コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
浅くて早い息づかい。それから吐息。
灯かりのない室内を淫らな音が満たしていた。
「カーテン……」
囁き声。
咎めるような響きは、しかし指先が粘膜を弄うその音に呑まれてしまう。
窓の外には街灯が設置されている。
青白い灯かりが、ぼんやりとこの2階の窓にも届いていた。
壁にもたれるように足を投げ出し、ベッドに腰をおとしているのは細身の男だ。
薄くて頼りないTシャツのほかは何も身につけておらず、伸びた足が外からの灯かりに白く照らされている。
つと──足指から脛を、指が這う。
「んっ……」
堪えるように微かな吐息を漏らしたのは有夏である。
膝をすべる指が、止まった。
躊躇かとおもいきや、手は容赦のない動きをみせる。
膝の裏をクイと持ち上げると、左右に開いたのだ。
「ちょっ、まっ……んんっ」
窓から滑り込む青白い光の下、すべて晒して。
反対に有夏は自らの両手で顔を覆った。
「何で顔、隠すの?」
膝をくすぐる吐息に、有夏は両足をじたばた動かした。
「顔、見せてよ。有夏……」
囁く声には笑いが混ざる。
こんな格好をしておきながら、なぜ今更顔を隠すのかと。
有夏は腕を硬直させたまま、ふるふると首を振ってみせた。
「ヤだ。これは……このカッコはさすがにハズかしい」
「そう? 恥ずかしい?」
膝裏に差し込んだままの手を、幾ヶ瀬は上に持ち上げてみせた。
「全部見えるね。エロいよ、有夏」
「エ、ロいのはお前だ……っ」
低く笑って、幾ヶ瀬は有夏の片足をさらに持ち上げて己の肩に乗せた。
自由になった左手。
まずは中指の腹でヒクヒク動く後孔をそっとなぞる。
全身にキュッと力を込めて、有夏は小さく声をあげた。
前から溢れた液が肉棒を伝って流れ落ちる。
まるで挿れてほしくてココが泣いているみたいだと、幾ヶ瀬の中指は孔の入口をつついた。
細かな振動を与えながら、ゆっくり指先を押し挿れていく。
「うんっ……!」
有夏の腹がビクリと波打った。
「感じてるの?」
指1本が、まだ第一関節までも挿っていないのに。
「……ちがぁう! さっきまで…節電のはなし、ばっか……してたのに、急に変わり、すぎ……っ」
「そうだっけ?」
足から右手を離し、幾ヶ瀬は今度は有夏の手首をつかむ。
指を突っ込まれて力など入るわけもなく、隠していた顔は簡単に露になった。
街灯の灯かりが届くだけの室内でも、その耳が真っ赤に染まっているのは分かった。
「有夏、かわいい……」
「うるさ……」
有夏が口を開きかける。
どうせまた意地を張って「うるさい」とか「一人で節電してろ」とか、可愛くないことを言うつもりなのだろうと、幾ヶ瀬は左手に力を込めた。
「あぁ……んっ」
不自然な格好でベッドに座っていたものの、体勢を維持できなくなったか。
中指を根元まで挿し込まれ、有夏の尻がズルズル滑り落ちてくる。
とっさに自身の両手で身を支えたものの、両足を開かされた格好で気持ちいいところを弄られて。
可哀想に。手は小刻みに震えていた。
「いくせっ、そこっ……んあっ」
有夏の喘ぎが高くなるにつれ、ナカの指の動きが激しくなっていく。
中指で内壁を擦りながら、人差し指と親指が入口をさする。
「んっ、いくせぇ……」
ねだるような甘さが、声ににじみ出た。
幾ヶ瀬の唇が歪み、人差し指が内へ潜りこむ。
「んぁぁ! あっ……」
指を動かすたびに淫らな声が漏れる。
「有夏、きもちよさそ……」
「うる……うっ、さぁ……っ」
うるさいの一言すら言えないくらい感じているのか。
幾ヶ瀬の指の動きにあわせて腰をくねらせ乱れていた。
幾ヶ瀬の右手が有夏の手首を放し、ふにゃりと柔らかい唇をなぞる。
「有夏……ねぇ、気持ちいい? セックスするの、久しぶりじゃない?」
「そうでもねぇだろ……んっ、んっ……」
「だってソウルハッカーズ2だっけ? ゲームが出てから、有夏ったらそっちに夢中で俺のことなんかほったらかしじゃない……」
「じゃな、くて! いくせが、いそがしいって……」
そうだっけと幾ヶ瀬が笑う。
唇をなぞる動きが不意に止まる。
「寂しかった?」
「…………うんっ」
ナカの指がいいところを弄い始めたのだろう、有夏の瞳がじわりと潤む。
早くも余裕を失い、コクコク頷いている。
「有夏、キスしたい。していい?」
腹の奥でキュンと感じてしまったのだろう。
返事をするように後ろを締めて、有夏は潤む目を幾ヶ瀬に向けた。
「……んで、そんなの、聞くかな。有夏がイヤっていったら、しないのかよ?」
締めつけに任せるままに指の力を抜いて、幾ヶ瀬は恋人に顔を近付ける。
「そりゃ……有夏が嫌ならしないよ?」
「やだぁ!」
途端、有夏は顔を歪めた。
「有夏がいやっていっても、して……」
「あ、有夏……」