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リリアーナちゃん、自分の気持ちに 気づいてないんですね。どうなるんだろうか…
あれから二年の月日が経ち、私は十四歳になった。
魔法の練習は結構進み、魔力暴走をたびたび起こしたが、ある程度の治癒をできるようになった。
この二年間で、いろいろなことがあった。両親の墓に行ったり、王都からでて地方に行ったりもした。全部大切な思い出だ。
そして、私が十四歳になって数ヶ月が経ち、夏になった。
私は書斎でナージリス語の本を探していた。最近、ナージリス語を勉強し始めたからである。
うーん……。なかなか見つからないな……。
と、本棚を見上げると、高いところにナージリス語の本を見つけた。
あった!良かった……。
私はその本を取ろうと必死に上に手を伸ばす。
が、いくら背伸びしても届かない。
どうしよう。どうしても取りたい。
「これか?」
私の後ろからふと長い手が伸び、本を取った。
振り向くと、やはり……。
「ルウィルク様」
その手の主は、やはり彼だった。
彼は取った本を私に無言で差し出す。
私は「ありがとうございます」と言いながら本を受け取った。
……どうしよう。心臓がバクバクうるさい。
最近、彼を前にすると、心臓の音が速くなり、顔も赤くなるのだ。
十二、三歳の時はこんなのなかったのに。
彼の身長が伸びたから?彼の顔がさらによくなったから?全体的に大人っぽくなったから?
どうしたんだ私。だめだ、しっかりしなければ。
私は彼に微笑んだ。
「ルウィルク様、いらっしゃってたんですね」
「ああ、ついさっき来た」
彼は相変わらずの無表情で言う。
「ではこんなところにいてもなんですし、私の部屋に移動しましょうか」
彼は頷いた。
私は笑みを深め、彼と一緒に廊下に出た。
廊下を歩きながら、私は彼に話しかける。
「そう言えば、一週間後からラカンスと言うところにある別荘に行く予定なのですが、ルウィルク様もご一緒しませんか?」
「俺も?」
「はい。お兄様が、普段妹が世話になっているから、せめてものお礼にと」
正直私としては一緒に行きたいのだが。もちろんいつもお世話になってるし、それに彼と魔法を練習できる時間が増える。
彼はしばらく考えるような顔をしてから、頷いた。
「わかった。そういうことなら遠慮なく」
その答えに、私は満面の笑みを浮かべる。
「わかりました。お兄様に言っておきますね」
良かった。彼がそう言ってくれて。
私は上機嫌で彼と廊下を歩いた。