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3話 シュタイン
「はあぁッ!!」壁に足を着き、木まで登れば、宙を飛んでいた天使に向かって跳ぶ、それと共に剣で切りつけ、ストンと地面に足をつけた
少し息を整えつつ、上に表示されていたモニターに視線を向ける、そこには点数が表示されていてそれは相性だったり二年になる為の成績だったりが写っている。
ー80.77ー
「結構高めに出せたな」俺の点は相性が80、成績が77だ。初めての人はどちらも大抵60から70が基本らしいが、これを見るに俺とこのロングソードの相性は抜群みたいだ。
「うわぁ!やらかしたー」と、俺の横ではイエンが地面に手を付きながら叫んでいる。俺はそのままロングソードを手にしながらイエンに向かって歩いていけば、同時に「どうした」と声をかけた。
「いやさぁ、見てくれよこれ!」と、指を指したモニターの点数を見る、彼は銃剣を使っていたのだが…
ー35.43ー
「これはやらかしたな」俺は呆れたように苦笑いをうかべる。流石にここまで低い点数あんま取らないぞ…
『二回戦、武器を選択してください』と、再び小さなモニターが自身の正面に表示される。「今度は自分に見合った武器選べよ」と一言おいてから武器選択画面をなぞる。その時何かしらの違和感に気がついた。ちらっと正面を見つめるとそこには二体のダミー人形が置いてある、一つは悪魔、二つは天使のものだ。先程と変わらない姿でいる…気のせいだろうか。
『両剣』が選択されました
と再び手にはカイシャが落ちてくる。揃って「リリース」と唱えれば手の内には両剣が収まる。皆の準備が整い、先生からの合図がかけられた。
その時正面にいた悪魔のダミー人形が奇声をあげながら勢いよくこちらに襲いかかってきた。
ダミー人形は普段は自ら襲いかかってくることは無い、宙を飛んでこちらから仕掛けた攻撃を避けるのみだ。なのに襲いかかってきたということはつまり──
突然地鳴りが響く。正面から着た悪魔の攻撃を手で持っていた両剣で防ぎ、周りを見渡す。その時、学校中にあるモニターが校長の秘書の女性へと切り替わる
『緊急事態です!』
『現在学校に悪魔が侵入!四年生や先生方の皆さんは早急にそちらに向かってください!!』
「アグラン!!」イエンがこちらに走ってくるのが見える。俺を助けようとしてくれているのだろうか先程カイシャからリリースしたばかりの斧を振り上げて悪魔に向かって振り下ろす。
「イエン、やめろ!!」とイエンの背後にはもう一体の悪魔が顔を覗かせニヤリと笑みを浮かべている。俺の正面にいるやつは囮だった。と、攻撃されそうな時、二匹の悪魔の頭上に白い魔法陣が展開され、そこから一本の白い線が伸びる。ソレが悪魔の体を貫通すれば突然身体はガラスのように固まり、ひび割れて砕け散る。
「我々の後輩になるものに手を出すのはおやめなさい」その声とともに砕け散った破片を一つ手に取り、床に落としたかと思えばその場で踏み潰す。それは騎士団のクリストス(上位騎士)に君臨しているラジュリア・セイン、魔法使いだ。
ここの騎士団は基本的に何かあれば直ぐに駆けつけて来れるように転移魔法を書かなくても転移してこれると聞いたことがある。まさか本当にこの数分で来たというのか。
ラジュリアはこちらに近づいてきては俺たちの正面で立った。先程の魔法を使った人とは思えないほど小柄な女性だ。身長はだいたい…145くらいだろうか。
「あなた達怪我は?」ジトっとした瞳にムスッとした口元は変えず、ただ俺たちに心配の一言をかけた
「いえ、怪我は無いです…」
「そう、ならいいの」
「ラジュリア様、こちらの処理は終わりました」鎧を着た騎士達がこちらに走ってきた。騎士は会釈を行い、ラジュリアの前に立つ。
「なら少し見回りをして、隠れてる悪魔がいるかもしれないわ」と指示を下し、騎士が返事を返せば廊下に向かって走り出す。
その様子をイエンは呆然と見つめていた
そして唐突に口を開き
「…ラジュリア、ってあの3番隊騎士団長のラジュリア・セイン!?」瞳を輝かせればその場からラジュリアに向かって走る、そしてラジュリアの片手を両手で握れば上下に勢いよく振り「ラジュリアさん!!あのおれ、すげぇ憧れてます!!」ラジュリアは軽く引いた様子だ。
「え、えぇ、ありがとう。」なんて言葉を返せば苦笑いを浮かべる。俺は流石に馴れ馴れしいと思い、イエンの肩を掴んでラジュリアから距離を離す
「ラジュリアさん困ってるだろ、やめろ」
「いやぁ、はははっすんません」後頭部を掻きながら緩んだ口元で笑う。
と、終わったかと思った戦闘に水を差すかのように奇妙な笑い声が聞こえる
「人間も力をつけてきましたか」
ラジュリアは瞳を見開き周りを見渡しては、上を向いた。そこには赤髪で黒いウィンプルのようなものを頭に乗せた女性が客席の柵の上に立っている。
「貴方はシュタイン!!」ラジュリアは大声を出して叫べば表情を崩す。
「…ふふ」