テラーノベル
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気絶してから、どれだけの時間が経ったのだろう。
目が覚めて、にしきさんたちと話したあと、もう一度布団に潜り込んだものの結局うまく眠れず、時間が過ぎていく。
今は、頭を使いたい気分だ。
何もしないでいるより、何かに集中している方が、その時だけは気持ちが楽になれるから。
「ころんさん、下で勉強しててもいいですか?」
部屋を出ると、廊下にいたころんさんにそう声をかけた。
「全然いいよ! やりたいことしよう。数学とかなら教えてあげられるからいつでも聞いてね! 他の子たちにも聞いていいから」
ころんさんはそう言って、ひらひらと手を振ってくれた。
階下へ続く階段の手前。俺は、さっき見つけたグレーのうさぎの自由帳を、一度見てみることにした。
ページをめくると、そこには様々な文字が並んでいた。
『しにたい』
『殺してほしい』
『あいつも死ねばいいのに』
書き殴られたような、たくさんの人の心の叫び。
普段は言葉に出せないような、醜い願いすら受け止めているノートを見つめながら、俺はペンを握る。
”学校なくなればいいのに”
きっとこれは良くないことだ。
分かっているけれど、それでも思ってしまう。
ここだけに書く。それだけでも、少しだけ救われる気がした。
「あ……荷物、置きっぱなしだった」
1階に忘れてきたリュックのことを思い出し、俺は急いでノートを閉じて階段を降りた。
だけど、下に降りてさっきの場所を見てみても、置いていたはずの荷物がない。
どこにやったんだろう。焦って周りを見回していると、オレンジ色の髪をしたお兄さんが、俺のリュックを手に持って近づいてきた。
「もしかして、これ君の?」
「そうです! ありがとうございます」
「よかったわ~、持ち主見つかって」
「俺ジェルっていうんよ。よろしく」
「ジェルさんですね。俺、Lapisといいます」
ジェル「さん付けとかなくていいよ。気楽にしてな」
そう言ってくれるけれど、ジェルさんは自分より年上だろう。
「まぁ、慣れたらさん付け外してよ」
「……ありがとうございます」
空いているテーブルに移動し、問題集とノートを開いて解き始める。
いま解いているのは、少し先にある3年生の問題だ。
やっぱり学年が変わるだけで、レベルも一気に跳ね上がる。学校に行っていない分、ここから大学に入るのは難しいだろう。
でも、行きたいところはあるし、諦めるつもりもなかった。次へ、次へと問題を解き進めていく。
「すご……」
ぽつりと声がして、顔を上げる。そこには、学校を終えて戻ってきたらしい、心音くんが立っていた。
少し沈黙が続いて、どう話しかけようかと考えていると、心音くんの後ろから青い髪の編み込みをしたお兄さんが声をかけてくれた。
「Lapisくん、もうそろそろ大学入試レベルの問題までいけそうだよね」
まだそこまでのレベルではないと思う。
「……そうですか?」
「うんうん、自信持っていいよ。――よし、じゃあ心音くんも一緒にがんばろっか」
「はい!」
どうやら心音くんも勉強をしに来たみたいだ。俺の隣の席に座り、教科書を開いている。
中学の数学の教科書だった。俺も、結構苦戦した記憶がある。
理解できれば簡単だけれど、そこに行き着くまでが難しいんだよな。
案の定、心音くんはすぐに頭を抱えて机に突っ伏してしまった。
「もう無理だー……」
「ここはこないだと⋯」
隣でたちばなさんが心音くんに教えている声を遠くに聞きながら、俺は自分の問題へと意識を戻す。
さっきよりも、頭の中がすっきりと冴えているような気がした。
ゆうな
232
178
41
#みじかめです、!
夢仁羽
104
「あ゙ー! やっと終わった……」
「こないだより早く終わったね」
「でもつかれたー。Lapisくんは終わった?」
尋ねられて、俺は自分のノートに目を落とした。
「うん、今日の分は一応」
「なら!今度は人生ゲームしようよ!」
「人生ゲーム、したことないな」
「あ、俺もしたことないや」
「なら、誰かルールができる人を探さないと」
「たちばなさんは?」
「んー、多分このあと小学生の子たちが帰ってくるから、また今度にしようかな」
「そっかぁ」
「なら、そこにいるばぁうくんやジェルくんを誘うときっと楽しいよ」
「たちばなさん、ありがとう!」
「うん、またね」
心音くんは椅子から立ち上がり、俺の手を引っ張る。
俺もカウンターに座っている二人に声をかけるために席を立った。
コメント
6件
最高ですよ~ あのノートはだれのだろう (個人的に心音くんが書いたと予想する)続き待ってます‼️
Lapisくん、ちゃんと勉強に集中できるようになってて安心したよ…✨ 自由帳に書かれた「しにたい」とか「学校なくなればいいのに」って言葉、すごく重いけど、そういう気持ちをノートにだけでも吐き出せる場所があるのは大事だと思う。心音くんが隣で「もう無理だー」ってなってるの、めっちゃわかる(笑)でも、ジェルさんとかたちばなさんみたいに自然に話しかけてくれる人が増えてて、ちょっとほっこりしたよ🤍