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アングレ「シャドさん、ここがワタクシの住処ですよ~」
アングレは背中から生えている4本の腕で抱えていたシャドを、落とさないように優しく、そしてゆっくりと降ろした。
住処は、明らかに戦争による爆発の影響を受けていた痕跡があり、ボロボロな所だった。
しかし救いと言えば…食糧は勿論、少しボロボロだけど少なくとも地べたに寝るよりかはマシな布団があるくらいだろう。
アングレ「ここはあの戦争が起きる前はしっかりとした家だったみたいです。」
シャド「そう…な…んだ…」
アングレ「ワタクシは過酷な旅をしている道中、丁度良いと軽い気持ちで使ってみたら案外心地よくて、今は住処として使わせていただいております。」
旅をしていた彼は、道中酷い目に遭っていた。
爆風に飲み込まれそうになったり、反社会的な団体に巻き込まれたり、普通に過ごしていては絶対起きないような事を彼は経験している。
今になってはもうどうでも良くなったことなのだが…
色々と話すアングレにシャドは話しかけようとする。
シャド「そ…それ…より…も…」
アングレ「あ~!そう言えばそうでした!食糧ですね!」
アングレはそう言ってボロボロな倉庫に行った。
数分後、彼は食糧らしき物が入った箱を運んできた。
色々と入っているが、どれも普通の人なら食欲を失せそうなものばかりである。
しかし、シャドの目はそんな食べ物でも目を少し輝かせている。
アングレ「うーん、シャドさんは何がいいのでしょうか?」
シャド「…!」
アングレ「…シャドさん?」
シャドはアングレの質問に答えず、食糧を漁ってはそれを食べ続けた。
それはさっきまでの弱々しかった様子とは打って変わって獣のように本能を剝きだした様子だった。
食に異常な程執着した彼女の様子を見て、アンドレは驚いた表情をしこう言った。
アングレ「シャド…さん…?」
シャド「…」
アングレ「少し…落ち着きましょう…ね…?」
シャド「ごめん…つい…でもお腹が膨らんだ気がするんだ…落ち着いたし、苦しいのは少し治まったかも…」
アングレ「あら?そうですか?」
アングレは安心した後微笑んだ。
アングレ「それはとても何よりです!シャドさんが少しでも元気になってくれて、ワタクシは安心しました!」
シャドの苦しんでいる様子が少しでも治まった事に喜んでいる感じだ。
シャドが途切れ途切れになる喋るのを見るだけで、アングレは内心心配と悲しみが混ざり合っていた。
アングレはシャドの頭を撫でた。
アングレ「シャドさん、もうお腹いっぱいでしょう。それに外はもう暗いので、今日はここで寝ませんか?」
シャド「…あの…聞きたいことがあるんだけど」
不安げな表情でアングレに問いかけようとするシャド。
どことなく暗い表情がもっと暗くなったような気がした。
アングレ「おや、なんでしょうか?」
シャド「私…ここに住んでいいのかな…?だって、ここ以外ボロボロどころか、住む心地がしないぐらい消し飛んでいるし…」
アングレ「確かにそうですね…それにこの世界はワタクシとシャドさん以外全員お亡くなりになりましたし…」
シャド「だからお願い…貴方の住処に住ませて…貴方と仲良くなるきっかけにもなるし…いや、もう共有する相手すらいないけど…」
シャドはここに住みたいと懇願する。
アングレは笑顔になってシャドに言う。
アングレ「それはとても光栄です!是非とも!」
シャド「住ませてくれるの?」
アングレ「実はワタクシもシャドさんと仲良くなりたかったんです!シャドさんもお望みでワタクシ嬉しいです!」
アングレの目はいつもより輝いているように見える。
シャドは安心して不安な表情をしなくなった。
シャド「では、よろしくお願いします…」
アングレ「よろしくお願いします…シャドさん…」
アングレは少しボロボロな布団を用意して、シャドを寝かせようとした。
アングレ「シャドさんはそろそろ寝てください。ほとんど滅んだとは言えど危険はまだありますので、ワタクシはシャドさんを朝まで見守っています。」
シャド「…いつぶりだろう、布団で眠るの…」
シャドは久しぶりの布団に、心の中で感動した。
アングレはシャドを見守りながら、外の様子を確認していた。
アングレ「では、おやすみなさ…あら、もうお眠りになって…相当疲れていたのでしょうね…」
シャドは「おやすみ」の一言も言わずにすぐ眠ったらしい。
アングレはその彼女を見て微笑んだ…