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3話 「王都で大暴れ」
王都の門をくぐった瞬間、俺はため息をついた。
人混み、喧騒、屋台の匂い――辺境の静けさとは正反対だ。
「悠真殿、着きましたぞ。まずはギルドへ向かいます」
案内役のガレスは妙に張り切っている。俺としては早く終わらせて昼寝したいだけだ。
ギルドは巨大な石造りの建物で、中は酒場と受付が一体になった賑やかな空間だった。
俺が受付に向かおうとしたその時――。
「おい、そこの田舎者」
肩を掴まれた。振り返ると、鎧を着た大柄の男が立ちはだかる。背後には取り巻きが三人。
「こっちは今から依頼を受けるんだ。順番抜かしすんなよ」
「いや、俺は登録に――」
「聞いてねぇ!」
言い終わらぬうちに、男は俺の胸ぐらを掴み、力任せに引き寄せた。
面倒だな……。
「おい、やめろ!」
ガレスが割って入るが、男は鼻で笑った。
「副団長様が田舎者の世話か? 暇なんだな」
次の瞬間、俺は指を軽く弾いた。
パァン、と空気が弾け、鎧の男たちはふわりと宙に浮き、そのままギルドの天井を突き抜けて空の彼方へ消えた。
静まり返るギルド。
受付嬢が口をパクパクさせ、ガレスが額を押さえている。
「……派手にやりましたな」
「だって、昼寝の邪魔されたし」
その後、男たちはギルド裏の干し草山に落ちてきて命に別状はなかったが、噂は瞬く間に王都中へ広がった。
“ギルドの天井をぶち抜く田舎者”として。
登録は無事終わったが、俺の「目立たず過ごす計画」は開始三時間で崩れ去った。