エルの死後、ガイアは冷徹な眼差しを宿しながら空を駆け抜けた。その姿は、異能者たちに恐怖と威厳を刻みつける。彼女は地に降り立ち、そこには港と渋谷が待ち構えていた。
「エルを殺したのはお前たちか。」ガイアの声は冷たく鋭い。
「そんな言い方はよせよ。俺たちが勝っただけだ。」港が軽く肩をすくめる。
「そうだよ、勝負の結果だ。」渋谷も応じるが、微かに緊張の色が滲む。
ガイアはゆっくりと手を掲げ、異能を発動する。「ならば、この場を裁くのは私だ。罪の重さを知れ。」
ガイアの異能「検察官(プロスキューター)」
その瞬間、目に見えない法廷が荒野に具現化した。空中に現れた巨大な天秤が港と渋谷の頭上に揺れ動く。
「異能『検察官』。お前たちを裁き、罪を計る力だ。」
天秤が徐々に傾き、ガイアの声が響く。
「お前たち二人の罪は『殺人』。その報いを受けてもらう。」
「くだらねえ法律ごっこはやめろ!」港が拳を固め、全力でガイアに突進する。
だが、ガイアは軽く指を動かしただけで港の動きを封じた。「暴力は法律で禁じられている。」
港の身体が縛られたように動かなくなる。見えない力が、彼を地面に押し付けた。
「なにっ…!」渋谷が銃を取り出し、素早くガイアに向けて発砲する。
しかし、銃弾はガイアの周囲で止まり、彼女の手の中に吸い込まれる。「違法な武器の使用は厳しく罰せられるべきだ。」
渋谷は舌打ちし、身を低く構える。「あの能力、触れた物のルールを全部操れるのか…?」
「いい加減にしろよ!」港は叫びながら、地面に拳を叩きつけた。その振動が地割れを起こし、ガイアの足元を崩す。
ガイアは冷静に宙に浮かび上がり、指を鳴らす。「暴力の行使は二倍の罰則が加算される。」
彼女が手を一振りすると、空中に現れた巨大な判決書が港の頭上に降り注ぐ。
渋谷がそれを見て叫ぶ。「港、危ねえ!」彼は懐から閃光弾を取り出し、ガイアの目をくらませる。
一瞬の隙をついて港が縛りを破り、渋谷と連携して攻撃を仕掛ける。「やるぞ、渋谷!」
ガイアは二人の攻撃を受け流しながらも、天秤を操作して攻撃を重ねる。その力は絶対的で、二人を徐々に追い詰めていった。
「正義は決して揺るがない。」ガイアはそう言い放ち、港と渋谷の頭上に最後の一撃を準備する。
だが、その瞬間、渋谷が笑った。「正義ってのは人間が作るもんだ。お前の独裁とは違う!」
彼は港と共に力を振り絞り、ガイアに向かって同時に突進した。
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