テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠注意⚠
この話は本編に繋がる番外編的なものです。
R-18要素を含みますので、苦手な方はご遠慮ください。
―――――――――――――――――――――――――
移動の疲れもあって、俺はテントの中で横になった途端、あっという間に眠りに落ちた。
夜風が涼しくて、寝袋の中も快適。いい感じだな〜と思ったその時──
「……テナー……。」
ん?バスの声?俺はうっすら目を開けた。どうやらバスもテントに入ってきたらしい。けど……なんか……近くね?
ギュウゥゥゥ……
……っ!?えっ!?ちょ、ちょっと待て、バス!?なんで俺抱きしめられてんの!?てか、力強すぎぃぃ!!
バスはご抱きしめている。俺は混乱して何も言えないでいた。すると、バスは耳元で囁いた。
「テナー、お前、本当に可愛いな。」
違う違う違う違う!!俺はテナーじゃねぇ!!
しかし、俺の必死の抵抗もむなしく、バスはスヤスヤと寝息を立てている。
え、もしかしてこれ、寝ぼけて俺のことをテナーと間違えてる!?
「可愛いな……」
そう言いながら俺の耳を甘噛みしてくるものだからたまらない。ゾワゾワした感覚が背筋を走りぬけていって思わず声が出そうになるが何とか堪えた。
なんだ……この感覚……っ!
背後にはバスが居て、何故か寝ながらバックハグされていて……
耳を甘噛みしたり、俺の体をいやらしく触ったり……。
それを何度か繰り返すと、今度は首筋を舐め上げられてしまいビクッと肩が震えてしまった。
そんな反応を楽しむかのように何度も同じ場所を攻め立てられるうちに俺は段々と変な気分になってしまう。
変な感覚……。体を触られたり、抱きしめられるだけで、こんなにドキドキして、体が熱くなって……ゾクゾクしてきて……
何だか気持ちよくて……。でも、こんなの変だ! 俺は必死に抵抗した。
しかし、バスの力は強くて振りほどけないし、何より俺の体がおかしい。
「ん……テナー……」
耳元で囁かれたその一言に、俺は思わずドキッとしてしまったんだ。
「可愛いな」
まただ。また言われた。しかもさっきよりも強く抱きしめられて、さらに密着度が増した気がする。
やばいやばいやばいって!!これ本当にヤバいって!! 俺はもうパニック状態になってたし、心臓バクバクだし、なんか変な汗出てきたしでもうわけわかんなくなってきていた。
「ち、違……俺はアソビだっ……て……♡」
「ん〜?」
……これはやばい。
思わずバスの顔を見ると、普段は鋭い目つきのくせに、寝ぼけているとめっちゃ穏やかな顔してるじゃねぇか。しかも、なんか幸せそうに微笑んでるし。
……あー、そういうことか。テナーとバスって、やっぱ特別な関係なんだな。
……じゃなくて!!!
俺、男だぞ!?俺がアソビだってバレたらバスどうすんの!?しかも結構気にいってるし!?可愛いとか言われまくりだし!? でも、2人とも寝ていて、声が出せない俺はそれを説明することもできないし。
「あ、あの……は、離して……」
俺は必死に抵抗した。しかし、バスは全く離してくれない。それどころか、俺の首筋に顔を埋めてきたり、耳の裏を舐めたりしてくる始末だ。
やばいやばいやばいって!! このままじゃマジでやばい!
「や、やめっ」
思わず声が出てしまった瞬間だった。
背後から抱きしめられたまま、ズボンを……下着ごとずり下ろされてしまったのだ!
「……っ!?」
何だこの展開!?意味わかんねぇ!! まさか、エッチなことされんの俺!?
こうして俺の地獄の夜が始まった。
寝ている最中に背後からバスに抱きしめられながら、何故かエッチなことをされている俺。
バスは、寝ぼけているのか、俺のことをテナーだと思い込んでいて、さっきから俺のことを「可愛い」だとか「好き」だとか言ってくる。
しかも、俺の体をいやらしく触ってくるもんだからタチが悪い。俺は必死に抵抗した。しかし、バスは全然離してくれないし、むしろさらに強く抱きしめてきたりする。
やばいって!これ絶対まずいやつだって!! 俺は必死になって抵抗したが、結局何もできなかった。
それどころかどんどん変な気分になってきてしまって……
体が熱くなってきちゃって……ゾクゾクしてきちゃって……
なんだか気持ちよく……て……
「……っ!?……ぁ♡」
俺の体がめちゃくちゃ反応してるんですけど!?何コレ!?
バスは「可愛い」……そう言いながら俺の体をいやらしく触ってきた。俺は思わず声が出てしまいそうになるが、必死に堪えた。
やばいって!これ絶対やばいって!!
俺は必死になって抵抗したが、結局何もできなかった。それどころかさらに強く抱きしめてきたりするもんだからタチが悪いのだ。俺は必死に抵抗したが、結局なにもできなかった。
それどころか、今現在……ズボンをパンツごとずり下ろされてしまったのだ。
ちょっ!マジ!?マジかよっ!
俺はパニック状態のまま必死に抵抗を続けたが、バスは全く離してくれないしむしろさらに強く抱きしめてきたりする。
そして、俺のお尻に硬くて大きいものが押し付けられるのを感じた。
これってもしかして、バスさんのアレですか?いや、でもまさかね、そんなはずないよね?
うん、きっとそうだ!そうに違いない!!
次の瞬間、その希望は打ち砕かれることになる。
「テナー」
耳元で囁かれたその言葉は甘くて熱っぽくて。俺はぞくりとする感覚を味わいながらも、必死に抵抗を続けた。しかしバスは一向に離そうとしない。それどころか強引にアレと思わしきものを俺の尻に入れてくる始末だ。
「待って……俺本当にテナーじゃ……あ……♡」
俺の尻にあったかいものがぴとっとくっつく。
これはまさか……
「いっ……あ……」
押し込まれるように入ってくるそれに、俺は身を捩らせた。しかしバスはそれを許さず、むしろさらに奥まで突いてくる。
やばい、マジでやばいって!!
俺は必死になって抵抗するが、バスは全く離してくれないしむしろさらに強く抱きしめてきたりする。
俺はパニック状態のまま必死に抵抗を続けたが、結局何もできなかった。それどころかさらに強く抱きしめてきたりするもんだからタチが悪いのだ。
今度は挿入されたものが抜き差しを始めた。
最初のうちは痛かったけど、どんどん気持ちよくなってくる。
バスは俺の耳元で囁きながら、さらに激しく責め立ててくる。
「テナー。可愛いぞ」
俺は涙目になりながら首を横に振るが、バスは気にも留めずにどんどんエスカレートしていく。
二人とも寝ているから声が出せない。しかも、バスは俺のことをテナーだと思ってるから激しく突き上げてくる。
「っ!!」
声こそ出ないものの、喉の奥底から悲鳴のような声が上がった。
やばいってこれマジやばいって!まずいんだってばぁ!!
俺は必死に抵抗を続けたが、結局何もできなかった。それどころかさらに強く抱きしめられ、奥まで突き刺された瞬間、俺はついに限界を迎えてしまった。
それと同時に全身から力が抜け落ちていく感覚に襲われて意識が遠のいていく。
……はずだった。
俺の尻の中に何か熱いものが注ぎ込まれると同時に、俺は再び覚醒した。
「あ……ああぁ……っ!」
俺の中に吐き出されたそれは、俺の体の中で暴れ回りながら徐々に広がっていく。
それと同時に、俺の体にも変化が現れ始めた。
全身が熱くなり始め、特に下半身のあたりが疼いて仕方がない。まるで何かを求めているかのように。
「あ……あがっ……♡」
俺の体の中に吐き出されたそれは俺の体の中で暴れ回りながら徐々に広がっていく。同時に、体の奥底から湧き上がる熱に身悶えた。
しかしバスはまだ離してくれそうにない。
(なんだよ……この感覚……っ!これが男同士でするものなの……か?)
思わずゾワっと背筋が震えた。
でも、ダメだ。これは絶対に間違っている。
俺は必死に抵抗した。しかし、バスは俺の体を離してくれないしむしろさらに強く抱きしめてきたりするもんだからタチが悪いんだ。俺は必死に抵抗を続けたが、結局何もできなかった。
いや、させてくれなかったのだ。
知らない感情と感覚。熱くて、頭がぼやけてきて……気づいた時にはもう遅かった。
気持ちよくて、何度も意識が飛んでは戻される感覚。
先っちょからは半透明の液体が溢れ出している。
正直、頭がおかしくなりそうだ。
もうダメだ……我慢できない。そう思った瞬間だった。バスは突然動きを止めてそのまま寝てしまったのだった。
「う、嘘だ……ろ?」
俺の尻にモノを挿れたまま、バスは、俺のことを強く抱きしめたまま、寝てしまった。
「おい!バス!起きろよ!」
俺は必死に抵抗するが、バスは全然起きないし、むしろさらに強く抱きしめてきたりするもんだからタチが悪い。
さっきから、バスの大きくて硬いものが俺の尻の硬い部分に当たって……気持ちよくて変な気分になる。
(やばいっ!これおかしくなる!!)
俺は必死に抵抗を続けた。
しかし、抵抗すればするほど、押し付けるようにホールドしてくるバスに、俺はますます焦っていった。
(俺の尻が……壊れ……)
その瞬間、また熱いものが注がれた。それと同時に俺の体にも変化が訪れる。
全身が熱くなり始め、特に下半身のあたりが疼いて仕方がない。まるで何かを求めているかのように。
次第に力がどんどん抜けていき……密着状態に。俺の敏感な部分がバスの硬い部分が長時間、強く押し当てられる状態になってしまった。
あれからどのぐらい時間が経ったのだろう。
バスのものをすっぽりと受け入れてしまい、同時に俺の敏感な部分にグリグリと押し付けられる形になって、その刺激がまたさらに俺を追いつめて……
彼は爆睡しており、俺は気絶してはその歪な感覚で何度も目覚めてしまい、まともに眠ることも出来なかった。
彼のものはパンパンに腫れあがり、俺の中はギチギチになっていた。しかも、たまに中に熱いものを注がれる感覚がして、その度に俺は小さく喘いだ。
(動けないっ……俺の体の中どうなって……♡バスのちんちんが俺の中に……)
テナーもバリトンも気持ちよさそうに寝ているため、起こさないように、涙を流して、心の中で喘ぐしかできなかった。
(なんか、俺のお尻の硬いところとアイツのちんちんがずっと当たって、変な気分に……♡あたま、頭がっ……おかしくなりゅ……♡♡)
必死に耐えようとするものの、段々と思考が溶かされていき完全に堕ちてしまう。
俺は恥ずかしさのあまり、何もできずにいる。抜いてほしくても、バスは俺のお尻にモノを差したまま夢の中。
このままだとやばい。このままじゃ本当におかしくなる。そんなことは分かっているのに、体の力が抜けて抵抗できない自分が居て……。
(いやらしく抱きしめてくるし、もう体も密着しちゃってるじゃねーかっ♡やだっ、陰キャなら潔く童貞のままで居ようとしたのに、こんな俺に似た……ちゃらんぽらんな男に両方奪われるなんて……もう、駄目っ……♡)
俺はその感覚を受けてしまい、屈辱とあまりの恥ずかしさから思わず体が痙攣するような感覚が広がっていく。
「っ♡っ♡っ♡」
しかし、その刺激は俺が思った以上に強く、俺は思わず小さく喘いでしまった。
知らない感覚のはずなのに、体が反応してしまい、羞恥で死にたくなった。
それと同時に俺はあることに気が付いてしまった。俺の中に入っている物が大きくなってきている気がするのだ! それはつまり俺の中のこの硬いところにもさらに押し当てられることになるわけで!
「ふあっ♡」
(お尻の中、熱いものとバスの硬いものがずっと奥に当たって……♡駄目っ……俺もうお婿行けな……)
どぴゅっ、びゅくっ。
バスが射精すると同時に、俺の目の前が真っ白に染まり果てた。
(うわぁぁぁ!?また、アイツ射精しやがった!?爆睡しながらヤるなんて本当に馬鹿げて……あっ、また……っ♡やだっ♡俺の腰もう限界……っ)
ガクガクっ♡
(あ、あぅう~っ♡もうやだっ、抜いてぇえっ♡♡バス起きてよぉぉぉ♡♡♡)
抵抗することができず、眠ることができないまま、初めて受けた快楽と屈辱と絶望感でぐちゃぐちゃの脳みそでただ必死に耐えることしか出来なくなっていた。
しかし、俺の尻の中のモノはさらに膨らんできて!
(やばいっ……また中に……!?このままじゃお尻おかしくなっ、ああっ♡ やだぁ♡ 助けてっ!)
どぴゅっ♡びゅるるっ♡
ガクガクっ♡
あまりにも強い刺激で、俺の頭の中はもう真っ白に、ドロドロに溶かされてしまった。
それから何度も繰り返され、頭も体も蕩けていった。
そして、朝日が出始める頃には……
俺の顔はもう『出来上がって』いたのだった……。
(テナー視点)
朝。
ひんやりした空気と小鳥のさえずりの中、僕は静かに目を開けた。
ぼんやりとした視界の先に見えたのは──
アソビの顔。
……ん?
いつもなら、彼の肌は白くてすべすべで、まるでお人形さんみたいに整っている。どこか気品があって、ちょっと近寄りがたい雰囲気さえあるのに……。
「て、テナー……♡た、たしゅけ……」
まず、顔を真っ赤にして目をうるませてる。綺麗なアーモンド型の瞳には涙の膜が張っていて、睫毛に水滴が乗っている。淡い桜色の唇が小さく開いていて、そこから熱い吐息と共に助けを求められた。
肌はピンク色に上気していて、頰と首筋までほんのり赤く染まっていて……。
──え?????
なんか、今日のアソビ…… 真っ赤っ赤じゃない!!??
しかも 涙目で、めちゃくちゃ必死な顔してる!!
「バス、起こし……て……」
しかも顔エッッッロ!顔エロっ!なにこれ!!??
アソビは顔も声もめちゃくちゃ綺麗だから、こんなのでものすごーーくエッチな感じがしちゃう!
「助けて」って言われても、正直なんでこんなになってるのかもわからない。
ていうか、こんな状態はじめて見るし。ちょっと官能的な歌声出してる時の顔と雰囲気とも違うし……。
「えっ、なにこれ!?!?アソビが壊れた!!??」
僕が完全に混乱していると、横でバリトンも目を覚ました。
「んー……朝か……って、何この状況ぉぉぉ!?」
バリトンの叫び声で、ようやく全貌が見えた。
── アソビがバスに思いっきり抱きしめられていた。しかも寝バックハグに寝巻きははだけて、アソビは半裸状態。バスは爆睡中だ。
「え、何これ!?どういう状況!??」
「わかんない!でもなんかアソビがすごいエロいことになってる!!」
「た、助け……俺もうげんか……」
「……は?」
いったん落ち着いて、状況を整理する。
① バスがアソビを抱き枕にして爆睡中。
② アソビは必死にもがいているが、バスの腕が鉄壁すぎて抜け出せない。
③ 結果、アソビは顔を真っ赤にして涙目で助けを求めて……え?
「うっ、うわぁぁぁ〜〜ん……何で俺だけこんな目に……」
アソビが遂に泣き出して、僕はぎょっとした。
「……つまり、バスが僕と間違えてアソビを抱きしめてるってこと?」
「多分、そう……!!っていうか早く助けてぇ……!」
アソビが全力でもがくが、バスの腕のホールド力は絶大だった。
「んっ、んぎぃ♡ やめ、やめ……っ!お前、寝ながらパワーアップすんな!!やばっ、またイッ……」
「いや、なんでバスだけパワーアップしてんの……?」
「お前らいいから、早くコイツをどうにかしてぇぇぇ!!」
アソビの叫びもむなしく、バスはスヤスヤと幸せそうな顔で爆睡している。
白い肌で上品で可愛いはずのアソビが、真っ赤な顔で涙目になりながら、必死に助けを求める姿は…… カオス以外の何者でもなかった。
「……バス、起こすしかないよね。」
「そうだな。」
「……どうやって?」
「おいバス起きろォォォ!!!!」
こうして、キャンプ地の朝に、全力のバス起こしコールが響き渡るのだった──。
―――――――――――――――――――――――――
「朝から騒々しい!何事ですか!?」
テントの入口がバッと開き、使用人たちがなだれ込んできた。
そして、彼らは見た。
テントの中に転がる4人──
泣き崩れるアソビ。
真っ青な顔の僕とバリトン。
そして、バスの腕の中でぐったりしていたアソビ(2回目)。
アソビを抱きかかえたまま爆睡するバス。
数秒の沈黙。そして、使用人たちは一斉に声を上げた。
「はぁッ!?!?」
彼らは同時に叫んだ。
「ア、アソビ様!!?」
「バス様!!?!?」
「え、ちょ、どういうこと!?!?」
「取り敢えず、バス様を起こしましょう!」
「バス様、起きてください!!!!」
ドゴォォン!!!
怒号とともに、数人がかりでバスを揺さぶり、最終的には拳と蹴りで叩き起こした。
そして、バスは目をこすりながら目を覚ました。
「ふぁあ……あれ?俺何してたんだ?」
「アソビ様!大丈夫ですか!?」
アソビは涙とヨダレでぐちゃぐちゃになった顔で呆然としていた。
かなり中に出されちゃったみたい……
「んぁ……なんだ、朝か……?」
寝ぼけ眼のバスが、何も知らない顔で欠伸をする。
しかし、彼が目を開けると──
目の前には、涙目で震えるアソビ。それを抱きかかえる僕と仁王立ちしてバスを睨むバリトン。僕らと、バスの目が合った。
「な……なんだよこれ……」
すると、アソビがぷるぷると震え、「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」と全身を床に投げ出し、泣きじゃくった。
「ちょっ!?何泣いてんだお前!?」
「もうお婿に行けない……俺の尊厳奪われた……」
「は!?」
バスが完全に状況を理解していない様子で首を傾げる。
「……バス。」
バリトンが、静かに名を呼んだ。
「……なんだ。」
「君さぁ。」
バリトンは目を細め、ゆっくりとため息をつくと──
「やったことの重大さ、わかってる?」
「いや、俺はただ寝てて……」
「テナーだと思って、抱き枕代わりにして、しかもお尻にブツ差し込んだままで爆睡。」
「………ま、まさか……」
「あ、気づいた?」
「なんてこったぁぁぁぁ」
バスは声にならない叫び声を上げた。
✎___________
「で? バス?」
バリトンが腕を組み、冷え切った声で問い詰める。
「お前さぁ、自分が何をしたか、ちゃんと理解してる?」
「いや、俺は何も……」
「寝ぼけてたら何してもいいって話じゃないんだけど?」
「……。」
「バス……覚えてないの?君ねぇ、学習しろよ?」
バスが鋭い目つきで睨むが、バリトンは微塵も怯まずに詰め寄る。
「アソビがどれだけショックを受けてたか分かってる? いや、いいや、分かるわけないか。君、寝てたもんねぇ!?」
「……。」
「寝ぼけてたからって、テナーと間違えてアソビを抱き潰すとか、どんな悪夢?地獄だよ。」
「……悪夢って言うな。」
「事実じゃん!!」
バリトンの怒声に、使用人たちがビクリと震える。
「バリトン様、落ち着いてください……! 朝からそんな大声出したら……」
「まだ言い足りないんだけど?」
「ひぃっ!!」
怒りに震えるバリトンをなんとか宥めつつ、僕はそっとアソビを連れてテントを出た。
「……行こ?」
「……うん。」
バスを置いていくことに、アソビは何の未練もなかった。
温泉。
「はぁぁぁぁぁ……」
温かい湯に肩まで浸かりながら、アソビは大きく息を吐く。
「……大丈夫?」
湯船の向かいに座ると心配になり、近づいてみる。
「もうダメだ……俺、バスに抱き潰された……。尊厳も誇りも失った……。」
「そ、そんな大袈裟な……!」
「大袈裟じゃねぇよ!!だってアイツ、完全に俺のこと抱き枕にして……っ!」
アソビがガバッと湯から上がり、湯気の向こうで拳を握りしめる。
「俺の尊厳……俺の未来……っ!」
「……うん。」
「え、何その微妙な反応。」
「いや、あの……今のアソビ、なんか可愛いなって。」
「……は?」
「ほら、お人形さんみたいな肌に、ぽかぽかして赤くなった頬……。」
気がつけば、僕は、自分の両手で彼の頰を包み込み、その感触を楽しんでいた。
「あ、あの、テナー?」
「ん?どうしたの?」
「あの……恥ずかしい……」
「あっ、ごめん!!」
僕は慌てて手を引っ込めた。アソビは頰を真っ赤にして俯いてしまった。
「あの、その、えっと」
「いや、別に嫌とかじゃなくてだな、ただちょっとびっくりしただけで」
「う、うん。」
アソビは咳払いをして、少し落ち着いたようだ。
「やっぱり、アソビって可愛いよね。」
「はぁ!?」
僕がそう呟くと、アソビは一瞬で顔を真っ赤にして湯に沈んだ。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!」
✎﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏﹏
「ふぅ。」
入浴後、入れ替わるようにバスとバリトンが入浴中。
テントに戻る前に、一息つくことにする。今日は朝から大騒ぎだったが、何とかなった。
しかし、アソビはうまく腰を掛けることが出来ず、力が抜けてへたり込んだり横になることしか出来ていなかった。
バスに抱かれ、その感触と温もりを知ってしまったアソビは、もう以前の彼ではなくなっていたのだ。
「アソビ。大丈夫?」
僕は心配になって声をかけたが、彼は首を横に振るだけだった。
「俺、これからどうなっちゃうんだろ……」
アソビは弱々しく呟いた。
「俺、男なのに……こんなんじゃあ、もう普通に生きていけないかも」
「そんな大袈裟な」
僕は思わず笑ってしまったが、アソビは本気で悩んでいるようだった。
「だってさ!俺、もうお婿に行けないよ!」
「いや、だからそれは誤解だって。バスは寝ぼけてただけだし。」
「でもさ!俺、もう男として生きていけないよ!」
アソビの目に涙が浮かび、今にも泣き出しそうだ。
僕は慌てて彼の肩を抱き寄せた。
「大丈夫、きっと元に戻るよ」
「うん……ありがとう、テナー」
アソビは少し安心したように微笑んだ。その笑顔に僕は少しドキッとした。
「あの、さ、アソビ。」
「何?」
「その……、僕で良ければいつでも相談に乗るからね」
「ありがとう」
アソビは再び微笑んでくれたのだった。
馬車の近くに戻り、朝食を食べ、馬車に乗り込んだとき……アソビはうまく座ることができず、結局僕が膝枕しながら横になるしか無かったのだ。
「テナーは謝らなくていいよ。悪いのはこの馬鹿だけだ。」
バスを睨みながら、アソビは僕の膝の上で小さく丸まる。僕はそんな彼の背中を優しく撫でてあげた。すると彼は少し安心したのか、そのまま眠ってしまったようだった。
その様子を見て、バリトンはため息をつくと、馬車の外を見た。
「まあ、とにかく……次からは気をつけてくれ」
「あぁ、分かった……」
バスが返事をするとバリトンはもう一度ため息をついてから目を閉じたのだった。そして僕らは再び馬車に乗り込んで次の街へと出発したのだった。