! ハッキリ言って! 説明求むよぉ!」
カイムはキンピカキンの表情を僅か(わずか)に歪(ゆが)ませて答えたのであった。
「野犬です! 鍛え抜かれた戦闘専門の猛獣、だというのに捨て去られた彼等が…… 数十匹…… 今や凶悪な野獣と化してこちらに向かっています! さあ、急いで木に登ってください! 死にますよ! キョロロンっ!」 ピョン!
「あ? んん! あいよっ!」 ビョン!
カイムが避難場所に選んだ場所は、周囲に立つ木立の中で一番高い杉の木の梢(こずえ)であった。
一瞬遅れはしたものの、同じ枝に飛び乗ったコユキは、金色のカイムに合わせる様に呼吸を止めて敵の襲来を只待つしかないのである。
数分が経った。
何者も現れはしなかった……
我慢していたコユキが言葉を発した。
「えっと、何にも起きないんだけど…… カイムちゃん? これって、どういう……」
「シッ! 耳を済ませてポロッポゥ、 ほら! 聞こえるよね! ポロ…… キョロロン♪」
言われたコユキは頑張って耳を済ませたのであった。