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「暑い……」
龍宮寺のお見舞いから5日後、直人の世話もありぶり返した風邪は治っていたが今度は熱中症になりそうだった。夏休みの残り日数に反比例するかのように日々気温が高くなっており扇風機と凍ったペットボトルなど工夫をして暑さを凌いでいたがそろそろ限界になってきた。エアコンをつけるべきだと思うかもしれないが貧乏性が発動しており付ける気にはなれない。
ブーブー
ガラケーの電話がかかる。直人か千冬だろうと思っていたが以外な人からだった
『もしもーし』
「ん…どしたの?タクヤ」
幼なじみのタクヤからだった。記憶がないせいでタクヤについて余り知らないが小さい頃からの友達である。この事はタクヤが言っていたから知った
『これからいつものメンバーで海行くんだけど一緒に行かない?』
「海?」
『うん。電車乗って直ぐの海』
「分かった。準備するから…何処で待ってたらいい?」
『良いよ。俺らがタケミチの所行くから』
「分かった」
電話を切り急いで準備をする。と言っても記憶上海に行ったことがないので何を用意したら良いのか分からない。とりあえず水着を着てその上に私服を着た。後はバックにガラケーと財布を入れた。
ピンポーン
「はいはい」
「やっほ、久しぶり。行ける?」
俺らと言っていたので全員が迎えに来るだろうと思っていたがタクヤだけだった。あとの3人はマンションの外で待っているのだろう
「久しぶり。うん、行ける」
「さすが」
鍵を閉めてマンションから出た
「よっ!久しぶりだな!」
「うん。夏休み入ってから会ってなかったからな…日焼けした?」
「しちゃったな。けどマコトの方が焼けてる」
「うわっ本当だ」
「火にあてた位焼けてるよな」
「唇でやっと認識できる」
「うるさいっ!!日焼けした方がカッコイイだろ!」
千堂から話が振られ武道が反応し追い打ちをかけるようにタクヤ、山岸が痛烈な発言をした。それによりマコトが怒り、拗ねた
「まぁまぁ、どうせ今から俺らも焼けるし行こうぜ。海」
「おーう!!」
「お前らも焼かせてやるぅ!!」
「脅迫〜」
「ついたー!!」
「結構人いるな!」
10分位電車に揺られ海に到着した。世間的にも夏休みである事や暑い日が続いている事等の理由で海は多くの人で賑わっていた
「とりあえず荷物海の家で預かろうぜ」
「そうだな」
「浮き輪とかいるか?」
「いるいる!!」
荷物も預け、海に向かう。マコトと山岸は走って海に飛び込み千堂とタクヤはゆっくりと海に入った
「うひよぉ〜!」
「冷たっ!!」
「入る時冷たいよな。それが気持ちいいけど」
「タケミチ、入らないの?」
「入る…」
海が怖いのだろうか。入ろうと思っても足が動かず波がギリギリ来ない所で止まっていた。然し、このままでは海に来た意味はない。息をのみ片足を出した
「ひっ」
思っていた以上の冷たさに小さく悲鳴をあげ、たじろいだ。この一連の動きを見たタクヤが口をあけて笑う
「何?」
何故笑ったのかを聞く為怖がりながらも海に入りタクヤに近づく
「タケミチが変わってなくて…それが嬉しくてさ。ハハハッ!」
「どういう事?」
「タケミチさ…急に性格変わったよね」
「え?」
「前迄誰彼無しに冷たかったのに今は少し面倒見が良くなったというか…優しくなった」
「そう…?」
過去の自分の事なんて何も分からないので変わった事に気付けなかった。タクヤは目を伏せ話を続ける
「タケミチ…元々強かったのにもっと強くなったよな…。俺、何か怖くて。タケミチが変わるのは良いことだし、俺がどうこう言うことでもない…でも、それでも、何故か怖かった」
「タクヤ…?」
「まぁ…さっきのでタケミチは変わってなかったのは分かった。ビビりな事とかも…ごめんな、変な事言い出して 」
「……いや、大丈夫。」
頭が痛くなる。何を思い出そうとしているのだろうか
「おーい!こっち来いよ!。人少ないぜ!!」
「でっかい波来た!」
「うぉぉ!!」
「りょーかーい!。行こうかタケミチ」
「うん」
今は思い出さなくても大丈夫だろう。今日は遊びに来ているのだから
「おりゃっ」
「っ!!!?」
タクヤに海水をかけられる。不意だったので避けきれず顔にかかった
「……」
バシャっ!バシャッ!!
「ちょっ!かけすぎかけすぎ!!」
主に顔目掛けて海水をかけた。最初はあたっていたが腕で顔を守られてしまったので今度は背中目掛けてかける
「仕返しだ!」
「わっ!もうっ…おらッ…!」
「うおっ!?」
海水の掛け合いがおきる。そのせいで泳いでもいないのにもうびしょ濡れになった
「うわぁ…めっちゃイチャイチャしてる」
「カップルかよ……。武道浮気?」
二人の様子を遠くで山岸とマコトがジト目で見る
「武道まだ付き合ってないから浮気じゃないぞ」
「えっ!マジで!!?」
「ひなちゃんとだろ?ああ見えてまだ付き合ってない」
アレで付き合ってないのかよ…とマコトが言葉をこぼす。武道と日向は二人だけで出掛けたり一緒に登下校する等仲が良かった。付き合っていると勘違いするのも仕方がないだろう
「まぁもうそろで付き合うだろ」
「その時は祝おうな」
「俺らも混ぜろぉ!!」
幼なじみ組の方へマコトが走っていく
バシャーン!!
「うわっ!!」
「きゅっ!」
「情けない声だなぁ。特に武道、きゅって。どっから出た?」
「うるさいっ…!!」
「うわっちょっ、ちょっごめんごめん!!。いやタクヤ加勢するな!!」
タクヤにかけた海水よりも多くマコトに浴びせた。タクヤも便乗した事でシャワーの様にかけられる
「やれやれ…」
そろそろ止めないとマコトがある意味溺れると考えタケミチとタクヤを止めようと千堂が3人に近づくが
「おりゃっと!」
背中にバシャッ!と海水をかけられた
「うおっ!?おい山岸!!」
「へへっやり返してみろよ〜!」
「お前〜!!」
3人の方へ逃げる山岸を追いかけた
「楽しかった〜」
あの後も沢山遊び海の家でご飯も食べた。時間が流れるのは早く、いつの間にか夕方になっていたので帰ることになった
「いやぁ焼けたな」
少し小麦色になった自分の肌を山岸が見る。
「武道あんま変わってないな。ちょっと赤くなったぐらい?」
「タケミチはあんま日焼けしないからね」
「何故タクヤが答えた」
「流石幼なじみ」
「ここまで来たら怖いまである」
何時の間にか知っている分かれ道に戻っていた。皆とは反対の道なのでここでお別れになる
「じゃあな〜!タケミチ」
「また遊ぼうなー」
「じゃあね」
「ちゃんとエアコンつけるんだよ〜」
「ウッ…」
最後にタクヤに図星をつかれた。幼なじみはこんな事も分かるのか。いや、怖すぎるだろ
「疲れた……」
別れた後、一気に疲れが押し寄せてきた。そして睡魔も。一回寝てからお風呂に入ろうかと考えたが寝たらお風呂入るのが面倒くさくなりそうなので先にお風呂に入る事にした。
「夜ご飯…昨日の残りでいいかな。……、」
ふと、視線を感じた。ストーカーかと思い周りを見渡したが誰もいなかった。気の所為だと思いマンションに入った。
「ただいま……」
鍵を開けると暑い空気が襲ってきた。
「…つけよ」
何時も通りの静かな、されど暑い部屋に涼しい風が吹き始めた
「たけちゃん!今日も元気ねぇ」
「おはようございます」
翌日、ベランダで服を干していると隣のベランダからおばさんに話し掛けられた
おばさんはふた月前に引っ越してきた人だ。まだ中学生なのに一人暮らしをしている事を知っている為何かと気に掛けてくれる
「体調は大丈夫なの?」
「大分元気になりました」
「良かったぁ。あっそうそう、今日彼処のスーパー卵が安いわよ」
「えっそうなんですか?」
「えぇ!なんなら葱も安かったわよぉ〜」
「ありがとうございます。洗濯終わったら行きます」
この様に有難い情報を伝えてくれるので大分助かっている。安い時は買うに越したことは無い。食材を買いすぎて一人で食べ切れない量を作らないといけなくなってしまうが…
ピンポーン
「あっ直人だ。すいません失礼します」
「はーい、またね」
干しきれてない洗濯物を家の中におき急いで玄関のドアを開ける
「おはようございます」
「おはよう。暑いでしょ?中入って」
「失礼します」
「ごめんね。ちょっと洗濯物干しきれてなくて…」
「大丈夫です。手伝いましょうか?」
「いや、座ってて」
ベランダに戻り残りの服を干す。干し終わったのだろう、おばさんはもう居なかった。
「よいしょっと…で、今日は何?」
干し終わり籠を片付け改めて直人の前に座る
「安否確認です。半間修二に出会ってませんよね?」
「安否確認って…俺死ぬの?。まぁ…あの後は出会ってないよ」
「佐野万次郎にも?病院行ってませんよね?」
「うん」
あの日、病院で彼を見掛けてから直人が心配性になった。会ったら直ぐ報告すると伝えても不安なのか毎日の様にメールで聴いてくる。今回は直接聴いてきたが多分他の話があるのだろう
「なら良かったです。それともう1つ、試したい事がありまして…」
「試したいこと?」
「はい。えっと…タイムリープをした時を覚えてますか?」
「俺らが一緒にビルから落ちたね。タイムリープをしてないと死んでた」
「はい」
「…まさか」
もう1回一緒に死んだらタイムリープが出来るのではないのかと考えたのか。今の直人だったら考えそうな考察だ。然し、もしタイムリープが出来なかったら死んでしまい第三者からでは心中だと思われてしまう。いや殆ど心中だ
「死んだらタイムリープ出来るのでは…っと思ってませんよ。安心して下さい」
「あぁ…うん」
「僕らが死ぬ前、電気が通った感覚が有りましたよね?」
「……あ」
そう言われてから思い出した。確か、握手をした後に電気が通った様な痛みを感じた
「もし、タイムリープは握手によってできるなら、もう一度握手をしたら現代に戻れるのではないでしょうか」
「…やってみる価値はありそうだね」
正直、握手で現代に戻れるなんて信じてなかった。信じていたらやってみようと言う前向きな姿勢はとらないから
バチン!
「え…」
「ん?」
電気が通った様な痛みを感じた
ザブン!!
「カハッ…!?」
身体が家の床を抜け海におちた。その海は先日行ったあの海よりも濃く、暗かった
急に眠気を感じ始めた。あぁ、戻ってしまうのか。彼の元に
過去を変えたのだから少しはいい未来になって欲しいと意識を手放す前に願うのだった
ぐら🐹💛🐈⬛
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