テラーノベル
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葬式前日の7月1日。俺は係長に事情を話し、今日の残業は無しにしてもらった。
相変わらずニヤニヤしてたが……。
今日の外回りが終わり、会社に戻って帰る準備をしていると。
「いやー。本当に最近調子がいいね、小田君。やっぱいいことあったでしょ?」
スカンクに絡まれる。
「そんなことないですよ」
俺は適当に返す。
「そうか? 俺はてっきり嫌いな女とその男を殺して、スッキリしたのかと思ったよ。明日の葬式ってまさかその女のか?」
俺は凍りついた。
なんで係長が知ってるんだ。
まさかあの刑事が?
俺の脳裏に小山と大鷲の顔が浮かんだ。
いや、わざわざ無関係の係長のところにまで行くのか?
俺に疑惑の目を向ける人、ニヤニヤしてる人。
まさかこの人達もそう思ってるのか?
俺は頭が真っ白になり、木原の方を見た。
笑っていた。
悪魔の様な笑みで。
俺は小さい声で「嘘だ」と言った。
「はー? 聞こえないよー」
スカンクが煽ってくる。
「俺は人殺しなんてしてません」
「嘘をつくな! 鏡で見てみろ。人殺しの目をしてるぞ」
実際そうなのかもしれない。
怒りが込み上げてくる。
だが、ここで一悶着起こせば俺はクビだ。
懲戒免職にでもなったら、転職も難しくなる。
今は堪えるしかない。
「すみません。急ぎますので、お先に失礼します」
一刻も早くこの場から去りたい。
俺の頭の中にはそれしかなかった。
「おーい。逃げんのか? 頼むから俺は殺さないでくれよー」
スカンクの口撃は続いてるが、無視して会社から出た。
早くタバコでも吸って、一息つきたい。
イライラしながらエレベーターを待っていると
「おい。ちょっと待てよ」
振り返ると木原だった。
臭男と同じようなニヤニヤした嫌な表情を浮かべている。
よく考えてみたら臭男や他の社員の笑みはこういうことだったのか。
「あの人にも困ったもんだよな。あっさりネタバラししちゃってさ」
「なんで………こんなことしたんだ?」
「は? 別にいいだろ。ガキみたいなこと言ってんじゃねぇよ。別に言わないでくれなんて頼まれてもないしな」
ただただショックだった。
親身になってくれてた木原の本性がこんなだったなんて。
「なんでこんなことした? そんなの決まっているだろ? 面白いからだよ! よく言うだろ?人の不幸は蜜の味ってな!」
俺は絶句した。
もう何を言っていいかわからない。
「お前は彼女と別れたことを隠していたつもりだろうが、はっきり言ってバレバレだったぞ。急に調子を崩したもんな」
気づいていたのか……。
「最高だったぜ! 最近調子こいてたお前が一気に落胆した顔は。人は人の上に成り立つっていうだろ。そう! お前は俺の踏み台ってことだ」
その瞬間、怒りが頂点に達し、俺は木原を殴ろうとした。
だが体格差もあり学生時代ラグビー部だった木原に、強烈なカウンターを食らう羽目になった。
「踏み台のくせに調子に乗るなよ。早く実家帰って親にでも慰めてもらうんだな。それか元カノの代わりにママのおっぱいでもしゃぶってな」
木原は笑いながら会社に戻る。
頬が痛い。
血の味がする。
どこか切れたんだろう。
早く帰ろう。
ここには居たくない。
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#ミステリー
鬼霧宗作
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みおん
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コメント
3件
うわあ……木原の本性がまさかこんな形で出るとは。係長の「人♡♡♡の目」発言も含め、周囲の人間が「笑い」の対象として主人公を弄んでる構図が不気味でしたね。孤独感がじわじわ迫ってくる展開で、次の話が気になります。